〈清涼飲料のカテゴリーの中で生産量が初のトップに〉 2020年(1〜12月)のミネラルウォーターの生産数量は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛・飲食店の営業時間短縮などの影響を受ける中、国産品が前年を上回る結果となり、過去最高となった。
調査を行った日本ミネラルウォーター協会によると、2020年度のミネラルウォーター類の国内生産量は384万3179キロリットル(前年比105.6%)、輸入量は33万9319キロリットル(93.9%)で、合計418万2498キロリットル(104.5%)だった。
金額では、国内生産で3059億9800万円(前年比95.5%)、輸入で170億2300万円(92.8%)となり、合計で3230億2100万円(95.4%)となった。金額は8年ぶりに前年実績を下回った。単価の高いパーソナルサイズの小型ペットボトル商品が減少し、家庭内需要の増加により大型サイズが伸長したことが要因とみられる。
ミネラルウォーター類の生産量は、炭酸飲料やコーヒー飲料、緑茶飲料などを抑え、2020年に初めて清涼飲料のカテゴリーでトップになった。
日本ミネラルウォーター協会は次のようにコメントしている。「ミネラルウォーター類は成長を続けており、この20年で市場が4倍になりました。昨年の新型コロナ下での動向でもわかるように、ライフスタイルが変化し、お客様がミネラルウォーター類を生活の中の飲料水として受け入れて下さっている結果だと思っています。今やミネラルウォーター類は、料理や乳児用ミルクにも使用されるなど、日常の生活の中でお客様に広く受入れられている商品になってきています」。
また、「2011年の東日本大震災以降、さらにここ数年の地震や豪雨による災害の多発もあり、ミネラルウォーター類の“命の水としての役割”もますます重要になってきています。近年、行政や各家庭、職場、地域で、万が一のための保存水として備蓄が進められてきていますが、食品ロス削減の観点から、備蓄のやり方にも様々な工夫が求められるようになっています。品質と衛生管理に心がけ、安全で安心いただける商品をお客様にお届けし続けるという基本が、ますます重要になってきています」。
なお、日本国民1人あたりの年間消費量[(国内生産量+輸入数量)÷人口]は、2020年は33.3リットル/年となり、前年より1.6リットル増加し、5年前より6.6リットル増加している。ただし、アメリカ(119.0リットル/年、2019年調査)やドイツ(125.2リットル/年、2019年調査)などの諸外国に比べるとまだ低い水準だ。災害対策での備蓄への関心が高まるとともに、日常的な飲用が広がっていることから、ミネラルウォーターは今後も持続的な伸長が予想される。