SDGsについてわかりやすく解説 企業にとって知らないでは済まされない!
(画像=TKM/stock.adobe.com)

目次

  1. SDGsとは何か
    1. 持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは
    2. 17のゴールの詳細
    3. SDGsの特徴
  2. 日本での取り組み
    1. 「SDGsアクションプラン2021」(2021年の重点事項)
    2. 「SDGs未来都市」と「ジャパンSDGsアワード」
  3. 企業にとって知らないでは済まされないSDGs
    1. SDGsが話題になる理由
    2. SDGsに取り組まないことは企業イメージのダウン
  4. SDGsは企業価値を高めるために重要

最近よく耳にする「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」。ビジネスの場面だけではなくエネルギー・資源、経済、環境などありとあらゆる場面で使われている。しかし漠然と意味はわかっていても、「なぜいたるところで取り上げられるようになったのか」詳しく知らない人も多いのではないだろうか。話題のSDGsについて見ていこう。

SDGsとは何か

「SDGs」という言葉がいたるところで使われるようになったのは、SDGsの目標が多岐に及ぶからであろう。最初にSDGsの意味や目標など基本的なことから確認していこう。

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは

SDGsとは、2015年9月の国連サミットにおいて、全会一致で採択された国際目標だ。2001年に策定された開発分野における国際社会共通の目標であるミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、日本でも積極的に取り組んでいる。2015年9月の国連サミットで採択された際に「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された。

「2030年までに地球上の誰一人取り残さない持続可能でよりよい世界を目指す」という世界共通の目標として17のゴールから構成されている。SDGsの前身であるMDGsには、発展途上国向けの開発目標として2015年を期限とする「貧困・飢餓」「初等教育」「女性」「乳幼児」「妊産婦」「疾病」「環境」「連帯」の8つの目標があった。

しかし乳幼児や妊産婦の死亡率の削減などに一部未達成の項目もある。MDGsは、発展途上国向けの目標であったのに対しSDGsは発展途上国だけではなく、先進国自身が取り組む普遍的な目標であることに違いがある。

17のゴールの詳細

17のゴール(目標)の下には169のターゲットと232の指標がある。具体的に17のゴールの中身を見てみよう。目標1~6を見るとSDGsの前身であるMDGsが発展途上国向けの開発目標であったことがうなずける。ただし所得の格差やジェンダー平等など日本でも検討すべき課題はあるだろう。

SDGsについてわかりやすく解説 企業にとって知らないでは済まされない!
出典:外務省

目標7~12を見ると日本でも問題になっている点が多いことがわかるだろう。エネルギー問題や経済成長、雇用や働き方、イノベーション、まちづくりなど日ごろから耳にする言葉である。

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出典:外務省

目標13~17では、グローバルな視点が多い。異常気象、資源、平和な社会など日本だけではなく世界的な問題である。

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出典:外務省

SDGsの特徴

SDGsは、政府の取り組みでは足りず企業や地方自治体からありとあらゆる団体まですべての人の行動が求められている点が大きな特徴だ。「達成のカギは、一人ひとりの行動に委ねられている」という認識をすべての人が持たなければ達成できない目標なのである。17のゴールは、「社会」「経済」「環境」といった3つの側面に密接にかかわっている。

・社会:貧困や飢餓、教育などいまだに解決を見ない社会面の開発アジェンダ
・経済:エネルギーや資源の有効活用、働き方改善、不平等の解消などすべての国が持続可能な形で経済成長を目指す経済アジェンダ
・環境:地球環境や気候変動など地球規模で取り組むべき環境アジェンダ

持続可能な、よりよい未来を築くには、社会、環境、経済の3アジェンダから統合的に解決することが必要だ。アジェンダとは、未来に向けた議題や課題、行動計画などの意味を持つ。

日本での取り組み

日本におけるSDGs推進本部は、以下のような構成で毎年2回の会議でさまざまな取り組みが話し合われ決定されている。

・総理大臣:本部長
・官房長官や外務大臣:副本部長
・全閣僚:構成員

「SDGsアクションプラン2021」(2021年の重点事項)

2021年8月に外務省国際協力局地球規模課題総括課の発表した「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割」では、2020年12月に閣議決定された「SDGsアクションプラン2021」の重点事項が記載されている。そもそもSDGsの目標は広い範囲を全体的にカバーしており、政府の政策もさまざまだ。簡単にまとめると以下のようなものがある。

  1. 感染症対策と次なる危機への備え
    ・感染症対応能力強化(治療・ワクチン・診断の開発・製造・普及の支援と公平なアクセスの確保)
    ・次なる危機の備え(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向けた取り組みの推進、国内のPCR 検査・抗原検査等の戦略的・計画的な体制構築、保健所の機能強化など国民の命を守るための体制確保)
    ・感染症に強い環境整備(東京栄養サミットの開催を通じた世界的な栄養改善に向けた取り組みの推進、国内での食育や栄養政策の推進)

