注目のオークション結果から、コラボレーション情報まで。ANDARTお取り扱いのアーティストの話題を中心に、1週間のニュースを振り返ります。(1ドル=116円、1ポンド=157円 で換算)
アーティスト
▍バスキアの生涯が映画に。黒人の映画監督が手がけるのは初
画像引用:https://hypebae.com/
1980年代の著名な黒人アーティストであり、27歳の若さで亡くなったアーティスト ジャン=ミシェル・バスキアの生涯を描いた映画が、今年、新たに制作されることが明らかとなった。演じるのはケルヴィン・ハリソン・ジュニア、監督はナイジェリア系アメリカ人の映画作家 ジュリアス・オナ。バスキアの物語が、黒人の映画監督によって描かれるのは初となる。(HYPEBAE)
▍英国の奴隷商人の像を倒した「コルストン・フォー」は無罪に。バンクシーが法的保護のための資金を調達
昨年、人種差別抗議デモの際に、17世紀の奴隷商人エドワード・コルストンの銅像を倒したことに関連して裁判を受けた4人、通称「コルストン・フォー」は裁判の結果、無罪となった。バンクシーは先月、彼らの訴訟費用を捻出するために限定Tシャツを発売していた。検察側は、銅像の無断撤去はコルストン4人組の犯罪行為であると主張したが、市民らが像の撤去を支持したことが、弁護側の重要な要素となった。(artnet news)
なお、彼らの支援のためにバンクシーが1枚30ポンド (約4,700円) で販売したチャリティTシャツは、販売から1ヶ月も経たない現在、eBayなどのオンラインサイトで2,000ポンド (約31万円) もの値が付けられて転売されているものもあるようだ。(LBC)
▍バンクシーの出資した船が難民の一段を送り届ける
画像引用:https://www.breitbart.com/
バンクシーが出資し、装飾も手がけた船「ルイーズ・ミッシェル」がイタリアのランペドゥーサ島に31人の移民・難民を運んだ。同船は全長30メートルの旧フランス海軍の船で、バンクシーのアート作品の売却益で購入したもの。それまでは、主にチュニジアとバングラデシュからの移民たちは、過密状態の木造船で航海していたが、同船はヨーロッパ中から集まった救助の専門家チームが船長と乗組員を務めている。(Euronews)
アートワーク
▍KAWSの「HOLIDAY」第8弾が中国の長白山に上陸。雪だるまにインスパイアされた巨大な「コンパニオン」
画像引用:https://popbee.com/
KAWSは、新しい年の幕開けに「HOLIDAY」インスタレーションの第8弾を発表。昨年10月のシンガポールに続き、中国・吉林省の長白山に巨大な彫刻が登場した。冬に合わせた大型の「コンパニオン」(KAWSのオリジナルキャラクター)は、雪に覆われた姿となっている。KAWSは、「世界中で人々が直面している問題を考えると、今はパブリックアートが必要な時期だと思います」と述べている。
このイベントを記念して、KAWSは限定グッズのコレクションを発表。3色の8.5インチフィギュアや、ハンドウォーマー、500個限定のスノードームデコレーションなどが発売される。(HYPEBAE)
▍落札されたバンクシーの壁画が破壊されそうになる。作品の撤去への抗議
画像引用:https://www.nme.com/
ポート・タルボットからの撤去が予定されているバンクシーの作品 ≪Season’s Greetings≫ が破壊されそうになる事件が起こった。犯人の男は、同壁画が個人コレクターに購入され、街から撤去されることに抗議。同作品を破壊するために壁画を取り外して展示していたギャラリーに侵入。作品に白いペンキを吹き付けようとしたという。近隣の人の話では、早朝ガラスを叩きながら「これは俺たちのものだ。どこかの金持ちがそれを奪おうとしているんだ。」と叫んでいるのが聞こえたという。(Wales Online)
NFT
▍NFTマーケットプレイス OpenSeaが追加で3億ドルの資金を調達。133億ドルの異例の評価額に
