ソフトバンク、売上過去最高の影で辛くも「減益」のワケ
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

携帯通信大手のソフトバンクは2022年2月3日、2022年3月期第3四半期の連結業績を発表した。第3四半期までの2021年4~12月の累計では、売上高は過去最高を記録したものの、純利益は3.0%減と減益となった。何が利益を圧迫したのか。決算発表の内容を紐解く。

2021年4~12月の累計の業績は?

2021年4~12月の累計では、売上高が前年同期比9.6%増の4兆1,738億2,900万円、営業利益が2.4%減の8,212億1,100万円で、純利益は3.0%減の4,208億3,400万円だった。

ソフトバンク、売上過去最高の影で辛くも「減益」のワケ

セグメント別の売上高では、「ヤフー・LINE」セグメントの伸びが最も大きく、前年同期比33%増を記録した。「法人」セグメントが同4%増、「コンシューマ」セグメントが同3%増、「流通」セグメントのみ、同1%減と減収となった。

ソフトバンク、売上過去最高の影で辛くも「減益」のワケ

今期の通期業績の予想は据え置き、売上高は前期比5.7%増の5兆5,000億円、営業利益は同0.4%増の9,750億円、純利益は同1.8%増の5,000億円に着地する予定だという。

売上増にも関わらず減益となった理由は?

ざっと決算の数字を紹介してきたが、今期は第3四半期までの累計で売上高を伸ばしているのに、今のところなぜ減益となっているのか。その理由としては、携帯料金の値下げの影響や、ソフトバンクが展開している格安通信プランの加入者が増加したことなどが挙げられる。

通信各社は日本政府からの要請を受け、相次いで携帯料金を値下げした。ソフトバンクも例外ではない。携帯料金の値下げは利益率の低下に直結する。また、ソフトバンクは「Y!mobile」や「LINEMO」の格安ブランドも展開しているが、格安ブランドも利益率が低いため、加入者の増加は利益率の悪化につながった。

2018年12月に上場後、増収増益を続ける

過去の業績も振り返っておこう。ソフトバンクは2018年12月に上場後、増収増益を続けている。

2019年3月期の売上高は3兆7,463億500万円だったが、前期の2021年3月期は5兆2,055億3,700万円まで増えた。営業利益も7,194億5,900万円から9,707億7,000万円へと伸び、3期で2,500億円以上も積み増している。「営業利益1兆円」も目前だ。

ソフトバンク、売上過去最高の影で辛くも「減益」のワケ

そして、記事の前半でも触れたが、今期の売上高は通期で5兆5,000億円を見込んでいる。第3四半期の終了時点ですでに進捗率は76%に上っており、第1、第2、第3四半期と売上高を伸ばし続けていることを考慮すると、5兆5,000億円の突破はかなり現実味がある。

PayPay事業も好調に推移

決算説明会では、スマホ決済サービス「PayPay(ペイペイ)」の事業が好調に推移していることも発表された。

ユーザー数は2022年1月時点で4,500万人超となっており、2021年4~12月における決済回数は前年同期比85%増の26億3,000万回に上っているという。決済取扱高ベースでいえば、前年同期比73%増の3兆9,000億円だ。

PayPayに関しては、2022年2月1日から「あと払い」機能を追加しており、利便性の向上などでさらにユーザーの増加や決済単価の向上を目指す。

ソフトバンクといえば、主にAI(人工知能)分野に対する投資事業に力を入れる「ソフトバンクグループ」への注目度も高いが、ソフトバンクの屋台骨とも言える通信事業の業績が今後どう推移していくのか、引き続き注目していきたいところだ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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