≪Tête de femme (Fernande)≫
(画像=≪Tête de femme (Fernande)≫)

注目のオークション情報から、NFTのトピックまで。先週1週間にアートマーケットを賑わせた話題を振り返ります。(1ドル=117円、1ユーロ=128円で換算)

目次

  1. オークション
  2. NFT
  3. マーケット
  4. ギャラリー
  5. 美術館
  6. コラボレーション

オークション

メトロポリタンがオークションへの出品を発表した ≪Tête de femme (Fernande)≫ / パブロ・ピカソ
(画像=メトロポリタンがオークションへの出品を発表した ≪Tête de femme (Fernande)≫ / パブロ・ピカソ)

画像出典:https://news.artnet.com/

▍メトロポリタン美術館がピカソのブロンズ彫刻を約35億円でオークションに出品 アメリカの「メトロポリタン美術館」は、5月のクリスティーズオークションで、パブロ・ピカソの1909年のブロンズ像≪Tête de femme (Fernande)≫を売却する。落札予想価格は約3,000万ドル (約35億円)。この売却益はすべて新たな作品の購入資金に充てられるという。ピカソ最初のキュビズム彫刻とされる作品。同美術館は同じ作品をもう一点所有している。(artnet news)

▍マーケットで再び注目を集めるシュルレアリスム シュルレアリスムは、約100年前に第一次世界大戦の暗黒の中から誕生した。現在、新たなヨーロッパ紛争の影で、オークション等の国際的なイベントや展覧会で、再び黄金期を迎えているという。2022年3月16日から開催されるサザビーズオークション「シュルレアリスムとその遺産」では、これまで過小評価されてきたとされるフランシス・ピカビアの≪Pavonia≫が600万〜800万ユーロ(約7.7億円〜10.2億円)の評価額で出品されることで注目を集めている。(The Guardian)

▍リチャード・ギアが豊富な写真コレクションをオークションに出品 アメリカの俳優 リチャード・ギアは、19世紀から20世紀にかけて蓄積された150枚の写真をオークションに出品することを明らかにした。写真の被写体となることの多い彼は、多くの写真家と親密な関係を築き、写真家達から直接作品を収集することができたという。このコレクションは推定200万ドル (約2.3億円)。2022年3月23日から4月7日までオンラインで販売される予定。(HypeART)

NFT

▍Nonfungible.comが2021年のNFT調査レポートを公開。世界のアートマーケット市場の16%はNFTに 世界最大のNFTデータリソース「Nonfungible.com」は、新たなNFT調査レポートを公開した。2021年には、従来のアート市場が146億ドル(約1.7兆円)であったのに対し、クリプトアート市場は28億ドル (約3,300億円) となり、金額ベースでアートマーケットの約16%をNFTが占めることとなった。

同レポートによれば、3大オークションハウスにおけるクリプトアートの売上は、クリスティーズで1億5,000万ドル(約176億円)、サザビーズで1億ドル(約117億円)、フィリップスで620万ドル(約7.3億円)。一部の人がBeepleやPakなどのアーティストの作品に高額を支払った一方、クリプトアートのコレクターの幅広い基盤が形成されてきており、アートNFTのコレクターは21万2500人以上に増加。NFTアートの平均価格は、2021年の年初から1年間で約10倍となった。(OCULA)

▍海外で広がる、NFTアートへの投資に特化した新しいファンド まだ評価が十分に定まらないNFTアートだが、海外ではNFTをアセットクラスとする専用ファンドが登場し始めている。NFTアートワークの購入と保有に専念する「Curated」という3,000万ドル (約35億円) のファンドは、シリコンバレーの著名なクリプトベンチャーキャピタルから支援を受けている。現在、NFTの取引は一時期に比べてやや下火になっているが、代表者は「現在の弱気相場は実はファンドにとって素晴らしいこと。私たちは長期的に保有していきます。誰もが短期に集中しているこの市場では、実は戦略的な優位性を持っているのです。」と述べている。 (TechCrunch)

▍OpenSea、米国の制裁に準拠し イランのユーザーのアカウントを告知無く削除 国際政府の干渉を受けずに商取引を行う方法として注目されてきたNFTだが、限界があることが明らかとなってきた。NFTの主要なマーケットプレイスの1つであるOpenSeaは、現在米国から制裁を受けているイランのアーティストとコレクターのアカウントを、事前の警告や説明なしに削除していることが報じられている。イラン国外に住んで活動しているアーティストたちも、イランのパスポートを所持しているだけで今回の制裁対象に含まれる。OpenSeaは、3月3日にTwitterで「私たちは米国に拠点を置く企業であり、米国の制裁法を遵守しています。つまり、米国の制裁リストに載っている地域の人々がOpenSeaを使用できないようにする必要があるのです」と書いている。(ARTnews)

