2020年度の高効率熱交換器市場は設備投資計画の見直しや営業活動の停滞などにより、前年度比93.6%の726億円の見込
~高効率熱交換器市場にとって、カーボンニュートラルの流れは成長の追い風となりうる~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の高効率熱交換器市場を調査し、市場動向や主要なプレイヤーの動向、将来展望について明らかにした。
高効率熱交換器市場規模推移・予測
1.市場概況
国内の高効率熱交換器市場は、東京オリンピック・パラリンピック関連施設の建設や都市部再開発、木質バイオマス発電所の新設などの動きに伴い、2019年度まで拡大基調が続いてきた。2018年度の高効率熱交換器市場規模(メーカー出荷金額ベース)は756億円、2019年度は774億8,000万円と推計した。
2020年度は新型コロナウイルスの影響で設備投資の動きが鈍化し、多くの分野で熱交換器の需要が前年度から落ち込んだ。熱交換器の需要が2020年度も堅調に推移した分野は、半導体製造設備や情報通信設備、消費者向け飲料・食品製造設備、バイオマス発電所などに限定される。加えて、ユーザー企業においても、設備投資計画の見直しや人の移動の制限といった対策が取られたことにより、開発案件の進捗や営業活動に影響が生じた。そのため、2020年度の高効率熱交換器市場規模は前年度比93.6%の725億5,000万円を見込む。
2.注目トピック
カーボンニュートラルの視点による技術開発や用途開拓が事業拡大のポイント
日本政府が「2050年のカーボンニュートラル」の目標を掲げたことにより、エネルギー源の脱炭素化や各種機器・設備の省エネ化に寄与する技術に対する注目度が高まっている。
熱交換器はバイオマス発電所や水素ステーション、燃料電池などに使用されている他、その性能が空調機器や冷凍・冷蔵機器、給湯機器のエネルギー利用の効率に直結することから、カーボンニュートラルの実現に向けて期待される役割は大きい。自然冷媒などのノンフロン冷媒の普及や地中熱などの未利用熱の利活用を進める上でも、これらに適用可能な熱交換器の開発が不可欠である。
そのため、2021年度以降はカーボンニュートラルの視点に基づく、熱交換器の技術開発や用途開拓の動きが活発化する見通しである。高効率熱交換器市場にとって、世界的なカーボンニュートラルの流れは成長の追い風と言える。参入プレイヤーにとって、カーボンニュートラルに関連するニーズに対応できるかどうかが、今後の事業拡大のポイントとなりうる。
3.将来展望
2021年度の高効率熱交換器市場規模を、前年度比101.2%の734億5,000万円と予測する。
半導体製造設備や情報通信設備、バイオマス発電設備などの熱交換器需要が引き続き堅調に推移するとともに、その他の分野でも設備投資の動きが回復し、2020年度を上回る見通しである。国内の熱交換器の需要は今後徐々に回復し、2019年度の水準に戻るのは2023年度頃の見込みである。2025年の大阪万博に向けた設備投資の動きやカーボンニュートラルに対応した製品開発・用途開拓により、2023年度の高効率熱交換器市場規模は780億1,000万円になると予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2020年9月~2021年3月 2.調査対象: 熱交換器メーカー、エンジニアリング会社、材料メーカー、金属加工メーカーなど 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(Webを含む)をベースに、電話による取材、ならびに文献調査併用 |
<高効率熱交換器市場とは> 本調査における高効率熱交換器市場は、発電所や工場などに熱交換器を単独で設置・使用する用途と、業務用空調機器や給湯機器などに熱交換器を搭載して使用する用途の双方を対象として、算出した。なお、自動車用ラジエーターなど自動車分野で使用される熱交換器については対象外としている。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 産業用途や業務用途などで使用される熱交換器 |
出典資料について
資料名 | 2021年版 高効率熱交換器市場の現状と将来展望 |
発刊日 | 2021年03月30日 |
体裁 | A4 272ページ |
定価 | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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