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「セールスとマーケティングはどう違うのか?」「両者を連携させるためにはどうすればいいのか?」と考える経営者は多いだろう。セールスとマーケティングはそもそも出発点が異なるため、考え方大きく異なることが両者の連携を難しくしている。この記事では、セールスとマーケティングの違い、マーケティング戦略立案のプロセス、およびセールスとマーケティングの連携方法について詳しく解説していこう。

目次

  1. そもそもセールスとは?
  2. セールスとマーケティングの違いとは?
  3. マーケティング戦略立案のプロセス
    1. 1. 市場分析
    2. 2. 市場細分化(セグメンテーション)
    3. 3. 標的市場の決定(ターゲティング)
    4. 4. 立ち位置の決定(ポジショニング)
    5. 5. マーケティングミックスの立案
    6. 6.実行と評価
  4. セールス部門とマーケティング部門が連携しにくい原因
    1. 考え方がまったく異なる
    2. 気質が異なる
  5. セールスとマーケティングの連携方法
    1. ペルソナとカスタマージャーニーを共有する
    2. KPIを統一する
  6. セールスとマーケティングの相乗効果を狙おう

そもそもセールスとは?

セールスの重要性については、身にしみて感じている経営者も多いだろう。事業は商品やサービスを販売することによって成立し、継続することができる。商品やサービスが売れなくなれば、その事業は存続できない。

「セールスとは何か」という問いは、奥が深い。経営者や営業マンのそれぞれが、セールスについて自分なりの定義を持っているのではなかろうか。しかし、少なくとも「セールスとは、自社が提供する商品やサービスを実際に販売し、売上を得ること」であることは共通しているはずだ。つまり、セールスは「自社の商品やサービス」が出発点ということになる。

セールスとマーケティングの違いとは?

それでは、マーケティングとは何だろうか?経営学者ピーター・ドラッカーは著書「マネジメント」において、

「真のマーケティングは顧客からスタートする。すなわち現実、欲求、価値からスタートする。『われわれは何を売りたいか』ではなく、『顧客は何を買いたいか』を問う。『われわれの製品やサービスにできることはこれである』ではなく、『顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである』と言う」

と述べている。さらにドラッカーは、以下のように続けている。

「実のところ、販売とマーケティングは逆である。同じ意味でないことはもちろん、補い合う部分さえもない。もちろん何らかの販売は必要である。だがマーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである」
引用元:ピーター・ドラッカー「マネジメント」(ダイヤモンド社)

すなわち、セールスとマーケティングは出発点が異なり、考え方や向かう方向が「逆」なのである。

セールスとマーケティングの連携がうまく行かないケースは、多くの企業で見られる。連携の困難は、セールスとマーケティングの考え方がまったく異なることに起因することが多い。両者の溝は、具体的な施策を共同で行うことで、少しずつ埋めていく必要があるのだ。

マーケティング戦略立案のプロセス

ここで、マーケティング戦略を立案するためのプロセスをおさらいしておこう。マーケティング戦略のプロセスは、以下の6段階だ。

  1. 市場分析
  2. 市場細分化(セグメンテーション)
  3. 標的市場の決定(ターゲティング)
  4. 立ち位置の決定(ポジショニング)
  5. マーケティングミックスの立案
  6. 実行と評価

1. 市場分析

マーケティング戦略を立案するにあたって最初に行うのは、「市場分析」である。市場分析のフレームワークには、「顧客(Customer)」と「競合(Competitor)」「自社(Company)」という3つの指標から行う「3C分析」や、「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」、「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」という4つの指標から行う「SWOT分析」などがある。

2. 市場細分化(セグメンテーション)

市場分析の次に行うのは、「市場の細分化(セグメンテーション)」だ。顧客のニーズはさまざまであり、商品やサービスがすべての顧客のニーズを満たすことはないため、標的となる市場(顧客)を決定するために、事前に市場を細分化するのである。

