黒坂 岳央
黒坂 岳央(くろさか・たけお)
水菓子肥後庵代表。フルーツビジネスジャーナリスト。シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、東京で会社員を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。ビジネス雑誌やニュースサイトでビジネス記事を書いている。著書に『年収1億円超の起業家・投資家・自由業そしてサラリーマンが大切にしている習慣 “億超えマインド"で人生は劇的に変わる!』など。

不労所得型の収益モデルというイメージが強いアフィリエイト、情報コンテンツ販売は最初に見込み客を集め、自動でセールスして売れていく仕組みを持てば半自動化することは可能だ。だが、究極的にいえば真の意味で永久的に不労所得を稼ぎ続けるためには、ビジネスではなく投資でしか実現し得ないことが見えてきた。

不労所得型ビジネスの実態

不労所得
(画像=beeboys / Shutterstock.com)

ビジネスは自分自身が働くことで収益を稼ぎ出す「労働集約型ビジネス」と、一度利益を稼ぎ出す仕組みを作れば、半自動的にお金を生み出す「不労所得型ビジネス」に大別できる。

不労所得型ビジネスは、アフィリエイトやコンテンツ販売、アドセンス広告などのネットビジネスが代表的だろう。よく、アフィリエイトや情報商材販売ビジネスのキャッチフレーズに、

「世界中旅をしている間も稼げる」
「ネット上に自販機を作る」

というものがあるが、確かに1ヵ月、2ヵ月程度放置したサイトもアクセスを集めて収益を上げていることからその表現は正しい。だが、数ヵ月ではなく年単位の大きな期間で俯瞰してみると、完全放置とはいかない現実が見えてくる。

アフィリエイトや情報コンテンツ販売も永久的ではない

まず、こうしたビジネスモデルは参入障壁が極めて小さい。PC一台あれば、大きな資本を必要とせず、やろうと思えば誰でも参入することができる。

それ故に日々、ライバルは生まれている。最近では法人も真剣にアフィリエイトをしており強力なライバルが登場し続けている。そうなるとただSEOに有効なキーワードを集めて、ありきたりな情報を集めただけのサイトでは立ち行かなくなってくる。放置し続けることで、アクセスは次第にライバルに流れてゆく。一度作り上げたサイトを放置し続けて一生稼ぎ続けるという甘美な響きは、あくまで幻想なのだ。

また、アフィリエイトや情報商材の販売元であるアクセスの多くは、Googleの検索によってもたらされていることを忘れてはならない。Googleの検索アルゴリズムは日々、変動を続けている。筆者が聞いたアフィリエイターのC氏の話では、昨年の美容系・健康系のアップデートにより、それまで月50万円を稼いでいたサイトが検索結果上位から落ちしてしまい、もはや2万円程度しか稼げなくなってアルバイト生活に戻ったというのだ。

半自動化できるのが魅力のアフィリエイトや情報商材ビジネスも、随時アップデートが必要だ。よほど参入障壁を高くできる何かを持てれば話は別だが、多くはそうではないといえるだろう。

投資なら半永久的な自動化が可能?

しかし、ビジネスではなく投資家としてなら半永久的な不労所得型の仕組みを持つことは可能となる。筆者の知人にも数十年単位で収益を受け取り続けている人物が何人もいる。

Y氏は米国株を中心に投資を続けている。彼の狙いはキャピタルゲインではなく、配当金である。米国株の中には30年連続で増配を続けている企業が数十社レベルで存在する。配当金だけではなく、株価そのものも長い目で見て増加し続けるなら、売却時にキャピタルゲインも得ることができるのだ。

税金が差し引かれることを考えると、2.5%くらいの手取りの配当利回りとなるが、彼は資産10億円以上のほとんどを配当金が得られる米国株に変えて持っているので、単純計算で年収は2,500万円程となる。彼はこの巨額の配当金をリーマン・ショック下においてもひたすら受け取り続けていた。彼は特別贅沢をせずに、淡々とした日々を送っているので「資本収益>支出」という構図をキープしているために、お金が枯渇してしまうことはほぼないといえる。

Y氏の場合は米国株の配当金で生活をしているが、これが不動産投資収益でも同じことが言える。海外の不動産の中には日本での不動産投資の傾向と異なり、人口増加と、経済拡大に応じて築年数が30年、40年になっても価値を高めている物件があるのだ。賃料を受け取り続けて、物件を売り抜ければ、インカムゲインとキャピタルゲインの両方で稼ぐことができる。

ビジネスは労働者ではなく、たとえ経営者側にまわっても働き続ける必要がある。それがビジネスの本質なのだ。だが投資は違う。変化の早い現代においても、投資は不労所得型収益を生み出す最高峰の仕組みなのである。

文・黒坂岳央(水菓子 肥後庵 代表・フルーツビジネスジャーナリスト)