経営戦略
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ビジネスでは経営戦略という言葉を耳にするが、具体的に何を指すのだろう。経営理念や経営戦術などとの違いも気になる。今回は、経営戦略の定義をはじめ、関連用語や作り方、代表的なフレームワークについて説明していく。経営戦略を練るときぜひ参考にしてみてほしい。

目次

  1. 経営戦略とは?定義や関連用語との違い
    1. 経営理念
    2. 経営戦略
    3. 経営戦術
    4. 経営計画
  2. 経営戦略の作り方
    1. 経営戦略を立案する手順
  3. 経営戦略の代表的なフレームワーク
    1. SWOT分析
    2. 5force(ファイブフォース)分析
    3. 3C分析
  4. 経営戦略は中長期的な視点を忘れずに立案

経営戦略とは?定義や関連用語との違い

経営戦略のほかにもさまざまな指針があり、混同してしまいがちだ。

具体的には、長期的な視野に基づく経営理念、戦略目標の達成に向けた具体的な手法を指す経営戦術、戦術を計数化した経営計画などがある。

経営戦略の定義を含めて、関連用語について整理する。

経営理念

経営理念とは、企業の基本的な目標を文章化した考え方であり、一般的にミッション・ビジョン・バリューに分かれている。

【ミッション】

ミッションは、企業として実現すべき使命であり、企業の存在意義を示す。

【ビジョン】

ビジョンは、企業が実現しようとしている世界観であり、自社が目指すあり方でもある。

【バリュー】

バリューは、企業が社会に提供していく価値を示す。

いずれも、現在の延長線上にあるが、長期間にわたって追い求めていく考え方だ。したがって、経営理念は長期的な視点で作ることをおさえておきたい。

経営戦略

経営戦略とは、経営ビジョンの実現に向けて定める中長期的な行動方針である。現在の経営環境や競合の状況などを考慮しながら、目標と実現に向けた行動指針を整理する。

戦略に基づいて組織を編成するには、達成度を測る計数やマイルストーンの設定が必要だ。

経営戦術

経営戦術とは、企業が戦略に基づいた方策を実施するにあたり、戦略目標の実現に向けた具体的なアクションである。

経営戦術は、経営理念・経営戦略のように観念的ではない。現在の状況を加味しながら、実際の行動にまで落とし込む。

経営戦術は、経営戦略と相反することがある。経営戦略の目標点を踏まえて経営戦術を立てるようにしたい。

経営計画

経営計画とは、経営戦略・経営戦術の達成度を数値で測れるようにした計画である。

具体的な指標として、財務数値やKPI(キーパフォーマンスインジケーター)を定める。ちなみに、KPIは組織の目標達成に必要な業績評価の指標を指す。目標値とギャップが生じた場合、組織の行動を見直さなければならない。

このように、経営計画は定量的な性質を持つが、経営戦略・経営戦術の変化によって内容を変える必要がある。

経営戦略の作り方

経営戦略は、ビジョン達成に向けた具体的な活動を示す。現在の状況をしっかりと見据えたうえで、将来に向けた着実な方向性を示さなければならない。ここからは立案の手順を紹介しよう。

経営戦略を立案する手順

経営戦略を立案するには、まず全社戦略を決定する。その後、事業ごとに戦略を立案していく。全社戦略と事業別戦略を立案するステップは共通している。具体的な流れは以下の通りだ。

ステップ1.自社の現状を分析

自社が置かれている状況をできるだけ客観的かつ定量的に分析する。分析にはフレームワークの利用が便利だ。ただし、自社の状況に合致したフレームワークを使用することが重要である。

