DMP/MA市場,2019年
(写真=Zapp2Photo/Shutterstock.com)

急拡大するDMP/MA市場、2019年には34.4%増の668億円に成長見込

~DMPは顧客個人を軸としたマーケティング施策展開が加速、MAはAIを活用した予測やオフラインデータとの統合が進展の見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内DMP/MA市場を調査し、市場概況、参入企業の動向や将来展望を明らかにした。

DMP/MA市場規模推移・予測

DMP/MA市場規模推移・予測

1.市場概況

2018年のDMP/MA市場規模(事業者売上高ベース)は497億円となった。そのうち、DMP市場規模が107億円、MA市場規模が390億円であった。DMP/MA市場が拡大している要因としては主に二つ挙げられる。一つ目は、ユーザー企業側が自社商品の購入前から購買後までのそれぞれのプロセスにおける顧客接点において、顧客一人ひとりにパーソナライズされた体験を提供し、顧客体験の質の向上に取り組んでいることがある。二つ目としては、日本では人口減少により働き手が減り、働き方改革が進められていることを背景に、ユーザー企業内で効率的な営業活動による生産性向上の必要性が高まっていることである。

近年、DMP市場において、マーケティング施策を効率よく最適化すべく、BtoC向け事業者のみならず、BtoB向け事業を展開するユーザー企業においてもその利用が進んだことや、オフラインデータとの統合など顧客体験の質を高める用途での利用が増加した。また、MA市場においては、ユーザー企業のMAに対する認知が高まり、中堅・中小企業でもMAの導入が進んだ。MAの新規導入を行うユーザー企業が増加している一方で、マーケティングツールベンダーの住み分けも進んだことから、目的に応じて複数ツールの併用や他のMAツールへと乗り換えるケースも増えてきている。

2.注目トピック

顧客セグメントによるデータ管理ではなく、個人を軸としたデータ管理へ

DMP市場においては、顧客をセグメント化して管理するのではなく、顧客個人を軸としたデータ管理を行うプライベートDMP(CDP:Customer Data Platform)の利用が確実に増えている。
CDPを利用することにより、ユーザー企業は顧客個人を軸にデータをリアルタイムに収集し、活用していくことで、顧客がどのような経緯で自社サイトに到着し、自社サイトでどのようなコンテンツを閲覧したのか、といったカスタマージャーニーを追いやすくなる。さらに顧客一人ひとりを軸としているため、広告/メール/DMなどの配信チャネルの使い分けなど、マーケティング施策をより高い確度で実施できる。

3.将来展望

今後も市場は拡大傾向が続き、2024年のDMP/MA市場規模(事業者売上高ベース)を1,330億円、そのうちDMP市場は390億円、MA市場が940億円に成長すると予測する。顧客体験の質の向上や効率的な営業活動の展開に向け、DMP/MAを利用するユーザー企業数は増加すると見込む。
IoTの普及や5Gの登場などを背景に、ユーザー企業が扱うデータは今後急増する見通しで、データを統合・分析、活用するためのプラットフォームであるDMPの需要はますます高まると考える。MAにおいてはAIを活用した、より正確な顧客傾向や嗜好の把握、分析の精度向上、顧客の行動予測などがますます活発になるとともに、オンラインとオフラインの融合も加速していくとみる。