2022年3月2日、ロンドンでサザービーズオークション「Modern & Contemporary Evening Auction」が開催。大注目のルネ・マグリットの名作が出品された注目のオークションより、落札価格の高かったTOP5の作品とANDART取り扱いアーティストの落札情報をピックアップして紹介。£1=154.16円で計算、落札価格は手数料込み。
5)フィンセント・ファン・ゴッホ
《A Pair of Lovers (Eglogue en Provence)》
落札価格:約15億4,391万円(£10,015,000)
![《A Pair of Lovers (Eglogue en Provence)》(1888年)](https://cdn.the-owner.jp/600/878/DfdMyVSaSloYEAUxZkEAcRbopAGysLMp/53e253cb-741c-4f05-8993-68ca1cf24166.jpg)
代表作《ひまわり》で知られるポスト印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。本作はゴッホが南フランス・アルルに到着した翌月の1888年3月に描かれたもの。ゴッホは弟・テオとの手紙のやり取りで、この作品について「ステンドグラスのような色彩と、しっかりとした輪郭のデザインを目指した」と触れている。ゴッホのキャリアの中でも特に重要なアルル時代において、当時ゴッホが目指していたものが凝縮された作品。(予想落札価格:約10億7,912万円〜15億4,160万円/£7,000,000〜10,000,000)
4)パブロ・ピカソ《Buste de femme accoudée, gris et blanc》
落札価格:約18億4,503万円(£11,968,300)
![《Buste de femme accoudée, gris et blanc》(1938年)](https://cdn.the-owner.jp/600/727/jwfWmJxEsRuidJJUnJnsjOgvVGmFVlEj/227847a8-f9e2-45b2-9357-1fe81f4ef390.jpg)
代表作であるマリー=テレーズ・ウォルターの肖像画や《ゲルニカ》(1937年)を生み出した1930年代は、パブロ・ピカソにとって重要なディケードである。それまでマリー=テレーズ・ウォルターをモデルに金髪や曲線的な身体を描いていたが、1936年に芸術家のドラ・マールに出会うと、身体は角張り、より個性が強調された表現へと移行。本作は2人の女性の間(オルガ・コクローヴァとの離婚はまだ成立していなかったので実際には3人)で揺れ動き、彼女たちの違いを物語るような作品。(予想落札価格:約15億4,160万円〜23億1,240万円/£10,000,000〜15,000,000)
ANDARTでは、最期の妻・ジャクリーヌを描いた肖像画のプリント作品を取り扱い中。
3)デイヴィット・ホックニー《Garrowby Hill》
落札価格:約21億7,272万円(£14,093,950)
![《Garrowby Hill》(2017年)](https://cdn.the-owner.jp/800/536/IneZPoMeqRLfkmOmoTlZDZVdAexRPDrI/7316b0a7-199d-4faf-b918-d6474e2331f0.jpg)
イギリスのアーティスト、ディヴィット・ホックニーの代表作の一つである《Garrowby Hill》は、イギリスの東ヨークシャーの風景を描いた作品。本作はボストン美術館が所蔵する1998年の同名の作品に基づき、六角形のキャンバスで再構築したもの。1998年から20年後に再びこの構図に戻ってきたことが《Garrowby Hill》の重要性を示している。(予想落札価格:約11億5,620万円〜16億1,868万円/£7,500,000〜10,500,000)
ANDARTでは、ホックニーのスイミングプールを描いた代表的なシリーズの「Paper Pools」のリトグラフ作品を取り扱い中。
2)クロード・モネ《Nymphéas》
落札価格:約35億8,091万円(£23,228,500)
![《Nymphéas》(1914-17年)](https://cdn.the-owner.jp/600/782/jsUqXtUburBVoyUvLjICEuHSuTKacGoy/e66580ff-f775-4c54-9d15-8a27ca05b4ed.jpg)
クロード・モネは「印象派」の名前の由来となった代表的な画家。《Nymphéas》は、モネを象徴する連作テーマ「睡蓮」を描いた油彩画の一つ。第一次世界大戦中に制作され、130.5×100cmと大型である本作は、モネが抽象的表現の領域へと向かっていった最後の大きな時期に制作された重要な作品。(予想落札価格:約23億1,240万円〜30億8,320万円/£15,000,000〜20,000,000)
1)ルネ・マグリット《L’empire des lumières》
落札価格:約91億6,050万円(£59,422,000)
![《L’empire des lumières》(1961年)](https://cdn.the-owner.jp/600/400/BodBIRWMnkwykSchZwSBYdsilmoUwPPu/ad1367f3-1f27-4c0e-a392-64a05ebca84c.png)
ベルギー生まれのシュルレアリスムを代表する画家の一人、ルネ・マグリット。「L’empire des lumières(光の帝国)」は、1948年にマグリットが昼と夜の両方を同時に表現したテーマで制作を始めたシリーズで、17点の油彩画が発表されている。本作は、パトロンのピエール・クロウエの娘であるアンヌ=マリー・ジリオン・クロウエ男爵夫人のために制作されたもの。今回の結果は、ベルギーのシュルレアリストおよびマグリットのオークション新記録となった。(予想落札価格:約69億3,720万円〜/£45,000,000〜)
【ANDART取り扱いアーティスト落札情報】
ジャン=ミシェル・バスキア《Untitled》
落札価格:約5億904万円(£3,302,000)
![《Untitled》(1981年)](https://cdn.the-owner.jp/800/654/uPKJaEjWQGUfyvzpwlDYMNWsKEqTjNBi/2b366687-16ce-46b4-b77d-7d6a8fc04c7b.jpg)
ストリートで活動していたジャン=ミシェル・バスキアが展覧会「ニューヨーク/ニューウェイブ」に参加したのが本作《Untitled》の制作年である1981年。それまで正式な場で評価されたことのなかったバスキアは国際的なアート界へ本格的に参入することとなり、1981年はバスキアにとって飛躍的な年とされている。キャンバスの上に垂れる白と黒のスプレー塗料がバスキアのグラフィティを想起させる作品。(予想落札価格:約4億82万円〜5億5,498万円/£2,600,000〜3,600,000)
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文:ANDART編集部