ユニコーン企業の定義は? 日本の現状や世界のランキングリストを解説!
(画像=rudall30/stock.adobe.com)
風間 啓哉
風間 啓哉(かざま・けいや)
監査法人にて監査業務を経験後、上場会社オーナー及び富裕層向けのサービスを得意とする会計事務所にて、各種税務会計コンサル業務及びM&Aアドバイザリー業務等に従事。その後、事業会社㈱デジタルハーツ(現 ㈱デジタルハーツホールディングス:東証一部)へ参画。主に管理部門のマネジメント及び子会社マネジメントを中心に、ホールディングス化、M&Aなど幅広くグループ規模拡大に関与。同社取締役CFOを経て、会計事務所の本格的立ち上げに至る。公認会計士協会東京会中小企業支援対応委員、東京税理士会世田谷支部幹事、㈱デジタルハーツホールディングス監査役(非常勤)。

創業して間もないにもかかわらず、世界を圧倒させている企業がある。その名もユニコーン企業だ。ただ、日本では世界と比べてユニコーン企業が少ない。今回はユニコーン企業の定義をはじめ、日本の現状・課題や世界のランキングリストなどを解説していく。

目次

  1. ユニコーン企業とは?
    1. ユニコーン企業の由来
    2. ユニコーン企業の現状
  2. ユニコーン企業の要件2つ
    1. 要件1.創業から10年以内のスタートアップ企業である
    2. 要件2.企業価値評価額が10億ドル以上である
  3. 世界のユニコーン企業ランキングリスト
    1. 上位20社のランキング
    2. 国・エリア別のランキング
  4. 日本でユニコーン企業が少ない2つの理由
    1. 理由1.起業する人材が少ない
    2. 理由2.成功するスタートアップ企業が少ない
  5. ユニコーン企業を誕生させるために克服すべき2つの課題
    1. 課題1.リスクが許容される社会の構築
    2. 課題2.イノベーション人材の確保
  6. ユニコーン企業とは異なる新たな企業
    1. ゼブラ企業の概要
  7. ユニコーン企業を増やす鍵は投資にある
  8. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ

ユニコーン企業とは?

ユニコーン企業の定義は、時価総額が10億米ドル以上ある非上場のスタートアップ企業だ。まずは気になる由来や日本の現状から解説していく。

ユニコーン企業の由来

ユニコーン企業の名称は、米国のカウボーイ・ベンチャーズのベンチャーキャピタリストであるアイリーン・リーが2013年に提唱したとされている。

ユニコーンは、ギリシャ神話に登場する幻の動物だ。一角獣ともいわれ、額の中央に1本の大きな角をはやした馬とされている。

2013年当時の投資市場において、10億ドル以上の評価額を持つスタートアップ企業(ベンチャー企業)は大変珍しかったことから、幻の動物であるユニコーンに例えられたのだろう。

ユニコーン企業の現状

日本政府は「未来投資戦略2018」において、2023年までにユニコーン企業を20社創出することを掲げてきた。

さらに、その目標を達成するプロジェクトとして、2018年に経済産業省主導の支援プログラム「J-Startup」もスタートしている。

経済の底上げに向け、グローバルに活躍できるユニコーン企業の増加が期待されてきた。その結果、スタートアップ企業の中からユニコーン企業も現れ始めている。

ユニコーン企業の要件2つ

ユニコーン企業には主に2つの要件がある。

要件1.創業から10年以内のスタートアップ企業である

ベンチャーキャピタルなどの投資家は、高いリターンを狙うために大きな成長が見込める企業に目星を付ける。

大成長を遂げるためには、未上場の若い企業が未開拓の領域で新規事業を立ち上げ、多額の資本投下によって市場を占有し、迅速にビジネスを遂行していかなければならない。

そのため、創業10年以内という要件が設定されている。

要件2.企業価値評価額が10億ドル以上である

成長性を示す金額的な目安として、企業価値評価が10億ドル以上という基準が設けられている。

100億ドル以上の企業はデカコーン企業と呼ばれ、1,000億ドル以上の企業はヘクトコーン企業といわれることがある。ちなみにデカ(deca)は10倍、ヘクト(hecto)は100倍を意味する接頭語だ。

世界のユニコーン企業ランキングリスト

米国調査会社のCBインサイツは、世界のユニコーン企業ランキングのレポートを公表している。今回は、上位20社のランキングと国・エリア別のランキングを紹介してみたい。

上位20社のランキング

2021年11月時点における世界のユニコーン企業ランキングのうち上位20社を一覧としてまとめた。

ユニコーン企業の定義は? 日本の現状や世界のランキングリストを解説!

