知らないと恥ずかしい”レベニューシェア”って?中小企業のビジネスチャンス獲得に
(画像=MQ-Illustrations/stock.adobe.com)

近年、IT業界では「レベニューシェア」と呼ばれる契約が多く見られる。また、IT以外のビジネスでも活用されているため、他企業との取引が多い場合は早めに知識をつけておきたい。本記事ではレベニューシェア型契約のメリットや契約のポイントを解説する。

目次

  1. レベニューシェアとは?
    1. レベニューシェア型契約が活用されるシーン
    2. レベニューシェアとプロフィットシェアの違い
  2. 中小企業がレベニューシェア型契約を結ぶメリット
    1. 発注側のメリット
    2. 受注側のメリット
  3. レベニューシェア型契約の注意しておきたいデメリット
    1. 発注側のデメリット
    2. 受注側のデメリット
  4. レベニューシェア型契約を成功させるポイント
    1. 1.役割分担や責任を明確にしておく
    2. 2.信頼関係を結べるような契約内容にする
    3. 3.配分率については慎重に話し合いを重ねる
  5. レベニューシェア型契約の活用事例
  6. レベニューシェア型契約は選択肢のひとつ
  7. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ

レベニューシェアとは?

レベニューシェア(revenue share)とは、ある事業に関して収益を分配する形で結ぶ契約のことである。分配する収益は固定されておらず、基本的には売上の配分率を決める形で契約を結ぶ。

具体的にどのような契約が該当するのか、以下で一例を紹介しよう。

レベニューシェアとは? 中小企業が知っておきたいメリットや契約のポイント

つまり、レベニューシェアは「成功報酬型」の契約であり、発注側・受注側が利益とリスクを共有することになる。ただし、仮に収益が発生しなかったとしても、発注側は当初設定した配分率に基づいて売上の一部を支払わなくてはならない。

レベニューシェア型契約が活用されるシーン

レベニューシェア型契約は、収益・損失を想定しづらいIT業界で活用されることが多い。具体的なビジネスとしては、ECサイトや通販サイトの運用、ゲームソフトの開発などが挙げられる。

そのほか、不動産業界やレンタル業界など、レベニューシェア型契約が活用されるビジネスは徐々に広がってきている。工夫次第ではさまざまなビジネスに活かせるため、IT以外の企業もこれを機に概要を学んでいこう。

レベニューシェアとプロフィットシェアの違い

レベニューシェアと似た契約に、「プロフィットシェア」と呼ばれるものがある。プロフィットシェアも成功報酬型の契約であり、事前に設定した配分率に基づいて売上を分配する。

レベニューシェアとプロフィットシェアの大きな違いは、分配する金額の対象だ。レベニューシェア型契約では売上を分配するが、プロフィットシェア契約では利益(※売上から経費を差し引いたもの)を分配することになる。

つまり、発注したビジネスが赤字であった場合、プロフィットシェア契約では受注側への報酬が発生しない。発注側にとってはリスクを抑えやすい契約なので、特に外注が多い企業はプロフィットシェア契約についても調べておこう。

中小企業がレベニューシェア型契約を結ぶメリット

レベニューシェア型契約のメリットは、契約を結ぶ立場によって異なる。ここからは「発注側」「受注側」の2つに分けて、それぞれのメリットを解説していこう。

発注側のメリット

発注側のメリットとしては、主に以下の3つが挙げられる。

・初期費用の負担を軽減できる
・ビジネスチャンスを獲得しやすい
・事業失敗のリスクを抑えられる

レベニューシェア型契約では、原則として受注側が開発費用を負担するため、発注側は初期費用を抑えた形でビジネスを展開できる。また、少ない資金で事業を始められる点は、ビジネスチャンスの獲得にもつながるはずだ。

さらに、事前に決めておいた配分率以上のコストは発生しないので、レベニューシェア型契約では事業失敗のリスクも抑えられる。

受注側のメリット

ここまでを読むと、レベニューシェア型契約は「受注側の負担が大きい」と感じるかもしれないが、実は受注側にも次のようなメリットがある。

・成約率が高い
・事業が成功すれば、安定的かつ長期的な収益を得られる
・高いモチベーションを維持しやすい

レベニューシェア型契約では発注側にさまざまなメリットが生じるため、積極的に契約を結ぼうとする企業が多い。もしその事業が成功すれば、安定的かつ長期的な収益を得られるだろう。

また、成果を出さない限り収益につながらないため、レベニューシェア型契約にはモチベーションを維持しやすいというメリットもある。

レベニューシェア型契約の注意しておきたいデメリット

次は、レベニューシェア型契約の注意しておきたいデメリットを、発注側と受注側に分けて解説していく。

発注側のデメリット

発注側が特に注意すべきデメリットは、収益(売上)が増えるほどコストも増えてしまう点だ。レベニューシェア型契約の報酬は固定金額ではないため、最終的に発生するコストを正確に予測することは難しい。

