2030年のトラック・バス向けコネクテッドサービス世界市場規模を5兆3,316億円と予測
~「フードデリバリー」「宅配」「次世代モビリティのMaaS事業」といったラストマイル配送需要は伸び続け、車載コネクテッド端末の搭載車両の増加が統合プラットフォーム化に進展する見通し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、世界の商用車(業務用車両/MaaS車両)と同車両搭載コネクテッド端末、及びコネクテッドサービスの市場を調査し、品目別市場規模推移・動向、市場構造の変化、将来展望、ならびに500社を超えるコネクテッドサービス事業者のビジネスの実態、提携戦略、将来戦略を明らかにした。ここでは、2030年までのトラック・バス向けコネクテッドサービス世界市場規模予測を公表する。
世界のトラック・バス向けコネクテッドサービス市場規模推移・予測
1.市場概況
トラック・バス向けのコネクテッドサービスには、後付け端末(デジタルタコグラフ、業務用ドライブレコーダ、運行動態管理システムなどの端末等)によるサービスと、自動車メーカー(OEM)純正コネクテッド端末によるサービスとがある。純正端末によるサービスには、物流事業者向けやMaaS(Mobility as a Service)サービス事業者向け、ビークルOS端末向けのサービスなどが存在する。
それぞれの端末搭載台数増加により、サービス規模は拡大する見込みで、2025年の世界のトラック・バス向けコネクテッドサービス市場規模(事業者売上高ベース)は2兆2,835億8,000万円、同じく2030年の同市場は5兆3,316億3,000万円になると予測する。なおこの数値にはトラック、バス以外のフリート(乗用車のうち業務用として使用される車両)やMaaSサービス事業者の保有車両、Lv4以上の自動運転EV、配送ロボットやeバイクなど次世代モビリティ向けのコネクテッドサービス市場の規模は含まれていない。
2.注目トピック
コロナ禍に商用車から動き出したコネクテッド・アプリケーション
コロナ禍においては、在宅勤務が増えたことから「フードデリバリー」や「宅配」の需要が急増し、外出自粛などの移動制限がかかったことから「ネット通販」での購入及び商品の配送需要が増えた。また、同乗者制限により、一人乗りのeバイクや電動キックボードに人気が出たことで、「次世代モビリティのMaaS事業」が伸びた。「次世代モビリティのMaaS事業」の需要は2022年に入っても増え続けており、止まることがない。もはや、これらのサービスを使うライフスタイルが定着したものといえる。
それは日本国内ばかりでない。ビジネス様式にはそれぞれ違いはあるものの、コロナ禍以降、世界中で大きく進展している。「フードデリバリー」「宅配」「ネット通販」などの配送MaaS事業は世界中で増加している。特に同乗を嫌がられて需要がマイナスとなっていたウーバー、リフト、グラブ(Grab)、ゴジェック(Gojek)などの客送MaaS事業者は、こうした配送MaaS事業に横展開することで、そのマイナス分を穴埋めすることに成功した。
3.将来展望
「フードデリバリー」「宅配」「次世代モビリティのMaaS事業」といったラストマイル配送の行動様式はもはやライフスタイルと言え、コロナ禍収束後も需要は伸び続ける見込みである。コロナ禍において世界中で進んだ「在宅勤務」「移動制限」「同乗制限」が、結果として商用車への業務用ドライブレコーダ、運行動態管理システム端末、デジタルタコグラフなどの車載コネクテッド端末搭載を推進し、やがてそれらの統合プラットフォーム化に進んでいく。統合プラットフォームは、トヨタを中心としたものもあれば、これから他社のプラットフォームが出現してくることも考えられる。
コロナ禍における同乗制限により市場拡大している一人乗りのeバイクや電動キックボードなどの次世代モビリティには、位置情報をトラッキング管理するための低価格な車載コネクテッド端末が搭載されており、これまでバラバラの市場であったラストマイル商用車は、コロナ禍を契機にネットワーク化され、各種情報のデータ共有が進むものと考える。
やがてそれらの端末やアプリケーションは、統合プラットフォームの中で、統合管理されるようになっていくものと予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2021年10月~2022年3月 2.調査対象: 日本・欧州・北米・中国・アジア他のOEM(自動車メーカ)、サプライヤ、コネクテッド端末メーカ、コネクテッドアプリベンダ、MaaSサービス事業者、配送サービス事業者他 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによる取材、当社データベースの調査データからの考察ならびに文献調査併用 |
<業務用車両/MaaS車両向けコネクテッドサービスとは> 本調査における業務用車両/MaaS車両向けコネクテッドサービスとは、トラックやバスなどの業務用車両に加え、フリート(乗用車のうち業務用として使用される車両)であるタクシーやレンタカー、さらにMaaS(Mobility as a Service)サービス事業者の保有車両、Lv4以上の自動運転EVに加え、自立搬送型ロボットや配送ロボット、eバイク、電動キックボードなどの次世代モビリティ車両を対象とした。 また、コネクテッドサービス事業者としては、OEM(自動車メーカ)、サプライヤ、ITベンダ、Tech企業、プラットフォームやアプリケーションを提供している企業、フードデリバリーなどのラストマイル配送などの物流事業者などを調査対象とした。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 世界各地域の業務用車両/MaaS車両コネクテッドサービス事業者(OEM・サプライヤ・ITベンダ・Tech企業・フードデリバリーなどの物流事業者等)国内285社・海外280社 |
出典資料について
資料名 | 2022年度版 世界の業務車両/MaaS車両向けコネクテッドサービス事業者戦略 |
発刊日 | 2022年03月28日 |
体裁 | A4 361ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
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