今さら聞けないフェアトレードの意味 問題になっている身近な商品5つ
(画像=PhotoSG/stock.adobe.com)

フェアトレードという言葉があるが、具体的な意味を知らない人もいるだろう。フェアトレードの背景を知ると、商品を販売・購入するときの視点がガラリと変わる。

今回は、フェアトレードの意味や背景、認証ラベルなどを簡単に解説してみたい。

目次

  1. フェアトレードとは?
    1. フェアトレードの考え方
    2. フェアトレードの10指針
  2. フェアトレードの背景にある商品5つ
    1. 商品1.コーヒー
    2. 商品2.カカオ
    3. 商品3.茶
    4. 商品4.コットン製品
    5. 商品5.サッカーボール
  3. フェアトレードの認証2つ
    1. 認証1.国際フェアトレード
    2. 認証2.WFTO(世界フェアトレード連盟)
  4. フェアトレードの取組事例
  5. フェアトレードで社会の問題点を解決する

フェアトレードとは?

私たちが手にする食料品や日用品の中には、驚くほど安い商品がある。不思議に思ったことはないだろうか。

フェアトレードの考え方

開発国に負担を課すことで低価格を実現している可能性がある。たとえば、開発国が発展途上国の場合、生産者に対して正当な報酬が支払われないことがある。

また、環境や健康に悪影響を及ぼす薬が使用されたり、労働環境が劣悪だったりするケースもある。

このような現状を問題視する考え方がフェアトレードだ。フェアトレードは、直訳すると公平な貿易という意味であり、日本語では公正取引と呼ばれることもある。

現在は、開発国に負担をかけないフェアトレードの考え方が広まり、フェアトレードに取り組む企業や個人を認証する仕組みもスタートしている。

フェアトレードの10指針

フェアトレードを推進する団体WFTO(世界フェアトレード連盟)は、フェアトレードの10指針をかかげている。

➀生産者が経済的に自立できる機会を創出する。
②透明性維持と説明責任を果たす。
③公平な取引を実践する。
④生産者に適正な報酬を支払う。
⑤児童労働や強制労働をなくす。
⑥差別をなくし、男女に等しく機会を与え、結社の自由を認める。
⑦安全かつ健康的な労働条件を整える。
⑧生産者の能力向上と市場へのアクセスを支援する。
⑨フェアトレードの啓発を行う。
⑩環境に配慮する。

個人でフェアトレードを重視する場合も、10指針を心にとどめておきたい。

フェアトレードの背景にある商品5つ

フェアトレードが必要な背景を理解するために、具体的な商品(食品や素材、製品など)に関する問題点を解説していく。

商品1.コーヒー

コーヒーを消費するのは主に先進国だが、多くのコーヒー豆は発展途上国で生産されている。

発展途上国の小規模農家は、中間業者に頼らないとコーヒーを販売できない。その結果、正当な報酬を受け取れず、子どもの学費を払えなくなる。困窮した結果、農園を手放すケースまであるという。

コーヒー豆をめぐる問題点は、2006年公開のドキュメンタリー映画「おいしいコーヒーの真実」に描かれている。同作は全世界に衝撃を与え、フェアトレードの考え方が浸透するきっかけにもなった。

商品2.カカオ

発展途上国では、1,400万人がカカオの生産で生計を立てているという。

カカオの生産では、貧困を要因とする児童労働が問題視されている。2001年のとある事件をきっかけに、子どもたちがカカオ栽培のために人身売買されていることも明らかになった。

IITA(国際熱帯農業研究所)の調査では、農園経営者の親戚ではない子どもたちが、カカオ農園で労働していると報告されている。同調査によると、西アフリカのカカオ農園で働く子どもの64%が14歳以下であった。

