トップダウンとボトムアップ、どちらの会社が伸びるのか
(画像=naka/stock.adobe.com)

企業が意思決定を下す手段としては、ボトムアップとトップダウンが有名だ。今回はこれらの違いやメリット・デメリット、それぞれに適した企業などをまとめた。2つの方法の組み合わせ方も解説しているので、体制を見直したい経営者はぜひ参考にしてほしい。

目次

  1. ボトムアップとは?
    1. ボトムアップとトップダウンの違い
  2. ボトムアップを採用する3つのメリット
    1. 1.現場の状況を反映しやすい
    2. 2.主体性のある従業員を育てられる
    3. 3.斬新なアイデアが生まれやすくなる
  3. ボトムアップには注意すべきデメリットも
    1. 1.意思決定に時間がかかる
    2. 2.思い切った改革ができなくなる
    3. 3.従業員の能力や意志に左右される
  4. ボトムアップとトップダウンはどちらが優れている?メリット・デメリットの比較
  5. ボトムアップ・トップダウンの組み合わせも選択肢のひとつ
    1. 【STEP1】上層部による提案
    2. 【STEP2】下層部によるプロジェクトの推進
    3. 【STEP3】上層部による意思決定
  6. 最適な意思決定手段はシーンによって変わる
  7. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ

ボトムアップとは?

ボトムアップとは、企業の下層部が意見やアイデアを出し、その提案を上層部が吸い上げる方式の意思決定手段である。ここで言う下層部とは主に現場のことであり、ボトムアップ型の企業では現場のメンバーや従業員に多くの裁量が与えられる。

○ボトムアップのイメージ

ボトムアップとトップダウンの違いとは? メリット・デメリットから組み合わせ方まで詳しく解説

ボトムアップ型は事業の多様化や経営人材の育成に適していることから、近年では成長局面に入っている企業などから注目されている。

ボトムアップとトップダウンの違い

一方で、経営者などの上層部が提案・意思決定をする方法は「トップダウン」と呼ばれている。

○トップダウンのイメージ

ボトムアップとトップダウンの違いとは? メリット・デメリットから組み合わせ方まで詳しく解説

上図を見るとわかるように、トップダウン型の企業では提案などの承認作業が必要ない。経営者が会社全体の方向性を決め、その内容が「命令」や「指示」といった形で下層部に伝えられるため、ボトムアップ型に比べると意思決定のスピードが速くなる。

したがって、トップダウン型は経営者にカリスマ性がある企業や、早期の成長が必要なベンチャー企業などに多く採用されている。

ボトムアップを採用する3つのメリット

トップダウンに比べると意思決定のスピードは落ちるものの、ボトムアップにもいくつか魅力的なメリットがある。その中でも、以下では経営者が特に押さえておきたいメリットを紹介する。

1.現場の状況を反映しやすい

ボトムアップ型の企業では、常に現場の状況を反映した意思決定を下しやすくなる。現場の課題をスピーディーに解決できるだけではなく、わずかな変化にも気づけるため、深刻なトラブルを防ぐことにもつながるだろう。

企業の事業活動を支えるのはあくまで現場であり、上層部が商品やサービスを提供しているわけではない。したがって、ボトムアップ型によって現場の声を拾えるようになると、商品・サービスの品質も向上させやすくなる。

2.主体性のある従業員を育てられる

下層部が積極的に意見できる企業では、主体性のある従業員が育ちやすくなる。さらに、従業員の立場からすると自分の意見が会社を動かすことになるため、なかにはモチベーションが向上する従業員も現れるはずだ。

また、下層部が気軽に意見できるような環境を整えれば、近年注目される「働き方改革」や「ハラスメント防止」にもつながる可能性がある。

3.斬新なアイデアが生まれやすくなる

トップダウンに比べると、ボトムアップは提案をする人数が圧倒的に多い。そのため、ボトムアップ型の企業は良いアイデアが生まれやすく、イノベーションを実現できる可能性も高いと言われている。

ただし、ボトムアップ型によってイノベーションを生み出すには、下層部にも優秀な人材を集めることが必要だ。採用活動や人材育成の方向性によっては、アイデア全体の質が下がってしまうので注意しておきたい。

ボトムアップには注意すべきデメリットも

一方で、ボトムアップには以下のようなデメリットも潜んでいる。

1.意思決定に時間がかかる

前述の通り、ボトムアップ型の企業では提案を承認するための作業が必要となるため、意思決定のスピードが遅くなる。もし適切なタイミングでの投資判断が遅れた場合は、大きなビジネスチャンスを逃してしまうこともあるだろう。

また、設備トラブルや自然災害などの際にも、意思決定の遅れは致命的なダメージにつながる。

2.思い切った改革ができなくなる

基本的に下層部の従業員からは、会社に大きな変革をもたらすようなアイデアは生まれにくい。そもそも、業務内容の変化を望んでいない従業員も存在するため、ボトムアップ型の企業では思い切った改革は実現しづらいだろう。

また、現場に多くの裁量を与えていたとしても、すべての従業員が自由に発言できるとは限らない。自らの立場を意識して委縮する可能性もあるので、ボトムアップ型の企業では上下の人間関係や企業文化などにも目を向ける必要がある。

3.従業員の能力や意志に左右される

前述でも触れたが、ボトムアップ型の経営を成功させるには、とにかく優秀な人材を集めることが必要だ。もし従業員の提案能力が不足していると、会社が間違った方向に進んでしまう恐れがある。

