葬祭ビジネス市場,2019年
(写真=akiyoko/Shutterstock.com)

2018年のフューネラルビジネス市場規模は前年比101.0%の1兆8,231億円と推計

~価格透明性の高い葬儀パッケージを顧客に訴求する、ネット経由で集客する葬儀仲介事業者が葬儀件数を拡大~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のフューネラル(葬祭)ビジネス市場を調査し、現況、市場規模、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

葬祭ビジネス市場規模推移・予測

葬祭ビジネス市場規模推移・予測

1.市場概況

 厚生労働省によると人口構成の変化により、国内の死亡者数は年々増加しているものの、葬儀金額規模の縮小や参入事業者間の価格競争により、2018年のフューネラル(葬祭)ビジネス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年比101.0%の1兆8,230億9,900万円となった。
死亡者が増加したのにもかかわらず市場規模が微増にとどまった大きな要因としては、葬儀式の低価格化が進展していることが影響している。葬儀式の形態として、従来型の「一般葬(出席者の範囲がより広い伝統的な葬儀)」のほか、「家族葬(通夜と告別式は行うが出席するのは家族や親しい親族とごく少数の故人の親友だけという内輪だけの葬儀)」、「直葬(通夜も告別式もせず火葬と遺骨の引き取りのみを行う葬儀)」、「樹木葬(遺骨の周辺にある樹木を墓標として故人を弔う葬儀)」、「散骨(粉末化した遺骨を海上や山林に撒く葬儀)」など、様々な葬儀スタイルが選択されている。近年、低価格な「家族葬」や「直葬」の需要が高まっている。

2.注目トピック

IT化した葬儀仲介事業者の葬儀実施件数が拡大

 葬儀業界はIT化が遅れている業種の1つであると言われていたが、近年ではインターネット上のポータルサイト等で顧客接点を持って集客し、集客した顧客を葬儀社に紹介する、(自前の会館を持たない)葬儀仲介事業者が増えている。
こうした葬儀仲介事業者は、それまで不透明であった葬儀式の価格設定を見直し、無駄を省いた透明性の高い、低価格の葬儀パッケージを設定し、予め決められた価格で葬儀を行うことができることを顧客に訴求しており、都市部で増加している低価格の簡易葬のニーズの高まりとともに、これを強みとして実施件数を拡大してきた。
一方で、自社で会館を持つ既存葬儀事業者に対しては、式場の稼働率向上を訴求したうえで、葬儀仲介事業者が設定したパッケージ型の葬儀案件を紹介しており、提携する式場・葬儀社の数を拡大している。

3.将来展望

 死亡者数は2040年近くまで増加していく見通しで、件数ベース増加でフューネラル(葬儀)ビジネス市場の拡大が期待される状況にある。しかし、高齢社会が進行する中で、孤独死の増加や遺族不明の高齢者の増加が考えられ、葬儀そのものが行われない可能性も高まるとみられる。
また、遺族側も可処分所得の伸び悩みから葬儀式にコストをかけない人が増加するとともに、現在も進行している家族葬や1日葬の増加といったことも踏まえると、葬儀単価の下落は今後も継続すると予測する。そのため、金額ベースでの市場規模は横這いから微増推移になるものと見込み、2022年のフューネラル(葬祭)ビジネス市場規模(事業者売上高ベース)を1兆8,570億1千万円になると予測する。