世界で最も人気のあるNFTマーケットプレイス「OpenSea」は、最新のラウンドで3億ドル(約348億円)の資金を調達したことを発表した。ブロックチェーン関連の新興企業に対する投資家の意欲が急速に高まっていることを示すもので、今回の新たな資金投入により、OpenSeaの評価額は設立からわずか4年で133億ドル (約1.5兆円) という驚異的な金額に達した。
OpenSeaはこの資金をカスタマーサポートと信頼性・安全性に関するチームに特に重点を置いて従業員を大増員するのに使用するほか、NFT分野のクリエイターを支援するための助成プログラムを今期中に開始する予定だという。(artnet news)
▍2021年のNFTの売上は410億ドルに。全世界のアート市場に迫る売上
2021年の初めには、「NFT」とは何かを知っているのは、暗号愛好家のニッチなグループだけだった。しかし、最新のデータによると、年末までに410億ドル (約4.76兆円) 近くがNFTに費やされ、デジタルアート作品やコレクターズアイテムの市場は、世界のアート市場とほぼ同等の価値を持つようになったことをフィナンシャルタイムズが報じている。NFTは最初はアートの世界で広まったが、現在は、スポーツや音楽界の企業プレーヤー、さらには元米国大統領夫人のメラニア・トランプ氏までもが採用し、ブームに乗じてファンとの新たな関わり方を模索している。(FINANCIAL TIMES)
コラボレーション
▍KAWS が THE NORTH FACE とコラボレーション。デザイナーズ・アウトドアウェアの新ラインを発表
画像引用:https://www.newsweek.com/
KAWSがアウトドアブランド「THE NORTH FACE」と提携し、デザイナーズ・アウトドアウェアの新ラインを発表した。このコラボレーションは、「THE NORTH FACE」がKAWSの「HOLIDAY」インスタレーションのスポンサーを務めていることにより実現したという。このコレクションは、KAWSのInstagramの投稿で正式に発表された。ジャケット、パーカー、フリース、ビーニー、Tシャツ、バッグなどがラインナップされており、それぞれのアイテムには、マルチカラーのデザインと、コンパニオンの珍しい目を想起させるアイコニックな「XX」のモチーフが採用されている。(Newsweek)
▍アキラナカ、2022年プレフォールコレクションで五木田智央の作品にフォーカス
アキラナカ(AKIRANAKA)は、2022年プレフォールコレクションを発表。タイトルは、“ODD ELEGANCE”。着想源となったのは、五木田智央。五木田の作品の“奇妙さ(ODD)”の中に存在する“エレガンス”に着目し、狂気を帯びたアート性をワードローブに取り入れ、“新たなエレガンス”を探求したという。(FASHION PRESS)
▍2022年4月オープンの直島旅館「ろ霞」に名和晃平らの作品を展示 今年4月、直島に旅館「ろ霞」がオープン予定であり、その館内に名和晃平、品川亮、山本捷平、山田康平、横田大輔ら、今最も注目のアーティストたちの新作がコレクション・展示されることが発表された。また、企画第一弾として、気鋭のペインター・品川亮にフィーチャーし、11の客室全てに、品川が新古今和歌集から選んだ歌にもとづいて制作した新作を展示・販売する予定だという。本作品は、「ろ霞」だけでの公開になる。(プレスリリース)
なお、直島には、今年3月に「杉本博司ギャラリー 時の回廊」と「ヴァレーギャラリー」もオープン予定。こちらも合わせてチェックしたい。
▍ダニエル・アーシャム、Gunnaのニューアルバムのアートワークを手がける
ラッパーのGunna(ガンナ)が1月7日にニューアルバム「Drip Season 4」をリリースした。このアートワークはダニエル・アーシャムが手がけている。四角いサングラスをかけたラッパーが、氷で固められたチェーンやダイヤモンドで埋め尽くされている彫像のような作品だ。アーシャムは先月、Gunnaとの写真をInstagramに投稿し、コラボレーションを示唆していた。(HYPEBEAST)
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文:ANDART編集部