  2. よりよい復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略
    ・誰もがデジタル化の恩恵を受けられる体制整備(Society5.0の実現、デジタルトランスフォーメーションの推進)
    ・個人が輝き、誰もがどこでも豊かさを実感できる社会(ESG投資の推進、企業経営へのSDGs取り込みの促進、テレワークなどの働き方改革を通じたディーセントワークの実現促進、ワーク・ライフ・バランスの実現等)
    ・SDGsの達成と生産性向上を通じた経済成長による持続可能な循環型社会の推進(バイオ戦略・スマート農林水産業の推進、科学技術イノベーション(STI)を加速化)

  3. SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出
    ・経済と環境の好循環の創出(2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」への挑戦、世界のグリーン産業をけん引、防災・減災や国土強じん化のための質の高いインフラの推進の継続)
    ・海洋と海洋資源の保全と持続可能な利用(「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」実現に向けた海洋プラスチックごみ対策など)
    ・SDGsを原動力とした地方創生を推進(SDGs未来都市、地方創生SDGs官民連携プラットフォーム、地方創生SDGs金融等)

  4. 一人ひとりの可能性の発揮と絆の強化を通じた行動の加速
    ・すべての人が能力を伸ばし発揮でき、誰ひとり取り残されることなく生きがいを感じることのできる包摂的な社会(あらゆる分野における女性の参画・ダイバーシティ・バリアフリーの推進、人への投資)
    ・次世代へのSDGs浸透(子供の貧困対策と教育のデジタル・リモート化の促進、持続可能な開発のための教育ESDの推進)
    ・法の支配やスポーツSDGsの推進と国際社会から信用と尊敬を得る取り組み(京都コングレスや東京オリンピック・パラリンピック等の機会を活用、地球規模の課題における国際協調・連帯の構築・強化)

「SDGs未来都市」と「ジャパンSDGsアワード」

日本政府によるSDGsの取り組みは多岐にわたる。その中から特に重要な「SDGs未来都市」と「ジャパンSDGsアワード」について紹介しよう。

政府は、SDGsの達成に向けた取り組みを公募し、優れたSDGsの取り組みを提案する都市や地域を「SDGs未来都市」として選定。これは、2018年から始まった取り組みでSDGsを原動力とした地方創生を推進することを目的に行われている。

なかでも特に先導的な取り組みは「自治体SDGsモデル事業」として選定。2020年時点で全国各地の93都市が選ばれ、資金面での支援も受けている。SDGsの達成に資する優れた取り組みを行う企業・団体を表彰する制度が「ジャパンSDGsアワード」だ。SDGs推進にあたって「見える化」を行い、国内の取り組みを促進する目的でつくられた制度である。

2017年6月のSDGs推進本部第3回会合で創設され毎年表彰が行われている。

企業にとって知らないでは済まされないSDGs

今や企業にとってSDGsへの取り組みは常識となりつつある。知らないでは済まされないレベルに来ており、持続可能でよりよい社会の実現を目指すSDGsの取り組みに該当しないものを探すことの方が難しいかもしれない。

SDGsが話題になる理由

SDGsの17のゴールは以下のようなあらゆる分野に及ぶ。

・エネルギー問題
・CO2排出量の増加による温暖化
・異常気象や自然災害の増加
・森林の砂漠化
・水不足など

地球環境に深刻な影響を与えるものは、すべて対象だ。昨今の世界的な新型コロナウイルスの影響も「SDGsアクションプラン2021」では、重点事項として掲げている。また以下のように女性活躍を推進することは、ジェンダー平等や経済成長と雇用の問題との関係が深い。

・女性に配慮したインフラ整備
・母子保健サービスの拡大
・女性の指導的役割への参画推進等の支援

SDGsが指し示す方向性は、企業経営やマーケティングなどの観点からも無視できない。地球環境に対する危機意識が世界規模で高まっていることもある。しかしビジネスとしての重要性が認知されたことも大きいといえるだろう。

SDGsに取り組まないことは企業イメージのダウン

近年では、企業におけるSDGsへの取り組みをアピールする会社が増えている。企業の環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮する企業を重視するEGS投資は、欧米を中心に広く浸透しており投資残高も拡大傾向だ。SDGsを企業経営の方針に取り込みESG投資を呼び込むことは、企業価値の向上につながる。

また以下の内容は、企業を経営するうえで必要な労務管理に深くかかわる問題だ。

・ジェンダー平等への意識
・働きがいのある人間らしい職場環境づくり
・健康的な生活を確保
・ワーク・ライフ・バランスの推進など

ブラック企業のイメージは、風評リスクにつながり採用や従業員の定着率に大きな影響を与えかねない。対外的にもSDGsに取り組まないことは、企業イメージのダウンにつながるのである。

SDGsは企業価値を高めるために重要

そもそもSDGsは、あまりに広い範囲を全体的にカバーしているため、漠然としたイメージしかわかない人も多いかもしれない。しかし「SDGsに取り組むのが当たり前」という時代が目の前に迫っている。SDGsが指し示す方向性は、企業経営やマーケティングなどの観点からも無視できないものになっており企業価値向上のためにも必須課題と言えるのだ。

文・加治直樹(社会保険労務士・1級FP技能士)

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