▍“NFTアート”の世界を体感するデジタルアート展 「SHIBUYA NFT ART JUNCTION 2022」開催 2022年3月26日(土)・27日(日)に、SHIBUYA CAST.で、NFTアート・ファッションに注力した展示会「SHIBUYA NFT ART JUNCTION 2022」が開催される。NFTプラットフォーム「MOSAIC NATION」が厳選した作品が展示され、デジタルで購入できるほか、トークセッションや、ワークショップも開催予定で、「NFTアート」の情報が多角的に収集できるイベントとなる。参加は無料で、オリジナルNFTも無料配布されるそうだ。(SHIBUYA NFT ART JUNCTION 2022)

マーケット

 ロシアのメガコレクター ロマン・アブラモビッチ
(画像= ロシアのメガコレクター ロマン・アブラモビッチ)

画像出典:https://www.artnews.com/

▍ロシア人のメガコレクター ロマン・アブラモビッチの資産が英国で凍結 英国政府は、ウラジーミル・プーチン大統領と関係のあるロシアの著名な財界人にさらなる制裁を課した。メガコレクターであり、イギリスのサッカーチーム チェルシーF.C.のオーナーであるロマン・アブラモビッチ氏も含まれる。新たな制裁はアブラモビッチに国内での資産売却を禁じるものであり、同国での美術品購入が大幅に制限される可能性がある。アブラモビッチの資産は英国で凍結されており、ルシアン・フロイトやフランシス・ベーコンの絵画を含む彼のアートコレクションがどのような影響を受けるかはまだ不明とのことだ。(ARTnews)

ギャラリー

▍ペロタンがドバイに新ギャラリーをオープン パリ発のメガギャラリー「ペロタン」が、2022年にドバイに新ギャラリーをオープンすることを発表した。パリ、香港、ニューヨーク、ソウル、東京、上海に続き、中東での新たな拠点としてドバイが加わり、世界7都市での展開となる。100平方メートルの新スペースに、ペロタン所属アーティストによるプライマリー・マーケット作品を展示するほか、セカンダリー・マーケットの作品も併せて展示していくという。(プレスリリース)

美術館

エルミタージュ美術館館長のミハイル・ピオトロフスキー
(画像=エルミタージュ美術館館長のミハイル・ピオトロフスキー)

画像出典:https://news.artnet.com/

▍ロシアのエルミタージュ美術館、イタリアの3つの美術館への貸出しの早期返還を要求 ロシアにある国立エルミタージュ美術館は、ミラノとローマの美術館に貸与しているいくつかの重要な作品の早期返還を求めている。返還要求はエルミタージュ美術館の館長が書面で行ったもので、ロシア文化省から直接の要求となる。現在海外にあるこのほかの美術館へのエルミタージュ貸出し作品の返還要求はないというが、今後予定されていた他の重要な貸出についてもここ数日で中止が発表されている。(artnet news)

▍直島に「ヴァレーギャラリー」「杉本博司ギャラリー 時の回廊」がオープン ベネッセアートサイト直島に、2022年3月12日、新ギャラリー「ヴァレーギャラリー」と「杉本博司ギャラリー 時の回廊」がオープンした。「ヴァレーギャラリー」は境界や聖域とされる谷間に沿うように建てられた安藤忠雄建築を含むギャラリーで、草間彌生≪ナルシスの庭≫と小沢剛≪スラグブッダ88 -豊島の産業廃棄物処理後のスラグで作られた88体の仏≫を展示。「杉本博司ギャラリー 時の回廊」は、ベネッセハウス パークにおける杉本博司作品の展示空間を屋内外に拡げ、杉本の多様な作品群を継続的かつ本格的に鑑賞できる世界的にも他に例をみないギャラリー空間だ。(ベネッセアートサイト直島)

関連記事:2022年、直島に安藤忠雄建築のギャラリー&杉本博司ギャラリーがニューオープン!

▍滋賀の佐川美術館で「バンクシー&ストリートアーティスト展」が開幕 滋賀県にある佐川美術館で、2022年3月12日から「バンクシー&ストリートアーティスト展 ~時代に抗う表現者の声よ響け」が開幕した。バンクシーを入り口としてストリートアートの本質に迫る展覧会。全てのストリートアーティストの父であり、当時「ニューヨーク・タイムズ紙」で初めてその名が取り上げられたタキ183をはじめとしたストリートアートの先駆者たちや、1990年代のストリートアーティストたちなど、これまであまり注目されることのなかったグラフィティ文化の潮流や、ストリートアーティストたちによる様々な表現技法もクローズアップして紹介する。(佐川美術館)

コラボレーション

▍A-POC ABLE ISSEY MIYAKEが「TADANORI YOKOO ISSEY MIYAKE 2」を発表 A-POC ABLE ISSEY MIYAKEは、「絵を観るよろこびと服を着るたのしみ」の両方を備えたプロジェクトの新シリーズ「TADANORI YOKOO ISSEY MIYAKE 2」を発表した。2022年3月15日にスタートする本シリーズで取り組んだのは、東洲斎写楽の役者絵をモチーフに横尾忠則が意図的な版ズレを強調した作品。衣服になるときにその型紙も一緒にズレたかのような柄で制作されたユーモラスで多彩なブルゾンが登場する。(TADANORI YOKOO ISSEY MIYAKE 2)

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文:ANDART編集部