矢野経済研究所
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2019年度のPOCT市場は前年度比0.6%減の1,088億円

~今後は新型コロナウイルスを迅速に測定するキット動向も焦点に~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内POCT市場を調査し、市場規模、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

国内POCT市場規模推移

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1.市場概況

2019年度の国内POCT市場規模(事業者売上高ベース)は9分野計で前年度比0.6%減の1,088億円となった。POCT製品の販売は全般には比較的堅調に推移したが、2020年2月以降の新型コロナウイルス感染拡大時期にインフルエンザの流行が収束、またインフルエンザの検査自体を控える傾向となり、インフルエンザ迅速検査キットは前年度比で大幅に縮小、POCT製品全体市場で微減となった。

2.注目トピック

血液凝固測定装置分野などに新たな動き

血液凝固測定分野は、POCT系では抗凝固薬(ワルファリン)服用患者の管理に用いられる小型PT-INR(プロトロンビン時間国際標準比)迅速測定装置が市場の中心であったが、新規経口抗凝固薬が台頭する中にあって、ワルファリン服用患者対象の検査市場は頭打ちになってきている。
一方で、体外循環手術の際、抗凝固薬(ヘパリン等)の至適量モニタリング目的に測るACT(活性化凝固時間)の測定装置、さらには大量出血時の止血管理等に用いる包括的凝固能測定装置などがPOCT関連製品として注目を集めるようになっている。

3.将来展望

2020年からの新型コロナウイルス感染拡大に伴い、マスク着用、手洗いなど一般的な感染症対策が徹底されており、周辺POCT市場に影響を与えている。2019年度はインフルエンザの迅速検査キットの需要減を認めたが、2020年度はインフルエンザ以外の各種感染症項目を対象とした迅速検査キットの需要も減少するものと考えられる。

一方で、2020年には新型コロナウイルスの迅速抗原検査キットが体外診断薬として発売された。PCR法等に比べ検査精度は劣るも、迅速に陽性判定をするニーズに応えられることから、本需要動向は大いに注目される。また、新型コロナウイルス関連では、迅速遺伝子検査さらにはインフルエンザを含む複数の感染症遺伝子を同時に検出できるシステムなども開発され、POCTの新カテゴリーとして確立される方向にある。

調査要綱

1.調査期間: 2020年6月~8月
2.調査対象: 国内の臨床検査薬・機器事業展開企業(日本企業および海外企業日本法人)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材(オンライン含む)、電話・eメールによるヒアリング調査
<POCT市場とは>
POCT(point of care testing:臨床現場即時検査)とは、医療機関等で行う検体検査(血液、尿、便、組織など)のうち、病院の中央検査室や外部の検査センターではなく、診療・看護などの医療現場のスタッフが患者の傍らで迅速に実施する検査である。

本調査におけるPOCT市場規模とは、①グルコース分析装置、②HbA1c分析装置、③生化学自動分析装置(ドライ試薬)、④血液ガス分析装置、⑤血球計数装置、⑥血液凝固測定装置、⑦イムノクロマト法臨床検査キット、⑧免疫測定装置、⑨尿試験紙などの臨床検査薬・機器を対象として、事業者売上高ベースで算出した。但し、グルコース分析装置には、血糖自己測定器製品を含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
①グルコース分析装置、②HbA1c分析装置、③生化学自動分析装置(ドライ試薬)、④血液ガス分析装置、⑤血球計数装置、⑥血液凝固測定装置、⑦イムノクロマト法臨床検査キット、⑧免疫測定装置、⑨尿試験紙などの臨床検査薬・機器

出典資料について

資料名2020年版 POCT市場の展望
発刊日2020年08月31日
体裁A4 185ページ
定価130,000円(税別)

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部署マーケティング本部 広報チーム
住所〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
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