M&Aコラム
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全国の経営者の平均年齢が31年連続で過去最高を更新しました。帝国データバンクの全国「社長年齢」分析調査によると、2021年の社長の平均年齢は60.3歳(前年比0.2歳増)でこれまでの調査で最も高い結果となりました。社長の平均年齢は1990年の調査開始から右肩上がりで推移しています。年齢別の内訳では「50代」が最多の27.6%を占め、「60代」が26.9%、「70代」が20.2%と続きました。都道府県別では「秋田県」が62.3歳と最も高く、「岩手県」の62.1歳、「青森県」の61.9歳と東北エリアの高齢化が顕著で、全国においては“東高西低”の傾向が読み取れる結果となりました。日本は世界で最も高齢化率が高いとされており、シニア世代が大きな役割を果たしている一方で、企業の事業承継や世代交代が進んでいない側面も大きな課題となっています。

過去30年間で社長平均年齢は6.3歳上昇

1990年の調査開始時は54.0歳だった社長の平均年齢は、日本の高齢化に比例するように2000年は56.6歳、2010年は58.4歳と右肩上がりで上昇し、2020年には初めて60代に突入しました。2021年の調査では「50代」が27.6%、「80代以上」が4.7%とそれぞれ構成比が増加しました。後継者不在は60代で約半数、70代で約4割、80代以上が約3割と指摘されています。実際に社長交代があった企業は交代前の68.6歳から交代後には52.1歳となり、平均で16.5歳若返る結果となりました。ただ社長交代率は3.92%と低く、世代交代は低水準となっています。

減少は島根、徳島の2県のみ

社長の平均年齢が低下した都道府県は島根県と徳島県の2県のみで、ほかの45都道府県では上昇しました。東北エリアの秋田、岩手、青森県が上位となった一方で、平均年齢が最も低かったのは三重県の59.0歳(47位)となりました。他県では滋賀県の59.2歳(46位)、愛知県と石川県の59.3歳の順番となりました。

不動産業がトップの62.4歳

業種別に見ていくと、不動産業が62.4歳と最も年齢が高い業種となり、製造業の61.3歳、卸売業が61.1歳と全国平均の60.3歳を上回りました。対して最も年齢が低かったのはサービス業の58.8歳となりました。不動産業では80歳以上が全業種で最も多く、構成比の9.1%を占め、70代も24.5%と4分の1程度となっています。中小企業に分類される年商1億円未満は61.6歳で最も高く、上場企業などの年商500億円以上が60.7歳と全国平均を上回る結果となりました。70代と80歳以上が最も多かったのは年商1億円未満の企業で、それぞれ構成比は23.6%、6.2%となりました。

事業承継のために早めの準備が必要

帝国データバンクの意識調査によると、後継者への移行期間で3年以上と回答した企業が半分以上を占めることから、一般的に後継者の選定から引継ぎなどには長期間必要となります。日本M&Aセンターで事業譲渡した70代以上の経営者は32.4%を占め、60代を合わせると6割となっています。貴重な企業の経営資源を維持し、発展させていくためには内部昇格や外部招聘、近年増加するM&Aを視野に入れた事業承継の方向性を早期から準備することが求められていると総括しています。

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