持続可能な社会を目指す「SDGs」とは?17の目標に加えて、日本・海外の実情や導入事例まで解説
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2015年にSDGsが採択された影響で、社会問題・環境問題への意識は世界的に強まっている。本記事ではSDGsの概要や実情に加えて、国内の導入事例などをまとめた。特に海外進出や成長を目指す経営者は、今押さえておきたいポイントを確認していこう。

目次

  1. 持続可能な社会を目指す「SDGs」とは?
    1. SDGsの背景とビジネスとの関係性
    2. SDGsの17の目標とターゲットの例
  2. 世界はSDGsをどう受け止めている?日本と海外の実情
    1. 日本のSDGs達成度は18位
    2. SDGs達成度では北欧が上位を占める
  3. 日本企業におけるSDGsの導入事例
    1. 明確な目標を盛り込んだ6つのチャレンジ/トヨタ自動車
    2. 発展途上国における食料問題や健康問題の解決/NEC
    3. SDGsの促進や浸透にも貢献/滋賀銀行
  4. 世の中の企業・経営者が知っておきたい2つのポイント
    1. 1.ESG投資を意識した経営方針が重要に
    2. 2.ESD-Jなど、若い世代にSDGsを推進する取り組みも着々と進む
  5. 多くの事例に目を通し、ノウハウや技術を活かせる計画を

持続可能な社会を目指す「SDGs」とは?

気候変動や貧困をはじめ、現代の人類はさまざまな社会問題や環境問題に直面している。例えば、2020年には新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるうなど、これまでになかったような問題も生じ始めた。

このような社会問題・環境問題を解決するための目標として提唱されたものが、本記事で解説する「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」と呼ばれるものだ。「持続可能な開発目標」とも言い換えられるSDGsは、人々が地球で暮らし続けていくことを目的として2015年9月の国連サミットにおいて採択された。

SDGsの背景とビジネスとの関係性

国連加盟国の共通目標でもあるSDGsは、2015年になってからいきなり提唱されたものではない。下記の年表を見ると分かるように、世界の社会問題・環境問題に対してはそれ以前から議論がなされており、SDGsの枠組みは少しずつ形成されていった。

持続可能な社会を目指す「SDGs」とは?17の目標に加えて、日本・海外の実情や導入事例まで解説

また、SDGsが採択された数ヶ月後には、フランスで開催された「COP21」においてパリ協定も採択されている。パリ協定は京都議定書をより具体化したものであり、環境問題を解決するためのプロセスや枠組み、世界共通目標などが新たに設定された。

このように、社会問題・環境問題に対する意識は世界中で強まってきており、最近では企業の寄付活動や環境への取り組みに目を向ける投資家も少なくない。さらに消費者の意識も変わりつつあるため、現代の経営者はSDGsに関する知識をしっかりと身につけておく必要がある。

SDGsの17の目標とターゲットの例

SDGsは17の目標と、各目標を深堀りした169のターゲットから構成されている。では、具体的にどのような目標やターゲットがあるのか、以下で一例を紹介しよう。

持続可能な社会を目指す「SDGs」とは?17の目標に加えて、日本・海外の実情や導入事例まで解説

上記の通り、SDGsでは期間や数値などの「具体的な達成目標」が設けられている。一つひとつの目標を細かくチェックすると、現代社会がどのような方向に向かっているのかが分かりやすくなるため、時間に余裕のある方は169のすべてのターゲットを確認してみよう。

世界はSDGsをどう受け止めている?日本と海外の実情

人間環境宣言や京都議定書などに比べると、SDGsの目標やターゲットは細かく設定されているため、さまざまな社会問題や環境問題に効果があると感じられる。では、世界の人々や企業などは、実際にSDGsをどのように受け止めているのだろうか。

ここからは日本と海外に分けて、SDGsに関する実情を紹介していこう。

日本のSDGs達成度は18位

SDGsが採択された影響で、現代の日本では多くの企業や人々が社会問題・環境問題を強く意識するようになった。2021年にSDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)が公表した「持続可能な開発報告書(Sustainable Development Report)」によると、2021年における日本のSDGs達成度は世界で18位、過去6年間(2016~2021年)の平均順位は15.7位とされている。

SDGsに関しては日本政府もさまざまな施策を進めているため、以下で近年の取り組みを簡単に紹介しよう。

持続可能な社会を目指す「SDGs」とは?17の目標に加えて、日本・海外の実情や導入事例まで解説

日本のSDGsに関する取り組みは「SDGsアクションプラン」をもとに進められており、このプランの内容は定期的(半年もしくは1年に1回)に見直されている。例えば、2020年12月に発表されたSDGsアクションプラン2021では、以下の4つの項目が重点事項として盛り込まれた。

【1】感染症対策と次なる危機への備え
【2】よりよい復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略
【3】SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出
【4】一人ひとりの可能性の発揮と絆の強化を通じた行動の加速

SDGsアクションプランに目を通しておくと、政府の方向性や具体的な施策を把握できるため、内容が更新されたら欠かさずチェックしておきたい。

SDGs達成度では北欧が上位を占める

同じくSDSNが公表した資料を参考にすると、SDGs達成度のランキング上位は北欧が占めている。なかでもフィンランドやスウェーデンの達成度(スコア)は85ポイントを超えており、日本をはじめとするアジア諸国は差をつけられている状況だ(※2021年の日本のスコアは79.8)。

日本より順位が低い先進国もいくつかあるものの、北欧やヨーロッパにおけるSDGs達成度と比較すると、日本のSDGsに関する取り組みは決して進んでいるとは言えない。国によってはSDGsの考え方が一般層にまで広く浸透しており、すでに消費活動や投資活動にも影響を及ぼしている。