農薬の塗布や刃物の使用などは、子どもたちにとってリスクの高い労働作業だ。多くのNGO団体が発信を続け、フェアトレードの実現を目指している。

商品3.茶

スリランカやインド、東アフリカなどにある多くの茶園は、植民地時代に造られた歴史を持つ。大規模な茶園では、低賃金や劣悪な労働環境が問題となっている。

スリランカの紅茶生産においては、多くの女性が農園労働に従事している。炎天下で山の急斜面を歩き、裸足で茶葉を摘む作業は、体力的な負担が大きく健康リスクをともなう

それにもかかわらず、女性の労働は評価されず、昇進の機会は与えられていない。

フェアトレードを推進する団体は、労働者が適正な報酬を受け取り、安全な労働環境が整備されるよう努めている。

商品4.コットン製品

コットン生産に従事する世帯は、およそ1億といわれている。コットン生産でも、劣悪な環境での児童労働が問題視されている。

コットン生産には、多くの殺虫剤や農薬が用いられているという。環境破壊につながる薬品や、生産者に中毒死をもたらす薬品まである。

現在、危険な農薬を禁止するとともに、オーガニック栽培を促進するため、生産者に正当な報酬を支払う取り組みが行われている。

商品5.サッカーボール

発展途上国では、サッカーボールが手縫いで作られている。サッカーボールも児童労働の温床として問題視されてきた。

2001年には、5歳からサッカーボールを縫う仕事をしてきたインド人少女の記者会見が行われた。少女は貧困が理由で学校に通えず、1日10時間近くサッカーボールを縫っていたという。

サッカーボール縫いに携わる子どもたちの多くは、視力の低下、背中や首の痛みに悩まされている。酷いときには、指を切断してしまったり、指が変形してしまったりする。そうなっても、適切な治療が受けられるとは限らない

問題点が明るみになって、スポーツ業界が打撃を受けたのは言うまでもないだろう。

フェアトレードの認証2つ

フェアトレードの大切さを理解しても、フェアトレードを実施している企業や、フェアトレードにもとづく商品について、消費者がゼロから情報収集するのは難しい。

現在では、フェアトレードを証明する認証がいくつか存在している。

認証1.国際フェアトレード

国際フェアトレード認証ラベル(The FAIRTRADE Marks)は、認知度の高いフェアトレードの認証マークだ。

個別の製品に付与され、基準を遵守した生産、売買を行うと、認証ラベルの配布が許可される。

認証や監査を行っているのは、国際フェアトレードラベル機構だ。主な活動は、国際フェアトレード基準の設定、フェアトレード市場の開拓・促進、生産者への支援など多岐にわたる。

世界30ヵ国以上にラベル推進組織を展開しており、日本ではフェアトレード・ラベル・ジャパンが活動している。フェアトレード・ラベル・ジャパンの設立は1993年で、2004年にはNPO法人になった。

国際フェアトレード認証ラベルには、いくつかの種類がある。

たとえば、フェアトレード認証原料100%からなる製品のラベル、コットンのフェアトレードに関するラベル、複合材料製品に使用できるラベルなどだ。

認証2.WFTO(世界フェアトレード連盟)

フェアトレードの10指針を定めたWFTO(世界フェアトレード連盟)の認証ラベルもある。

WFTOは1989年に発足した団体で、2003年にWFTOの名をかかげた。企業や事業者が加盟するネットワークである。WFTOには、フェアトレード商品の売上が収支全体の50%以上を占める団体が加盟できる。

加盟している企業・事業者がフェアトレードの基準を順守しているかをモニタリングしている。

2014年からは、指針を守った製品の一部に認証ラベルをつけられるようになったが、すべての製品に認証ラベルがついているわけではない。

フェアトレードの取組事例

安全安心な食を世界に届けるゼンショーホールディングスは、現地の生産者と直接コミュニケーションをとり、公正な価格で商品を購入している。生産に必要な技術指導や生活向上の取り組みも実施している。

また、世界的コーヒーチェーンのスターバックスは、高品質なコーヒー豆を栽培する生産者に適正な利益を還元するため、品質に見合った価格でコーヒー豆を購入している。

そのほか、土壌管理や農作物の専門家による技術支援センターも設立し、現地の生産者と直接関わってコーヒー豆の品質を向上させている。

各社の継続的な支援が実を結べば、少しずつでも格差が解消され、開発国の自立へとつながるだろう。

フェアトレードで社会の問題点を解決する

何気なく口にしている食品や、意識せずに使っている日用品が、誰かの犠牲によって成り立っている。大切なのは、その事実に目を向けて自分なりの行動を選択することだ。

人間社会にはさまざまな問題点がある。格差や不公平な取引は、氷山の一角かもしれない。しかし、フェアトレードにもとづく製品の購入者が増えれば、問題の解決に向けて一歩近づくだろう。

フェアトレードが大切だと感じるなら、フェアトレード認証ラベルを確認することはもちろん、フェアトレードを推進する団体や、個別企業の取り組みにも注目していきたい。

文・木崎涼(ファイナンシャルプランナー、M&Aシニアエキスパート)

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