注目のオークション結果から、NFTのトピックまで。先週1週間でアートマーケットを賑わせたニュースを振り返ります。(1ドル=115円、1ポンド=154円 で換算)
アート投資
▍ANDART、現在進行形で世界から高い評価を受けるデイヴィッド・ホックニーの作品オーナー権を販売開始
日本初、アート作品の共同保有プラットフォーム「ANDART」では、現在進行形で世界から高い評価を受けるデイヴィッド・ホックニーの《Pool Made with Paper and Blue Ink for Book, from Paper Pools (M.C.A.T. 234)》のオーナー権を1枠1万円で 1月27日(木)より販売開始した。
ホックニーは現存する世界中のアーティストのオークション落札価格で2番目に高い記録を持っているアーティスであり、本作はホックニーの代表的なモチーフである「スイミングプール」を描いた作品だ。
※ アートマーケットから見たデイヴィッド・ホックニーについての解説はこちらから▶「デイヴィッド・ホックニーの最も高額な作品とは?オークション落札価格TOP3の作品を紹介」
▍Masterworks社、アート作品1点の売却で 投資に対して31.7%の価値上昇を達成
アート作品を証券化したアート投資のプラットフォーム「Masterworks」は、ジョージ・コンドの作品≪Staring Into Space≫を290万ドル (約3.3億円) で売却したことを発表した。同作品に出資した投資家は、2022年の第1四半期までに、手数料を差し引き、推定31.7%のIRR(内部収益率;利回りに近い投資効率の指標)でリターンを受け取ることができるという。「Masterworks」では今回が2回目の作品売却となり、2020年にはじめてバンクシーの作品を売却した際には、32%のIRRとなったという。(GlobeNewswire)
注目の作品
▍バンクシーがグラフィティを施したミニチュアの建物、約1.5億円で売却される
画像引用:https://www.standard.co.uk/
2021年の夏にイギリスで、「A Great British Spraycation」としてバンクシーがサプライズで次々とグラフィティを発表した中の1作品がオークションにかけられ、約100万ポンド (約1.5億円) で落札されたという。販売されたのは、田舎町全体をミニチュアで再現したモデルヴィレッジの中の馬小屋の模型。
バンクシーによるグラフィティであると発覚した後、一度はプラスチックのケースに入れて再展示していたものの、盗難を恐れてレプリカに置き換えられていた。モデルビレッジのオーナーは、実物の盗難の恐れが高まる中で販売を決意したといい、今回の落札結果には満足しているという。(Evening Standard)
▍ダミアン・ハーストの1億ドルのダイヤモンド・スカル、実は売却されていなかった
ダミアン・ハーストは、2007年に投資家グループに1億ドル (当時約120億円) で売却したとされていた作品《For the Love of God(神の愛のために)》が、実際には売却されていなかったことを「New York Times」誌のインタビューの中で語った。現在は、ハーストと彼のギャラリー、投資家グループと共同で同作品を所有しているとのことだ。この発表は、誇大広告と事実が混同されやすい業界の一端を明らかにしたものともいえる。(artnet news
なお、同インタビューによれば、ハーストは「顔料を使ったキャンバスには何百万ドルも払うのに、プラチナやダイヤモンドを使った作品には同レベルの買い手がつかないことに、いまだに不満を感じている」という。(New York Times)
▍ボッティチェリの ≪The Man of Sorrows≫、約52.2億円で落札。同作家史上2番目の落札額
ルネッサンス期の巨匠、サンドロ・ボッティチェリの作品が1月27日のサザビーズオークションに登場し、4,540万ドル (約52.2億円) で落札された。ボッティチェリの作品としては史上2番目に高い売上額となる。アシスタントが描いたものと長い間信じられていたが、2009年にボッティチェリの作品として再評価された作品。(artnet news)
NFT
▍ピカソの子孫がピカソ作品をモチーフにしたNFTの販売を計画するも、阻止される
画像引用:https://news.artnet.com/
