2021年11月18日(現地時間)にニューヨークで開催されたサザビーズオークション「The Now Evening Auction」。今回は本オークションの落札価格TOP5と作品解説を紹介する。
落札価格は手数料込み。1USD=114.17 円で計算(11月22日レート)

5)マシュー・ウォン《Night Crossing》
落札価格:約5億5,487万円(4,860,000 USD)

マシュー・ウォン《Night Crossing》
(画像=マシュー・ウォン《Night Crossing》)

画像引用:https://www.sothebys.com/en/

2020年サザビーズオークションのオンラインセールの幕開けを飾る作品として取り上げられ、まだ無名だったにもかかわらず国際的なアートシーンに現れたマシュー・ウォン。繊細で神秘的な絵画が印象的で、ニューヨークタイムズでも称賛を受けるほど実力のあるアーティストだが、2019年に35歳という若さで自死している。本作はその希少性もあり、予想落札価格の3倍以上の価格で落札された。

予想落札価格:約1億1,417万円〜約1億7,126万円(1,000,000 – 1,500,000 USD)

5)トーマス・シュッテ《Großer Geist Nr. 1》
落札価格:約5億5,487万円(4,860,000 USD)

トーマス・シュッテ《Großer Geist Nr. 1》
(画像=トーマス・シュッテ《Großer Geist Nr. 1》)

画像引用:https://www.sothebys.com/en/

デュッセルドルフ美術アカデミーでゲルハルト・リヒターに学んだというトーマス・シュッテはドイツのデュッセルドルフを拠点にするアーティスト。初期には建築デザインやインスタレーション・その後はドローイングも手がける多彩ぶりで、ニューヨークで個展を開催している。中でも本作のように人物をモチーフにした彫刻は彼の代表作である。

予想落札価格:約5億1,377万円〜約7億4,211万円(4,500,000 – 6,500,000 USD)

4)マーク・ブラッドフォード《Method Man》
落札価格:約6億8,605万円(6,009,000 USD)

マーク・ブラッドフォード《Method Man》
(画像=マーク・ブラッドフォード《Method Man》)

画像引用:https://www.sothebys.com/en/

廃棄されたポスター、新聞紙、雑誌、エンドペーパーなどを使ったコラージュと絵の具を組み合わせたような抽象画を描くことで知られるロサンゼルスのアーティスト、マーク・ブラッドフォード。本作は約3m四方の大作で、コラージュ作品ということもあり所々に様々な要素が詰め込まれている。サザビーズの作品ページには動画も掲載されているので、そちらもチェックしてみると面白い。

予想落札価格:約5億7,086万円〜約7億9,919万円(5,000,000 – 7,000,000 USD)

3)バンクシー《Trolley Hunters》
落札価格:約7億6,476万円(6,698,400 USD)

バンクシー《Trolley Hunters》
(画像=バンクシー《Trolley Hunters》)

画像引用:https://www.sothebys.com/en/

ショッピングカートを原始的な人々が狩ろうとする姿を描いたこの作品は、バンクシー作品の代表的なテーマでもある反資本主義を謳っているともみえる。本作は、2018年にカナダのトロントで開催されたバンクシーの展覧会「The Art of Banksy」にて窃盗事件にあった作品と同モチーフでもあり、まさにその作品の運命をもって反資本主義のテーマを表したようなエピソードのあるモチーフだ。

予想落札価格:約5億7,085万円〜約7億9,919万円(5,000,000 – 7,000,000 USD)

2)バンクシー《Love is in the Air》
落札価格:約9億2,217万円(8,077,200 USD)

バンクシー《Love is in the Air》
(画像=バンクシー《Love is in the Air》)

画像引用:https://www.sothebys.com/en/

3位に続き、本オークション第2位にもバンクシーの作品がランクイン。キャンバスにスプレーでペイントされた本作は、元はパレスチナ自治区に描かれたバンクシーの著名なモチーフだ。覆面の男が武器ではなく花束を投げつけようとする姿を描くことで、反戦のメッセージが込められてる。

予想落札価格:約4億5,668万円〜約6億8,502万円(4,000,000 – 6,000,000 USD)

1)奈良美智《Nice to See You Again》
落札価格:約17億6,173万円(15,430,800 USD)

奈良美智の代表的モチーフである鋭い目つきの少女が描かれた作品。作品タイトルには「またお会いできてうれしいです」とあるが、少女が差し出しているのはナイフというブラックジョークが奈良らしい。キャンバスにアクリル絵の具で描かれたシンプルな作品だが、拡大してみると色むらやかすれなど、ユニーク作品ならではの味があるのが見て取れる。本作は予想落札価格を上回る価格で落札された。

予想落札価格:約9億1,336万円〜約13億7,004万円(8,000,000 – 12,000,000 USD)

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文:ANDART編集部