注目のオークション情報から、​​NFTのトピックまで。先週1週間のアートトピックを振り返ります。(1ドル=128円で換算)

目次

  1. オークション
  2. NFT
  3. 美術館
  4. 海外の展覧会

オークション

5月にオークションにかけられる、かつてエリック・クラプトンが所有していた、ゲルハルト・リヒターの≪Abstraktes Bild≫
(画像=5月にオークションにかけられる、かつてエリック・クラプトンが所有していた、ゲルハルト・リヒターの≪Abstraktes Bild≫)

画像出典:https://www.barrons.com/

▍かつてエリック・クラプトンが所有していた巨大なリヒター絵画がオークションへ 2012年にミュージシャンのエリック・クラプトンによって売却されたゲルハルト・リヒターの巨大な絵画 ≪Abstraktes Bild≫ が5月にふたたび競売にかけられる。クラプトンは2001年にサザビーズで約4.4億円 (340万ドル)で3点のリヒター作品を購入したが、今回出品されるのはそのうちの1点。2012年に約43.5億円 (3,400万ドル) で販売され、現存するアーティストとして当時の最高額で落札されたもの。今回は予想最低落札価格が約44.8億円 (3,500万ドル) となっている。(PENTA)

▍ロビー・ウィリアムズが初の絵画展を開催。バスキアらの作品とともに展示販売 イギリスのポップシンガー ロビー・ウィリアムズが初の個展を開催する。ウィリアムズと彼のクリエイティブ・パートナーであるエド・ゴドリッチは、サザビーズのギャラリーで自身の制作したモノクロの絵画とともに、ジャン=ミシェル・バスキア、グレイソン・ペリー、ダミアン・ハーストなど、彼らのお気に入りのアーティストの作品を展示。続いて、それらを販売するオークションをサザビーズで実施する予定だという。

ウィリアムズは以前からアート市場に参加しており、先日、彼の個人コレクションからバンクシーの3つの作品を、合わせて1000万ポンドの見積もりで売り出したことでも話題となった。(The Guardian)

▍最高額落札も期待されるジャクソン・ポロックの絵画がオークションへ 5月、クリスティーズオークションでジャクソン・ポロックの絵画が競売にかけられる。本作品は、ポロック史上最高額での落札も期待されている。出品される≪Number 31≫は、プライベートコレクションで20年以上所有され続けていたもので、最低予想落札価格は約57.6億円 (4,500万ドル) となっている。これまでのポロックの最高額落札作品は、昨年販売された≪Number 17≫で、予想価格の約44.8億円 (3,500万ドル) をはるかに上回る約78.1億円 (6,100万ドル) で落札されている。(artnet news)

NFT

▍NFTを販売するギャラリーの割合は? 2022年の「Artsy Gallery Insights Report」によると、NFT市場は2021年に約5.1兆円 (400億ドル) を突破したものの、過去1年間にNFTを販売したアートギャラリーはわずか11%だったという。調査対象となった870のギャラリーのうち67%ほどが、クライアントから問い合わせがなかったと回答しているという。NFTを販売したギャラリーの約半数は、販売総額が5,000ドル (約64万円) 以下と回答し、20パーセントは5,000ドルから14,999ドル (約64万円から約192万円) と回答している。25万ドル (3,200万円) 以上を稼いだのは、わずか5%だった。(FINANCIAL TIMES)

▍NFT市場失速?3月の世界販売量は1月から半減 CryptoSlamのデータによると、NFTの世界売上高は今年1月に過去最高の約5,900億円 (46億2,000万ドル) 超を記録した後、減少に転じている。3月にはここからほぼ半減し、約3,123億円 (24億4,000万ドル) となっている。また、買い手と売り手の数の減少も見られ、総取引を引き下げているという。この原因のひとつとしては、NFTの盗難、詐欺などが多発していることが指摘されている。2022年3月に約787億円 (6億1,500万ドル) のデジタル資産がハッキングされたRonin Networkの事件なども業界を揺るがした。(mint)

美術館

M+美術館から撤去された3作品のうちの1点、天安門事件をモチーフに描かれた王興偉による ≪新北京≫
(画像=M+美術館から撤去された3作品のうちの1点、天安門事件をモチーフに描かれた王興偉による ≪新北京≫ )

画像出典:https://news.artnet.com/

▍北京による香港への締め付けが続く中、M+美術館が中国人アーティストの政治的な絵画3点を撤去 香港のM+美術館で、中国の現代アーティストによる3つの政治的関与のある作品が撤去された。天安門事件や冷戦をテーマに制作された作品。M+は検閲についての質問には正式に回答していないが、定期的な展示替えの一環としての移動と示唆しており、同作品はwebサイト上ではまだ見ることが出来る。M+美術館は、以前にもアイ・ウェイウェイの写真作品で検閲問題に巻き込まれたことがあるが、同作品はwebサイトからも削除されている。(artnet news)

海外の展覧会

ヴェネチア・ビエンナーレでのアニッシュ・カプーア作品展示風景
(画像=ヴェネチア・ビエンナーレでのアニッシュ・カプーア作品展示風景)

画像出典:https://news.artnet.com/

▍ヴェネチア・ビエンナーレ開幕。アニッシュ・カプーアは世界で最も黒い彫刻を初公開 第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展が2022年4月23日に開幕した。このなかで、イギリス系インド人アーティスト、アニッシュ・カプーアは、世界で最も暗い色「ベンタブラック」を使用した使った作品を初公開する。可視光線の99.8パーセントを飲み込む塗料だが、2016年に開発された後、カプーアのスタジオが同素材のアートへの独占使用権を得たことをアーティストのスチュアート・センプルに非難され、長い公憤の末に、この作品はついに陽の目を見ることになったという。(artnet news)

▍ウクライナのゼレンスキー大統領、ヴェネチア・ビエンナーレで「ウクライナに光を当ててほしい」と緊急提唱 4月21日、ウクライナ大統領ヴォロディミル・ゼレンスキーは、ヴェネチア・ビエンナーレに集まったアーティストや文化人に対し、ロシアとの戦争が激化する同国を支援するために、自らの作品、言葉、影響力を行使するよう映像で熱烈に訴えた。2月のロシア侵攻後に急遽組まれた展示「This Is Ukraine」の公式オープニングでの訴え。この展示は、ウクライナ大統領府と文化省の協力のもと、マリア・プリマチェンコやテチヤナ・ヤブロンスカといったウクライナのアーティストと、村上隆、ダミアン・ハースト、J.R.といった世界的な著名人が参加して開催されている。(artnet news)

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文:ANDART編集部