また、事業の方向性を変更したい場合などに、受注側からの理解が必要になる点もデメリットと言える。つまり、事業に関して単独で意思決定をすることが難しいため、発注する内容は範囲は慎重に決めることが重要になる。

受注側のデメリット

受注側のデメリットとしては、コストを回収するまでの期間が長引く点が挙げられる。基本的に初期費用を負担するのは受注側であり、かつ成果が出るまで報酬が支払われないことから、場合によってはキャッシュフローの面で悩まされてしまうだろう。

また、事業が失敗に終わった場合に、期待した収益を得られなくなる点も注意すべきデメリットになる。

レベニューシェアとは? 中小企業が知っておきたいメリットや契約のポイント

上記の通り、レベニューシェア型契約にはメリット・デメリットの両方があるため、どのようなビジネスにも適した契約形態とは言えない。特に受注側は大きなリスクを抱えやすいので、売上の配分率をうまく調整するなど、より慎重に契約を結ぶことが求められる。

レベニューシェア型契約を成功させるポイント

ここからは、レベニューシェア型契約を成功させるために意識しておきたいポイントをまとめた。発注側・受注側のどちらにとっても重要なポイントなので、契約を結ぶ可能性がある企業はしっかりと確認しておこう。

1.役割分担や責任を明確にしておく

レベニューシェア型契約は受注側の負担が大きくなりやすいため、契約内容に曖昧な部分があると、思わぬトラブルに発展してしまうことがある。仲違いなどのトラブルが起きると、発注側・受注側のどちらにもデメリットしか残らないため、役割分担や責任の範囲は明確にしておくことが重要だ。

例えば、契約書に以下の内容を記載しておくと、費用面や報酬面などでトラブルが生じにくくなる。

・発生する費用の負担割合
・それぞれがどの業務を担当するか
・成果物の権利はどちらに帰属するか など

上記のほか「協力義務」や「契約解除規定」なども盛り込んでおくと、トラブル発生のリスクをさらに抑えられる。

2.信頼関係を結べるような契約内容にする

相手企業と長く付き合う可能性がある場合は、契約を通して信頼関係をしっかりと築くことが重要になる。本記事では一般的なレベニューシェア型契約の特徴を解説してきたが、結果的に信頼関係を構築できるのであれば、よく見られる形式にこだわる必要はない。

例えば、発注側・受注側が同じ額の初期費用を負担したり、発注側が月額費用を支払ったりすれば、リスクや負担のバランスを調整できる。発注側が有利になりやすい形態とは言え、対等な契約を結べないわけではないので、特に発注側は契約面で譲歩することも検討しよう。

3.配分率については慎重に話し合いを重ねる

レベニューシェア型契約のなかでも、特に「売上の配分率」は揉めやすいポイントだ。最適な配分率は事業内容によって変わってくるため、そもそも相場というものが存在しない。

したがって、配分率については両社が納得できるまで話し合うべきであり、可能であれば「再交渉の時期」についても決めておきたい。契約書に再交渉の時期を盛り込んでおけば、事業の状況が変わった場合に配分率を調整できるようになる。

レベニューシェア型契約の活用事例

レベニューシェア型契約はすでに多方面で活用されており、国内にも有名な事例がいくつか存在する。

特に有名なものとしては、近畿日本鉄道が運営する『あべのハルカス』と、情報サービス事業を営む『パナソニックIS』の契約が挙げられるだろう。どのような内容の契約を結んでいるのか、以下では両社が得られるメリットと合わせてまとめてみた。

レベニューシェアとは? 中小企業が知っておきたいメリットや契約のポイント

レベニューシェア型契約としてはよく見られる形であり、一見すると受注側のリスクがやや大きいように思える。しかし、パナソニックISはクラウド型のシステムを提供することで、運用コスト増大などのリスクを巧みに抑えている。

この事例と同じような工夫をすれば、配分率や費用の負担割合などを調整しなくても、受注側のリスクを抑えることが可能だ。ただし、提供する商品・サービスの内容を変える場合は、発注側からの了承を得る必要があるため、交渉や話し合いの場を設けることは必須となる。

レベニューシェア型契約は選択肢のひとつ

最後に紹介した事例のように、レベニューシェア型契約はIT以外のビジネスにも広がりつつある。ただし、すべてのビジネスに適した契約ではないため、あくまで選択肢のひとつとして考えることが重要だ。

ほかの契約のメリット・デメリットとも比較しながら、それぞれのシーンに最適な契約を結ぶようにしよう。

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文・片山雄平(フリーライター・株式会社YOSCA編集者)

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