WORDS by EXECUTIVE
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「我々はWeWorkとは全く、全く、全く違う」(We are very, very, very different from WeWork)——。

ライドシェア世界最大手の米ウーバー・テクノロジーズのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は、アメリカ国内で最近開催されたカンファレンスの場でこう語った。WeWorkもウーバーもソフトバンクから出資を受けているものの、巨額の赤字を計上している。UberはIPO(新規株式公開)後に株価が低迷したために、WeWorkのように上場を控えるべきだったのでは、との声もある。

連載「経営トップ、発言の真意——WORDS by EXECUTIVE」、今回はこうした声にコスロシャヒCEOがどう反論しているのかを取り上げつつ、ウーバーの最新戦略について解説する。

コスロシャヒCEOの主張「規模が大きく、グローバルで、魅力的な…」

「ライドシェア市場は規模が大きく、グローバルで、魅力的なビジネスで、競争市場の中でこれからはより良くなる一方だ」。コスロシャヒCEOは自社の事業領域について、こう強くカンファレンスの場で主張している。

確かにライドシェア市場の規模は巨大で有望性もある。インドの調査会社マーケッツ&マーケッツによれば、ライドシェアの世界市場は2018年の600億ドル(約6兆5,000億円)規模から、2025年には4倍に近い2,200億ドル(約24兆円)規模まで拡大するという。

WeWorkが展開するシェアオフィスやコワーキングスペース事業もシェアリングエコノミー(共有経済)の代表格の一つとして市場の拡大が見込めるが、規模も伸び率もいまのライドシェアには匹敵しないという見方が一般的だ。

実際にウーバーは赤字こそ計上しているものの、ライドシェア部門の売上は伸びており、その規模はかなり巨額となるまでに積みあがっている。2019年第3四半期のライドシェア部門の売上高は前年同期比で19%増の28億9,500万ドル(約3,200億円)だった。

「競争市場」がサービスや仕組みの質を洗練していく

コスロシャヒCEOは「競争市場」という言葉を使い、競争が激しくなる中でサービスや仕組みの質などが洗練されていくことも説明している。これには一理ある。

ライドシェアサービスはまだまだ黎明期で、いまは運転手によるユーザーへの犯罪なども少なからず起きている。相互評価の仕組みが一定程度の安全度を担保しているものの、防ぎ切れない犯罪もある。こうしたことへの対策を含み、いま各社が安全に対する取り組みを強化している。

利用料金をもっと下げてユーザーがより利用しやすくなるようにしよう、という挑戦も動き始めている。それは「ロボタクシー」の導入だ。長丁場の挑戦となるが、クルマを運転する人が必要なくなれば、人件費が浮く分、運賃を安くすることができるようになる。

ウーバーは自社で自動運転の開発部門「Uber ATG」を持ち、公道での実証実験に既に取り組み始めて久しい。ただ過去にはヒューマンエラーによる死亡事故を起こしており、先をゆくGoogleなどには後れを取っている状態が続く。

コスロシャヒCEOにとってはライドシェアだけではなく自動運転も、目下の重要なテーマの一つと言えるはずだ。

黒字化で、マーケットの信用を取り戻せるか

WeWorkとは状況が異なることを力説したコスロシャヒCEO。その内容は説得力があるものだ。ただ、上場後の株価の推移が低迷している限り、投資家向けにはその内容がなかなか響きにくい状況が続く。まずは黒字化を早期に実現して事業基盤を固め、投資マーケットの信用を取り戻したいのがコスロシャヒCEOの本音だろう。

世界を代表するユニコーン(企業価値が10億ドル以上の非上場企業)としてIPOを果たしたウーバーの今後に、世界が注目している。

経営トップ、発言の真意
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