データセンター需要に支えられるUPS市場
~新型コロナウイルスの影響はあるが、100kVA以上帯製品は拡大見通し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、UPS(Uninterruptible Power Supply :無停電電源装置)国内市場を調査し、製品セグメント別動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
UPS国内市場規模推移と予測
1.市場概況
UPS国内市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、2019年度に前年度比104.1%の759億6,500万円と拡大したものの、新型コロナウイルスの影響もあって2020年度は707億1,500万円(同93.1%)と縮小する見込みである。
2019年度は、100kVA未満の各容量帯製品の市場が縮小したものの、100kVA以上の大容量帯製品のデータセンター向け需要が好調で、市場全体は拡大した。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響でUPSメーカーの営業活動やユーザー企業での更新業務が遅延し、全ての容量帯の製品で市場の縮小を見込む。
2.注目トピック
UPSのコモディティ化が進み、価格競争へ
100kVA以上の大容量帯のUPSの付加価値について考察すると、ランニングコストとメンテナンスコストの低減が一つのポイントになる。しかし、いずれにおいてもUPSメーカー独自のものはなく、結果的に差が出せない。
UPSの付加価値については製品の差別化につながる特定技術やノウハウがなく、技術的にはほぼ成熟している。同じグレード(仕様)の製品では、メーカーによる技術差が生まれないため、ユーザー企業が採用を判断する選定要因として、信頼性と低価格がポイントになってくる。
3.将来展望
2023年度のUPS国内市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、774億5,000万円と予測する。出荷台数は減少傾向にあるが大容量化に伴い、一台当たりの単価が上昇することで、市場規模はほぼ横ばいで踏みとどまる格好となる。99kVA以下の各容量帯製品における新規需要の創出はまだ先で、当面は市場拡大する材料は乏しく、好調さを維持する100kVA以上の大容量帯製品が、市場全体の成長をカバーする状況が続く見通しである。
調査要綱
1.調査期間: 2020年12月~2021年3月 2.調査対象: UPS(無停電電源装置)を生産販売する、もしくは販売元として国内市場に参入している企業等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(Web会議含む)、電話ヒアリング調査、ならびに文献調査併用 |
<UPS市場とは> 本調査におけるUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)とは、停電や入力電源異常の発生時に、電力供給先の機器に対し一定時間電力を供給することで、機器やデータの保護を目的とする装置である。一部に瞬時電圧低下(瞬低)に対応するものもあるが、本調査では瞬低補償機能のみの機器は含んでいない。その容量により需要分野(用途)が異なるため、3kVA以下、4~9kVA(3kVAより大きく10kVA未満)、10~99kVA(10kVA以上100kVA未満)、100kVA以上に分けて、いずれも対象とした。 UPS市場規模は、メーカーの国内出荷分を対象とし、輸出分(海外販売分)は含んでいない。またUPS単体のみとし、周辺部品や据付工事、メンテナンス等の費用を除く。 |
<市場に含まれる商品・サービス> UPS本体(設置工事やメンテナンスは含まない) |
出典資料について
資料名 | 2021 UPS市場の現状と将来性 |
発刊日 | 2021年03月25日 |
体裁 | A4 126ページ |
定価 | 150,000円(税別) |
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