ピカソの孫娘であるマリーナ・ピカソとその息子でDJのフロリアンは、1958年にピカソが制作した未公開のセラミックボウルをモチーフにした1,000個以上のNFTを発売する計画を発表した。しかし、ピカソの作品を管理する管理局(ピカソの子孫が運営)のメンバーがこれに反対。権利の関係上、この承認を得られなければ、NFTは「偽造品」となってしまうという。NFTのコレクションは、ピカソではなく、フロリアンの音楽作品をベースにした作品に変更される予定だという。(artnet news)
▍花井祐介が初のNFTシリーズを発表
独特のキャラクターアートで知られてるアーティストの花井祐介が、NFTシリーズを発表した。上海の宝龍美術館での個展に合わせたもの。花井の描いた数十人のドローイングをランダムに掛け合わせた、異なる1,000人のドローイングになっているという。本発表を受け、情報を受け取るためのDiscordコミュニティの登録は、設立から36時間以内で10万人を超えた。彼の作品のファンのひとりであるKAWSもDiscordに初めてログインしてお祝いのメッセージを送った。(People In The Place They Love)
オークション結果
▍日本人アーティストの作品が上位にランクイン【1/11〜21 クリスティーズオークション】
2022年1月11日〜21日、クリスティーズ(香港)がオンラインオークション「20th/21st Century Art Online Sale」を開催。近代美術から現代にわたって、アジア人アーティストの作品を中心に出品された。ANDART取り扱いの日本人アーティストの作品も高額で取引された。
▍20世紀を代表する画家たちの作品が上位にランクイン【1/22毎日オークション】
2022年1月22日、第695回毎日オークション「絵画・版画・彫刻」が東京で開催された。ジャンル、年代問わず多くの作品が出品され、落札金額は合計で約6.9億円を記録した。
▍TOP3はANDART取り扱いのアーティストたち【1/26フォーラムオークション】
2022年1月26日、ロンドンでフォーラムオークション「Prints and Editions」が開催。幅広い年代・ジャンルから、人気アーティストのプリント作品やフィギュアなどが出品された。ANDART取り扱いアーティストたちのプリント作品も上位にランクインした。
コラボレーション
▍ダニエル・アーシャム と ポケモンが東京をジャック。ティザームービーや、コラボグッズも発表に
ダニエル・アーシャムとポケモンのコラボレーションによるアートプロジェクトの第3弾「A Ripple in Time / 時の波紋」が2月に都内5箇所で開催される。これに先がけ、ダニエル・アーシャム自身がアニメキャラクターとして登場するティザームービーが1月28日に公開された。97年放送のテレビアニメ「ポケットモンスター」から総監督を務める湯山邦彦とダニエル・アーシャムのコラボレーションによって生まれたアート作品としてのショートアニメーションの本編は「NANZUKA UNDERGROUND」で発表予定だという。
会期中、「NANZUKA UNDERGROUND」ではエディション作品のほか、結晶化したピカチュウのぬいぐるみを販売。また「NANZUKA 2G」では、本展のために製作された限定コレクションのTシャツやスウェット、キーチェーンなどのグッズも販売される。(特設サイト)
▍ダミアン・ハースト、エミネムの過去のアルバムアートワークを刷新。収益はチャリティに
昨年、ドレイクのアルバムアートワークを手がけて話題となったダミアン・ハーストだが、今度はエミネムのアルバムアートワーク12枚をリデザインした。レコードレーベル「Interscope Records」創立30周年を記念したプロジェクトの一環。ハーストはこのジャケットを無料で制作し、その収益はすべてサウスロサンゼルスに学校を建設するために使われるという。(FAD magazine)
▍メディコム・トイ、アンディ・ウォーホル ✕ ジャン=ミシェル・バスキア のBE@RBRICK第3弾を発表
「メディコム・トイ」は、アメリカを代表するアーティスト、アンディ・ウォーホルとジャン=ミシェル・バスキアの2人の作品をモチーフにしたBE@RBRICKを発売する。この2人のアーティストをテーマとするのは今回で3回目。ゴールデンイエローをベースに、バスキアの特徴である新表現主義とウォーホルのモダンアートを表現し、背面には2人のサインとバスキアの王冠のモチーフが描かれている。(HYPEBEAST)
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文:ANDART編集部