ビジネスモデルにはさまざまな種類があるが、事業で成功を収めるには工夫が大切だ。今回はビジネスモデルについて有名企業や個性的な事業の成功事例をパターン別に紹介していく。ビジネスモデルの構築や分析に役立つビジネスモデルキャンバスもぜひ参考にしてほしい。
目次
ビジネスモデルとは?
ビジネスモデルとは、商品やサービスといった価値を提供して収益を得る仕組みをさす。商品やサービスが同じでも、異なるビジネスモデルを採用したり、ビジネスモデルを磨いたりすることで、競合他社との差別化が可能となる。
代表的なビジネスモデルの種類
ビジネスモデルにはさまざまな種類がある。代表的なビジネスモデルは次の通りだ。
複数のビジネスモデルを組み合わせられる
同じ商品やサービスでも、複数のビジネスモデルを組み合わせられる。たとえば、ラーメンを調理して販売するのは販売モデルだが、月額料金制で大盛り無料のサービスを提供すればサブスクモデルとなる。
工夫次第で顧客のニーズに応えながら事業の成長や経営の安定を実現できる。
広告ビジネスモデルの成功事例2選
広告ビジネスモデルで成功するには、膨大なユーザーに広告を届けなければならない。検索エンジンやテレビ、新聞、SNSのいずれにせよ、広告媒体を通してユーザーを集めるまでが至難の業だ。しかし、一度ビジネスモデルを確立すれば継続的に大きな収益をあげられる。
成功事例1.Google
Googleは、広告主から収益を得ることで、検索エンジンやマップ機能などさまざまなサービスを提供してきた。
アフィリエイトブログ等でバナーとして表示されるGoogle AdSenseや、検索結果の一覧に表示されるリスティング広告など、いくつかの種類がある。
Googleは動画配信サイトYouTubeを買収し、YouTube広告もGoogleの収入源となった。
成功事例2.Facebook
Facebookを運営するメタは、広告主から収益を得ることでSNSサービスを提供している。メタ(当時の社名はFacebook)はInstagramを買収して、ストーリーズ広告やリール広告などさまざまな種類の広告も展開した。
サブスクリプションビジネスモデルの成功事例2選
近年、サブスクリプションビジネスモデルが話題となっており、個性的なサブスクが数多く登場している。商品やサービスを月額料金制で提供すれば、収益の安定が見込まれる。サブスクビジネスモデルは成長途上の分野で、中小企業やスタートアップ企業でも、アイデア次第で成功を収められる可能性がある。
成功事例1.サマリーポケット
サマリーポケットは、すぐに使わないものを箱に詰めて送るだけで倉庫に保管してくれる収納サービスだ。スタッフが荷物を撮影してリスト化したり、無料で集荷や配送をしたりするなど、顧客の需要に応えたサービス設計だ。
成功事例2.Amazonプライム
Amazonでプライム会員登録をすると、お急ぎ便や日時指定便が無料になったり、動画や音楽を無料で視聴できたりする。月額500円という価格設定も会員数を爆発的に伸ばす要因なのだろう。
マッチングビジネスモデルの成功事例2選
インターネットの普及にともない、新しいマッチングビジネスモデルがさまざま登場した。マッチングビジネスモデルもアイデア次第で大きな収益を生む可能性がある。マッチングビジネスモデルで成功するには、スポットライトの当たっていない世の中のニーズを察知する情報感度が重要だ。
成功事例1.メルカリ
フリマアプリのメルカリは、すでに名前を知らない人がいないほど生活に浸透した。モノを売りたい出品者とモノを買いたい購入者をマッチングし、手数料(販売価格の10%)を受け取ることで収益を得ている。
成功事例2.Airbnb
Airbnb(エアビーアンドビー)は、空き家を持つホストと旅行者であるゲストをサイト上でマッチングするサービスだ。ホストは使っていない空き家や空き部屋を貸し出して収益を獲得し、旅行者はホテルや旅館より安く宿泊できる。Airbnbはホスト・ゲスト双方から手数料を得ている。
販売ビジネスモデルの成功事例2選
最もシンプルな仕組みの販売ビジネスモデルでも、工夫次第で競合他社と差別化できる。ありそうでなかった領域でビジネスを展開できれば、一気に顧客を獲得できるだろう。
成功事例1.俺のフレンチ
俺のフレンチは、従来のフレンチを覆す立ち食いフレンチというビジネスモデルで成功を収めている。食材にお金をかけつつも回転率を上げることで、安くて美味しいフレンチの提供を実現した。
成功事例2.未来食堂
未来食堂は、気分や食べたいものに合わせたおかずを用意してくれるレストランだ。商品やサービスの選択肢が増える中で、自分にぴったりの内容を求める人は増加傾向にある。顧客の需要に応えるビジネスモデルで成功を収めたのだろう。
レンタルビジネスモデルの成功事例2選
あらゆる領域でシェアリングエコノミーが登場し、所有から共有へという潮流が生まれている。所有という形態に縛られず、レンタルビジネスモデルを考案すれば、新たな顧客の獲得につながるかもしれない。
成功事例1.Rentio
Rentio(レンティオ)では、最新のデジタルガジェットをレンタルできる。デジタルガジェットの使い心地を確認してから購入したいという需要に応えたサービスといえよう。
成功事例2.枕のレンタルサービス
枕は睡眠の質に大きな影響を及ぼすが、店舗で使い心地を試すことは難しい。枕のレンタルサービスでは、50種類以上の枕から3つ選択し、20泊1,000円でレンタルして使い心地を試せる。
ビジネスモデルの構築や分析に役立つフレームワークの例
ビジネスモデルの構築や分析に悩む方もいるだろう。その場合、ビジネスモデルキャンバスと呼ばれるフレームワークが役立つ。
ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルの可視化に特化したフレームワークだ。9つの構成要素から成り立ち、各要素を1枚のシートに書き出していく。
ビジネスモデルを可視化することで、強みや経営課題が見えやすくなる。社員と意識を共有する際にも役立つだろう。可視化したあとは、現状の課題や改善策を書き出し、実践に落とし込むことが重要だ。
ビジネスモデルの例を参考にして事業の成功を目指す
事業を成功に導くためには、自社のビジネスモデルを深く理解することが重要だ。ビジネスモデルを分析すれば、商品やサービスの強み、経営課題、具体的な改善策などが見えてくる。さまざまなビジネスモデルの例を参考にして、自社のビジネスモデルを磨きながら事業の成長を目指したい。
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文・木崎涼(ファイナンシャルプランナー、M&Aシニアエキスパート)