ステップ2.自社の目指す目標を設定

現状分析に基づいて自社の目指す目標を定める。

ステップ3.目標実現に向けて戦略を明文化

目標を現実化するために実施内容を明文化する。

ステップ4. 進捗度の指標を設定

達成すべき目標を定量的に図るために、進捗度の計測に必要な指標を設定する。たとえば、事業シェアやユーザー満足度、売上数量など、定量的に計測できる指標だ。

経営戦略の代表的なフレームワーク

経営戦略に関するフレームワークは、さまざまな経済学者から提言されている。早速、代表的なフレームワークについて紹介しよう。

SWOT分析

SWOT分析は、会社の現状を内部環境・外部環境の観点から分析するフレームワークである。

SWOTはStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、脅威(Threat)の頭文字で成り立つ。内部環境を自社の強み・弱み、外部環境を自社を取り巻く機会・脅威の観点から情報を整理し、経営戦略を検討していく。

SWOTで自社の状況を整理したら各事象を掛け合わせる。いわゆるクロスSWOT分析であり、SWOT分析より一歩踏み込んだ戦略を立案できる。

掛け合わせる組み合わせは下記の通りだ。

強み×機会:自社の持つ強みを生かして機会による利益を最大化する
弱み×機会:自社の弱みを克服して機会を生かす
強み×脅威:自社の強みで脅威を乗り越える
弱み×脅威:自社の弱みを把握して脅威による悪影響を回避する

5force(ファイブフォース)分析

企業の事業環境を5つの競争要因に分類して分析するフレームワークである。企業のポジショニングを理解したうえで自社の戦略を立てることを主眼とするポジショニング学派の流れを受けたマイケル・ポーターが提唱した。

5force分析は、外部環境との競争要因が企業の収益力に大きな影響を与えるという考え方に基づく。具体的な要因は下記の通りだ。

要因1.新規参入の脅威

新規参入者に対する参入障壁の有無に関する観点である。

新規参入する企業が多いと、業界全体の生産力が高まる。それにともない商品価値を高めたり、価格設定を見直したりしなければならない。

要因2.既存企業との競争

既存同業他社との競争に関する観点である。業界内での序列や需要・供給の状況、同規模程度のプレーヤー数などに着目する。

要因3.売り手の交渉力

自社のサービスを提供するにあたり、商品を仕入れなければならない。仕入をする供給業者(売り手)の交渉力が売上原価に影響し、収益力を左右する。

売り手が業界で強固なポジションを築いている場合や、売り手の業者数が少ないケースなどに仕入れコストが高くなる。

要因4.買い手の交渉力

自社の製品・サービスを購入する顧客(買い手)の交渉力も収益力を左右する。自社の製品・サービスが差別化されていないと、販売時の利益率は圧迫される。

買い手のバイイングパワー、スイッチングコスト、情報量などが変動要因となる。

要因5.代替品や代替サービスの脅威

自社の製品・サービスの価値を代替できる存在は収益を左右する要因となる。代替品とのコストパフォーマンスの差や、スイッチングコストなどが変動要因となる。

3C分析

3C分析は、自社を取り巻く市場環境を分析するときに役立つフレームワークだ。顧客・市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の頭文字をとって名付けられている。

視点1.顧客・市場(Customer)

顧客・市場では、自社が対象とする市場の規模や推移をマクロ的視点から整理するとともに、顧客のニーズや行動を分析する。

視点2.競合(Competitor)

競合で分析する内容は下記の通りだ。

・自社の競合となる企業を特定
・競合のビジネスにおける結果(売上・シェア・利益率など)
・競合におけるビジネスの結果に関するリソース(資金・人員・商流・商材など)
・リソースと結果の関係性

視点3.自社(Company)

自社が提供するビジネスの価値、価値を生み出すリソース、リソースと結果の関係性について分析する。

各分析によって成功要因を模索すれば、自ずと自社の経営戦略が見えてくるだろう。

経営戦略は中長期的な視点を忘れずに立案

以上、経営戦略の概要をはじめ、立案方法や代表的なフレームワークなどを説明した。経営戦略は自社の経営理念に定めたビジョンを実現するための具体的方策である。

企業の業績や利益に目が向いてしまいがちだが、経営理念を中長期的な視点で実現させる手段であることを忘れず、方向性がブレないよう丁寧に練ってほしい。

文・村上英輝(フリーライター)

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