2019年度の国内農薬製剤市場は前年度比100.6%の3,246億円、2020年度は同99.0%の3,214億円の見込
~コロナ禍のマイナス影響は限定的だが、作付面積の減少・減農薬により中長期では縮小傾向の見通し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の農薬市場を調査し、農薬製剤の需要分野別(農耕地、非農耕地、家庭園芸分野)・種類別(殺虫剤、殺菌剤、殺虫・殺菌剤、除草剤、微生物・生物農薬)の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
農薬製剤市場規模推移・予測
1.市場概況
2019年度の国内農薬製剤市場は、メーカー出荷金額ベースで前年度比100.6%の3,246億円となった。水稲の作付面積の減少や当該年度の豪雨、台風、天候不順などの影響があったものの、畑作用の殺虫剤や殺菌剤のほか除草剤は水稲用、畑作用共に伸びた。2019年末頃から出現した新型コロナウイルス感染拡大の影響により、農薬メーカーは物流不安による前倒し出荷への対応や現地訪問営業の自粛等に見舞われたものの、市場へのマイナスの影響は限定的と見受けられる。
2.注目トピック
ドローン用の農薬製剤開発が活発化
農業用ドローンの開発・普及が世界的に進み、平地の土地利用型農業だけでなく中山間地域での省力化活用に向けた機運も高まっている。
国内においても、ロボット技術やICT等の先端技術を活用し、超省力化や高品質生産等を可能にするスマート農業が注目を集めており、ドローンが普及を始めた。高齢化・担い手不足で農家数が減少を続ける中、作業負荷の軽減や効率化に期待がかかる。導入費用の一部助成や規制緩和といった政府の後押しもあって、農業用ドローンは拡大を続けている。
農薬製剤メーカーは、積載重量の限られるドローンに合わせ、少量で効果を得るための研究に余念がない。たとえば、散布時に粉立ちしにくい粒状や拡散性・水中での拡展性を備える等、効率よく散布できる製剤開発を急いでいる。
3.将来展望
2020年度の国内農薬製剤市場は3,214億円(前年度比99.0%)の見込みである。ここ数年は、前述したスマート農業の普及を後押しするための規制緩和や技術開発が官民一体で展開しているが、作付面積が減少しつつあるように、農薬市場には底打ち感が出始めている。
2020年度以降も、作付面積の減少や減農薬の動きなど厳しい状況は変わらず続くと考えられることから、市場は横這いで推移する見通しとなり2028年度の農薬製剤市場は、3,220億円(2020年度比100.2%)になると予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2020年8月~11月 2.調査対象: 農薬市場参入企業(農薬原体メーカー・製剤メーカー・商社)、農薬関連業界団体・官公庁他 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、ならびに電話、郵送アンケート調査併用 |
<農薬製剤市場とは> 本調査における農薬製剤市場とは、殺虫剤、殺菌剤、殺虫・殺菌剤、除草剤、微生物・生物農薬等を対象とした。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 農薬原体、農薬製剤(殺虫剤、殺菌剤、殺虫・殺菌剤、除草剤、微生物・生物農薬) |
出典資料について
資料名 | 2020年版 農薬産業白書 |
発刊日 | 2020年11月30日 |
体裁 | A4 390ページ |
定価 | 130,000円(税別) |
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