WORDS by EXECUTIVE
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「AI(人工知能)は間違いなく都市交通の安全性と効率性に革命を起こす」——。中国の最大都市・上海で新たに自動運転タクシーのサービス実証をスタートさせた中国の滴滴出行(Didi Chuxing)。同社の程維CEO(最高経営責任者)はこう強調した。

AIを活用した移動サービスでヒューマンエラーによる交通事故が起こらない世の中を創り出すことに意欲を示しつつ、人の運転を伴わずに24時間運行できる自動運転タクシーを実用化することで車両の活用効率を高めるということも見据えた発言と言える。

連載「経営トップ、発言の真意——WORDS by EXECUTIVE」、今回はライドシェア最大手・滴滴出行の程維CEOの発言に焦点を当て、将来有望とされている自動運転タクシーを巡る業界動向などについて解説していく。

自動運転と安全、自動運転タクシーと収益性

運転をコンピュータに任せるということに、不安を覚える人も少なくないかもしれない。ただ、人間なら「死角」となる範囲もカバーできるセンサーを車両に搭載し、自動運転の「脳」に相当するAIにさまざまな交通シーンを学習させれば、事故のリスクを極限まで抑えることができる。

そのため、自動運転技術の実用化によって交通事故が減るというのが、現在の国際社会における定説となっている。トヨタも自動運転機能を市販車に将来搭載することで、「交通事故死傷者ゼロ」の社会を創ることを目指している。

また、人々の自動車に対する考え方が「所有から利用へ」に変わりつつあることを考えると、自動運転タクシーのビジネスの有望性は非常に高いものと考えられる。