また、従業員によっては会社の成長のためではなく、自らの業務負担を減らす目的で提案をする場合もある。したがって、ボトムアップの採用前には従業員の能力を把握し、意思確認のためのコミュニケーションにも力を入れなくてはならない。

ボトムアップとトップダウンはどちらが優れている?メリット・デメリットの比較

ボトムアップとトップダウンに優劣はなく、どちらにも一長一短がある。つまり、会社の状況によって適した意思決定手段は異なるので、ボトムアップ・トップダウンの違いは正しく理解しておくことが重要だ。

具体的にどのような違いがあるのか、以下でメリット・デメリットを比較してみよう。

ボトムアップとトップダウンの違いとは? メリット・デメリットから組み合わせ方まで詳しく解説

トップダウン型の最大のメリットは、意思決定のスピードが速い点にある。承認作業を挟まずに会社の方向性を決められるため、緊急事態やトラブルなどが発生しても迅速に行動できる。

ただし、トップダウン型ではカリスマ性のある経営者が必要になるため、世代交代を機に経営が傾くリスクもある。また、主体性のある従業員が自然と育ちにくいので、採用活動や人材教育に工夫をとり入れる必要があるだろう。

ここまでをまとめると、ボトムアップ・トップダウンはそれぞれ以下のような企業に適している。

ボトムアップとトップダウンの違いとは? メリット・デメリットから組み合わせ方まで詳しく解説

どちらを選ぶべきか迷っている企業は、上記を参考にしながら自社の現状をチェックしてみよう。

ボトムアップ・トップダウンの組み合わせも選択肢のひとつ

ボトムアップ・トップダウンにはそれぞれ強みと弱みがあるため、可能であればシーンに合わせて使い分けることが望ましい。例えば、迅速な意思決定が求められるシーンではトップダウンを、現場を改善したい場合はボトムアップのように使い分ければ、理想により近い体制を築ける。

実は、ボトムアップとトップダウンを組み合わせた方法はすでに存在しており、この方法は「トップダウンデモクラシー」と呼ばれている。どのような手順で意思決定を下すのか、基本的な流れを以下で紹介しておこう。

【STEP1】上層部による提案

まずは、経営者などの上層部がプロジェクトなどに関するアイデアを出す。ただし、そのまま指示をするだけではトップダウンと同じであるため、トップダウンデモクラシーでは「変化の必要性」を訴えることが重要だ。

従業員に変化の必要性が伝わると、社内全体が現状に危機感をもつようになり、新たなプロジェクトや変革を進めやすくなる。

【STEP2】下層部によるプロジェクトの推進

次のステップでは、上層部から伝えられたプロジェクトを下層部が推進する。現場が中心となって試験運用を行えば、本格的な運用の前にリスクや課題などを見つけやすくなる。

ここではより多くのリスク・課題を見つける必要があるため、事前に以下のような体制を築いておくことが望ましい。

・さまざまな立場や部門の従業員を集めておく
・各従業員の役割を明確にする
・積極的に課題解決に取り組めるような環境を用意する

例えば、各従業員に十分なリソース(資金や設備など)が与えられていない場合は、積極的な課題解決が難しくなってしまう。少しでも多くの課題・リスクを見つけることが将来の成功につながるので、準備にかける時間やコストは惜しまないように意識したい。

【STEP3】上層部による意思決定

下層部(現場)から課題解決に関する提案が届いたら、その内容をもとに上層部が最終的な意思決定を下す。ここで意識しておきたいポイントは、現場の意思をできるだけ反映させることだ。

上層部が独断で最終決定をすると、トップダウン型と変わらない企業体質になってしまう。トップダウンデモクラシーのメリットは、上層部・下層部の提案をバランスよく反映できる点なので、現場の意思をくみ取りながら最終決定を下すことを心がけたい。

なお、上層部・下層部のやり取りが多いトップダウンデモクラシーは、ボトムアップに比べても意思決定のスピードが遅い。つまり、緊急性が求められるシーンには適していないため、その点に注意しながら導入する範囲を検討しよう。

最適な意思決定手段はシーンによって変わる

企業が意思決定をする方法は、大きく「ボトムアップ」「トップダウン」「トップダウンデモクラシー」の3つに分けられる。いずれの方法にもメリットとデメリットがあるため、意思決定の流れは一律で固定すべきではない。

最適な意思決定手段はさまざまな要因によって変わってくるので、シーンに合わせてうまく使い分けることを心がけよう。

事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ

THE OWNERでは、経営や事業承継・M&Aの相談も承っております。まずは経営の悩み相談からでも構いません。20万部突破の書籍『鬼速PDCA』のメソッドを持つZUUのコンサルタントが事業承継・M&Aも含めて、経営戦略設計のお手伝いをいたします。
M&Aも視野に入れることで経営戦略の幅も大きく広がります。まずはお気軽にお問い合わせください。

【経営相談にTHE OWNERが選ばれる理由】
・M&A相談だけでなく、資金調達や組織改善など、広く経営の相談だけでも可能!
・年間成約実績783件のギネス記録を持つ日本M&Aセンターの厳選担当者に会える!
・『鬼速PDCA』を用いて創業5年で上場を達成した経営戦略を知れる!

✉️経営、事業承継・M&Aの無料相談はこちらから

文・片山雄平(フリーライター・株式会社YOSCA編集者)

無料会員登録はこちら