同社によると、世界で最も評価額が高いユニコーン企業は、動画投稿アプリTikTok(ティックトック)を運営する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)で、企業価値は1,400億ドルとなっている。

米国の宇宙開発企業SpaceXや米国のオンライン決済サービスStripe、スウェーデンの後払い決済サービスKlarna、オーストラリアのデザイン制作サイト運営会社Canvaも上位にランクインした。

最新のランキングは下記のリンクから確認できる。

参照:The Complete List Of Unicorn Companies(CB-Insights)

国・エリア別のランキング

CBインサイツのユニコーンランキングのレポートに含まれている917社の企業を国別に集計すると、トップが米国の470社で、2位が中国の169社となっている。

それぞれ世界経済をけん引する国であるから当然の結果だろう。3位にはインドの48社、4位には英国の34社が続く。

スタートアップの宝庫ともいわれるイスラエルは20社で5位となった。

エリアでみると、トップが北米の485社、2位がアジアの269社、3位がヨーロッパの130社となっている。

日本でユニコーン企業が少ない2つの理由

2021年11月時点におけるCBインサイツのユニコーン企業ランキングのレポートをご紹介したが、917社の中には日本企業も6社含まれている。しかし、米国や中国、欧州などの数と比較すると、日本のユニコーン企業は極端に少ない。

なぜ、日本にはユニコーン企業と呼ばれるスタートアップ企業が少ないのだろうか?

理由1.起業する人材が少ない

大きな理由として挙げられるのは、そもそも起業する人材が少ないことだろう。

若い世代で安定志向が強いとされる日本では、大学や大学院を卒業した優秀な人材の多くが大手や有名企業に就職する傾向が強い。そのため、若い起業家が生まれにくく、起業家の育成が進んでいないという現状がある。

理由2.成功するスタートアップ企業が少ない

成功するスタートアップが少ないという問題もある。日本ではほかの先進国と比べ、ベンチャーキャピタルからの投資額が少なく、ユニコーン企業を育てる資金がそもそも不足している。

初期投資が少額だと、急激な成長を遂げる可能性が失われてしまう。緩やかな成長線しか描けないスタートアップ企業も多くなるだろう。

その結果、まとまった資金を調達しようとした場合は消去法的にIPOになり、小規模の上場会社が増えるという悪循環が発生してしまう。

ユニコーン企業を誕生させるために克服すべき2つの課題

日本でユニコーン企業が誕生するために克服すべき課題を考えてみたい。

課題1.リスクが許容される社会の構築

ローリスクからはローリターンしか得られない。ハイリターンを得るにはハイリスクの選択が不可欠である。

失敗を恐れず革新的な事業を立ち上げるために、起業家の積極的なチャレンジが必要だ。

もちろん起業家だけでなく、投資家にもリスクの許容精神が欠かせない。失敗したプロセスを将来の成功に転換しやすい社会の構築が必要である。

課題2.イノベーション人材の確保

革新的なテクノロジー開発には、独自のアイディアを有するハイスキルなイノベーション人材が不可欠である。

創業間もないスタートアップ企業において、社内での人材育成には限界がある。そのため、優秀な人材を集める必要があるが、資金がなければ人材を確保できない。

走りながら細々とした資金調達で人材を集め、再び少額の資金を調達する流れは好ましくない。

ユニコーン企業とは異なる新たな企業

数多くのスタートアップ企業が、次なるGAFAを目指すべく、大規模な資金調達や買収などで、世間を圧倒するユニコーン企業を目指してきた。

実際にユニコーン企業は、未開拓あるいは開拓途上の市場を圧倒的なスピードで独占し、巨額の利益を獲得してきた。

しかし、近年になってSDGsが社会的に注目され始めている。社会問題や環境破壊などを置き去りにしたまま利益を追求する企業は社会的に評価されづらい風潮になった。

このような流れから、米国でゼブラ企業という概念も提唱され始めた。

ゼブラ企業の概要

ゼブラ企業とは、サステナビリティを重視し、共存性を価値とするスタートアップをさす。ユニコーン企業に相反する概念とされている。

ゼブラ(Zebra)はシマウマを意味し、企業利益と社会貢献という相反する目的が白黒模様にたとえられている。

ゼブラ企業の特徴は、社会貢献を第一目的とし、公共機関や顧客なども含めた全関係者の利益を目指すことにある。

自社の利益や資源などをステークホルダーと共有するには、事業の透明性も求められる。

ユニコーン企業とは異なるゼブラ企業の提唱を機に、あらためて企業の存在価値を見直す時代が到来しているといえよう。

ユニコーン企業を増やす鍵は投資にある

世界的なユニコーン企業のスピードや革新性などをみると、日本では経済成長に向けた投資が貧弱であることを痛感する。

教育や研究の分野でも、唯一無二の個性を伸ばしていく教育や、革新的な技術開発を目的とした研究など、変革の余地は多いといえよう。

投資は工場や施設の建設が目的ではない。本当に必要な分野に投資を行う機運が高まることを切に願う。

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文・風間啓哉(公認会計士・税理士)

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