特にSDGsの観点から投資先を選ぶ動きは世界的に加速しているため、日本国内の経営者にとってもSDGsは軽視できないものになってくるだろう。

日本企業におけるSDGsの導入事例

SDGsの考え方は世界中の投資家に浸透しつつあるため、最近ではSDGsに関する取り組みを行う国内企業も多く見られるようになった。この流れについていかないと、業種によっては競争力を失ってしまう恐れも考えられる。

ここからは日本企業の導入事例をまとめたので、特に海外進出や成長を目指している経営者はしっかりとチェックしていこう。

明確な目標を盛り込んだ6つのチャレンジ/トヨタ自動車

国内最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車は、「人とクルマと自然が共生する社会」を目指して以下の6つのチャレンジを推進している。

持続可能な社会を目指す「SDGs」とは?17の目標に加えて、日本・海外の実情や導入事例まで解説

「トヨタ環境チャレンジ2050」と呼ばれるこの取り組みでは、各チャレンジの具体的な目標も設けられている。例えば、上記【2】ではCO2排出量の目標が「2013年比35%削減(2030年まで)」のように設定されているため、外から見ても「目標をどれくらい達成したのか?」が分かりやすい。

このように多角的にSDGsを導入するだけではなく、明確な形で数値・期間目標を設定している点はぜひ参考にしたいポイントだ。

発展途上国における食料問題や健康問題の解決/NEC

大手電機メーカーであるNEC(日本電気)は、主に海外で持続可能な社会づくりを目指している企業だ。以下で挙げるように、NECは独自のノウハウや技術をうまく活用しながら、食料問題や健康問題の解決に貢献している。

・健康維持を目的として、チリの学校給食プログラムに給食配給管理システムを導入
・ケニアの一部地域で電子母子手帳を導入し、母子の健康や安全に子育てできる環境を推進
・食品の在庫管理や発注を効率化するために、需給を最適化するプラットフォームを開発

ケニアなどの発展途上国においては、日本では考えられない問題が日々発生している。こういった地域に目を向ければ、NECのように優れたノウハウや技術をもっていない中小企業でも、SDGsに貢献できる可能性は十分にあるだろう。

特に海外進出を目指している経営者は、世界的なアピールの意味合いも含めて発展途上国への貢献を検討しておきたい。

SDGsの促進や浸透にも貢献/滋賀銀行

地方銀行にあたる滋賀銀行は、SDGsが採択された後に以下の3つを柱とする「しがぎんSDGs宣言」を発表した。

持続可能な社会を目指す「SDGs」とは?17の目標に加えて、日本・海外の実情や導入事例まで解説

さらに、同行は社会問題の解決を起点としたビジネスを積極的にサポートしており、SDGsの考え方を浸透させることにも貢献している。滋賀銀行のこれらの取り組みは高く評価されており、2018年の「ジャパンSDGsアワード」では特別賞に選ばれた。

一定の資金力や企画力をもつ企業であれば、この事例のようにSDGsに取り組む企業をサポートする方法もひとつの選択肢になるだろう。

世の中の企業・経営者が知っておきたい2つのポイント

SDGsへの取り組みを通して企業が評価されるには、世界の動向を意識した上で計画を立てる必要がある。そこで次からは現在のトレンドや方向性を踏まえて、世の中の企業・経営者が知っておきたい2つのポイントを紹介する。

1.ESG投資を意識した経営方針が重要に

SDGsとの関連性が強いワードとして、「ESG投資」と呼ばれるものがある。これは世の中の投資家が、「環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)」の3つを軸として投資先を選ぶ手法のことだ。

ESG投資はヨーロッパやアメリカを中心に浸透しており、2018年時点でのESG投資の市場規模は約31兆ドルと言われている。日本においてもESG投資の注目度は年々高まってきており、2016年からの2年間で国内の市場規模は約3倍に膨れ上がった。

つまり、国内企業が長期的な成長を遂げるには、「ESG投資への意識」が欠かせないものになる可能性がある。SDGsに関する取り組みにはさまざまな形があるものの、海外進出や成長を目指している経営者は「環境・社会・企業統治」を軸として今後の方針を考えたい。

2.ESD-Jなど、若い世代にSDGsを推進する取り組みも着々と進む

SDGsの概念を若い世代に伝える活動が世界中で進められている点も、現代の経営者が押さえておきたいポイントだ。例えば、日本では「ESD-J」と呼ばれる組織がさまざまなプロジェクトを通して、若年層に「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)」を実施している。

若い世代にSDGsの考え方が浸透すれば、社会問題・環境問題に対する意識はさらに強まる可能性が高い。ESDを行う組織は世界中に存在するため、5~10年後にはESG投資が世界経済を大きく動かすようになり、SDGsへの取り組みが企業価値に直結する可能性も考えられるだろう。

このような現状を踏まえると、世の中の企業や経営者は早めに行動を起こす必要がある。社会問題・環境問題に関する目標はすぐに達成できるものではないため、SDGsやESG投資の時代が本格的に到来する前に万全の準備を整えておこう。

多くの事例に目を通し、ノウハウや技術を活かせる計画を

今回解説したように、SDGsは将来的にビジネスの軸となる可能性がある。すでに取り組みを始めている企業も少なくないため、時代に乗り遅れない企業を目指すのであれば、具体的な施策や目標を早めに考えることが必要だ。

ただし、プロジェクトによっては膨大なコストがかかってしまうため、SDGsに関する計画を立てる際には多くの事例に目を通し、自社のノウハウや技術をうまく活かせる形を模索していこう。

文・片山雄平(フリーライター・株式会社YOSCA編集者)

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