(本記事は、山根 洋士氏の著書『「自己肯定感低めの人」のための本』=アスコム、2020年9月26日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
課題が解決すると、困ることがある
裏表思考法のやり方はシンプルです。あなたがなにかに行き詰まったり、うまくいかなかったときに、2つのパターンで考えてみるだけです。
①うまくいったら実は困ること
②うまくいかないほうが実は得すること
まずは、うまくいったら実は困ることです。
例えば、あなたが「田舎に移住したい」と思ったとします。でも、実現すると、こんな困ることがあるかもしれません。
田舎に移住すると、
- 親しくしていた人たちと会えなくなる
- 今の会社を辞めると収入が下がる
- 都会での仕事の実績が通用しなくなる
- 車を買わないと生活できない
- 映画館が遠くなる
- 週に1回のテニスができなくなる
- いろんなところへの住所変更などの手続きが面倒くさい
例えば、あなたが「英語圏へ海外留学したい」と思ったとします。でも、実現すると、こんな困ることがあるかもしれません。
海外留学すると
- 留学すると貯金が0になる
- 帰国したら、仕事がなくなるかもしれない
- しばらく友だちに会えなくなる
- 胸を張って帰ってこられなかったら格好悪い
- 途中帰国するかもしれない
- 今の恋人が待ってくれているとは限らない
- 毎年参加していた地元の祭りに参加できない
実現したいけど、実現したときに困るという思いが潜在意識にあると、いざ行動しようというとき、無自覚にブレーキがかかります。
実現したときに困ることなんて、普通考えませんからね。だから、意識的に裏表思考をしないと、心のノイズに自分で気がつくことができません。そして、「できなかった結果」だけが残り、どうして自分はできないんだとクヨクヨしてしまうわけです。
課題を解決しないほうが得することがある
次は、うまくいかないほうが実は得することです。
先ほどの例で考えてみましょう。
例えば、今の都会でのマンション暮らしから「田舎に移住したい」を実現しないほうが、こんな得することがあるかもしれません。
都会暮らしを続けると、
- 年間1000万円という収入を確保できる
- 車がなくても困らない
- 困ったときに相談できる人が近くにいる
- 行きつけのレストランで食事ができる
- 自然災害にあう確率が低い
- 毎週テニスができる
例えば、今の国内企業での営業職から「英語圏へ海外留学したい」を実現しないほうが、こんな得することがあるかもしれません。
国内で今の仕事を続けると、
- このままキャリアを積めば、収入が上がる
- これまでの人脈がずっと使える
- 留学代金で海外旅行に10回行ける
- 実家暮らしだから、お金が貯まる
- 英語が話せなくても困らない
- 今の恋人と別れなくていい
この例では、あえて裏表思考をしたからフラットに考えられていますが、これをやらないと自分を責めてしまいます。なにしろ自分は間違いなく実現したいと思っているのですから。
でも心の奥の奥では、案外、今のままで変化を望んでいないことがある。すると、知らず知らずのうちに行動にブレーキがかかったり、うまくいかないほうを選択してしまったりするわけです。
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