建設業許可を新規申請する際には30種類以上の書類を提出する必要があります。滞りなく許認可の取得を行い早期に営業を開始するためには、この書類を漏れなくそろえることが必要です。
提出後に修正等のやり取りをしていると思いのほか時間がかかってしまうことがあります。提出前の必要書類のチェックは非常に重要です。ここでは、東京都への申請時に必要な書類を例にとり概観します。
今回は新規申請の際に必ず必要なものを確認します。この他に必要に応じて追加で提出する書類もある可能性があります。
1.提出書類の全体像
様式第一号から第二十号の四まで、指定のフォーマットで作成するものが申請書類の本体一式です。この申請書類への添付書類として、別紙として様式が定められたものがあります。
さらに、確認書類として、状況に応じて対応する書類を用意する確認資料等があります。最後に、法務局や区役所などから取得する各種証明書類等があります。提出部数が多いですがこのように整理するとわかりやすいかもしれません。
2.様式による申請書類一式
これらの書類については、様式第一号から第二十号までホームページにてフォーマットが公開されています。ダウンロード後、内容を記入して提出します。
1.建設業許可申請書(様式第一号)
電算入力用紙に記入する形になります。電算入力用紙とは、記入したものを直接パソコン等で読み取れる形式のものです。この理由により、コードや記号が多用され、また記入に当たり空欄やふりがなの有無など細かいルールがあります。しっかり説明を読みながら記入してください。
2.工事経歴書(様式第二号)
工事経歴書については、公共工事を受注するための審査をうけるか否かで内容が異なります。審査を受けない場合は、主な工事について、完成分と未完成分について金額の大きいものを10件ずつ記載すれば足ります。
一方、審査を受ける場合は、決算期間内の総売上高について元請・下請を区別してその内訳をすべて記載します。
3.直前3年間の施工金額(様式第三号)
この書類には過去3年間の完成工事高の実績について業種ごとの金額を記載します。実績がない場合でも作成しなければなりません。
4.使用人数(様式第四号)
専任技術者の要件を満たす人と、それ以外の人、さらに事務関係の人の区分を各営業所について記載します。この人数には、代表取締役や個人の事業主も含みます。複数の事業を手掛ける法人で、他部門の従業員については記載しません。
5.誓約書(様式第六号)
様式の内容でそのまま作成すればよい書類になります。ただし、責任の所在を明らかにする書類なので、押印する印鑑に注意が必要です。
法人の場合は、法務局に印鑑届出書によって届けた実印を押印してください。どの印鑑か不明な場合は、印鑑証明書の陰影で確認するとよいでしょう。個人の場合は、各市町村に登録している実印を押印します。
6.管理責任者証明書(様式第七号)
申請者だけでなく証明者の実印が必要になりますので、場合によってこの様式では用意できないこともあると思います。その場合は、理由を記載したうえで証明者に代わるものの証明を得ることでも対応可能です。
7.専任技術者証明書(様式第八号)
対象となる人の氏名や生年月日のほかに、今後担当する予定の建設工事の種類や、現在従事する工事の種類を合わせて記載します。
8.申請者の住所、生年月日等に関する調書
役員全員のものが必要です。下記の3.別紙による提出書類の役員一覧表と整合性を取るようにしてください。
9.株主調書
株主名簿のイメージで作成します。作成する必要があるのは、申請者が法人の時だけです。一定(5%)以上の株を保有する株主のみ記載すれば足ります。
10.財務諸表類(様式第十五号、十六号、十七号、十七号の二、十七号の三)
貸借対照表、損益計算書、完成工事原価計算表、株主資本等変動計算書、注記表について様式を用いて作成します。建設業法で定める様式で記載することとなります。
株主総会で使用したものや、税務申告で使用したものでも、建設業法によらない場合は作り直す必要があります。株主総会においては説明責任を果たすため、税務申告においては正しい課税所得を計算するためという目的があり必ずしも建設業法にのっとった様式となっていない場合があるからです。
未だ決算を一回も完了していない場合は、期首の貸借対照表を作成します。これについては、一般的には純資産の部に資本金等の金額が記載され、資産の部に現金等が記載された非常に簡単な書類になります。
現物出資による設立の場合には現金の部分が各種資産に変わるだけで、これも原始定款を参照すればすぐに作成可能な書類になります。個人の場合は、様式第十八号と十九号を使用します。
11.営業の沿革(様式第二十号)
会社の沿革を記載します。特に創業以後の沿革については、商号変更や組織再編の関係だけでなく、営業の休止等についても記載するようにして下さい。
12.所属建設業者団体(様式第二十号の二)
未加入の場合はなしと記載して作成します。
13.健康保険等の加入状況(様式第二十号の三)
事業所ごとに、健康保険、厚生年金、雇用保険の社会保険の区分ごとに記載します。
14.主要取引金融機関(様式第二十号の四)
金融機関の種類を分けて記載します。日本政策金融公庫などの政府系と、みずほ銀行などの普通銀行、商工組合やその他の金融機関を区別します。
3.別紙による提出書類
上記の様式による申請書類が完成したら、次は下記の別紙による提出書類の作成をしてください。
1.役員等の一覧表
2.営業所一覧表
3.専任技術者一覧表
4.経営業務の管理責任者一覧表
これらの書類は、フォーマットが用意されているので利用するようにしてください。基本的に該当する人を一覧表として記載し、その役名や資格の有無を合わせて記載するだけですので、比較的簡単に作成できると思います。
4.確認資料等
1.管理責任者についての確認資料
住民票と健康保険証で確認します。健康保険証には事業所名が通常印字されているのでこちらで確認します。健康保険で確認する理由は、そもそも常勤性のある従業員のみが加入する制度になっているからです。
事業所の印字がない場合は、資格取得決定通知書、住民税の納税額通知書、確定申告書(いずれも原本提示)が必要です。過去の経営経験を示す場合には別の書類が必要になります。
2.専任技術者についての確認資料
常勤性については管理責任者と同様の書類で証明を行います。これに加えて、免許書や資格証明書の原本を提示して技術者としての要件を証明します。実務経験によって行う場合には別途書類が必要になります。
3.営業所についての確認資料
名刺、案内図、写真にて営業所の実態の確認をします。所在地と登記が異なる場合には賃貸契約書も必要になります。
4.法人番号を証明する資料
会社を設立し、税務署へ設立届を提出すると間もなく「法人番号指定通知書」が送付されるので、これを使用すればよいでしょう。
5.社会保険への加入を証明する資料
健康保険・厚生年金の保険料の領収書、労働保険の保険料の領収書が必要になります。
5.その他提出書類
次の書類について、管轄の役所等から入手し添付書類として提出することが必要です。
・法務局にて入手するもの
1.登記されていないことの証明書
2.登記事項証明書
・区役所にて入手するもの
3.身分証明書
・都税事務所、県税事務所または、税務署にて入手するもの
4.納税証明書
(提供:ベンチャーサポート行政書士法人)