細分化の指標には、国や地域などの「地理的変数」、年令や性別、世帯規模、職業、所得、ライフサイクルなどの「人口動態変数」、あるいは社会階層やライフスタイル、性格や価値観などの「心理的変数」などが用いられる。

3. 標的市場の決定(ターゲティング)

市場細分化を行った後、細分化された市場の中から自社がターゲットとする市場を決定する。すべての顧客を対象とするのではなくターゲット市場を決めることで、自社の強みを生かし、弱みをカバーしながら、有効なマーケティング戦略を立てることができる。

4. 立ち位置の決定(ポジショニング)

ターゲット市場を決定したら、その市場における立ち位置を決定する。立ち位置の決定は、競合との差別化を図り、自社の商品・サービスの独自性を顧客に認めてもらうことで、競合に対して優位な位置に立つことが目的だ。

5. マーケティングミックスの立案

マーケティングミックスとはマーケティングの実行戦略のことで、「4P」とも呼ばれる。4Pは、以下の頭文字を取ったものだ。

・製品(Product)
・価格(Price)
・流通(Place)
・プロモーション(Promotion)

マーケティングミックスとは、いわば「販売戦略」のことである。マーケティング戦略の立案において、販売戦略は最終段階でようやく登場するものなのだ。

6.実行と評価

以上でマーケティング戦略の立案は完了だ。ここまで来たら、いよいよ戦略を実行していくことになる。実行したら定期的に結果を評価し、戦略を修正していくことも必要だ。

セールス部門とマーケティング部門が連携しにくい原因

ここからは、セールス部門とマーケティング部門が連携しにくい原因と、両社の連携方法を見ていこう。

セールス部門とマーケティング部門は相容れない部分がケースも多く、「連携しにくい」と考える経営者も多いだろう。その原因として考えられるのは、以下の2つだ。

考え方がまったく異なる

セールス部門とマーケティング部門は、前述のとおり考え方がまったく異なる。セールス部門は「商品・サービス」からスタートし「売上をいかに上げるか」を考える。したがって、セールス部門がマーケティング部門を見ると、「売上に貢献していない」「生産性が低い」「机上の空論」といったように見えることがある。

それに対してマーケティング部門では、顧客の分析からスタートし、見込み顧客のリストを作り、見込み顧客の販売意欲を徐々に高めていき、セールス部門に渡すリストを作る。実際にセールス部門が販売活動を行う前に長い準備期間を設けるため、マーケティング部門からセールス部門を見ると「短絡的」「クロージングしかできない」といったように見えることもある。

気質が異なる

セールス部門とマーケティング部門とでは、それぞれに適した気質も異なる。セールス部門に適した気質は、いわば「狩猟型」だ。鉄砲を肩に山に入り、獲物を見つけ、それぞれのやり方で獲物を仕留める。大きなイノシシを担いで帰ってくることもあれば、まったく獲物が得られない日が続くこともある。それでもクヨクヨすることなく、夜は酒を飲んで景気をつけたら、翌日はまた山に入っていく。

対するマーケティング部門は「農耕型」だ。マーケティング戦略を立案し、見込み顧客のリストを集め、販売意欲を徐々に高めていくことは、山を拓いて開墾し、気候や風土などを考慮して何を植えるかを決定する。種を蒔き、水や肥料をやり、雑草や虫を駆除するなど手間をかけながら作物を育てていくことに似ているのだ。

考え方の違いに加えて気質の違いも大きいため、セールス部門とマーケティング部門の連携は難しくなりやすいのである。

セールスとマーケティングの連携方法

考え方や気質が異なるセールス部門とマーケティン部門を連携させるためには、以下のような方法が有効とされる。

ペルソナとカスタマージャーニーを共有する

まず有効とされるのは、「ペルソナ」と「カスタマージャーニー」を共有することである。ペルソナとは自社の商品やサービスを利用する典型的なユーザー像のことである。カスタマージャーニーとは、「ペルソナがどのようにして購入に至るか」の代表例を時系列で示したものである。

見込み顧客の発掘から購入に至るプロセスでは、まずマーケティング部門が見込み顧客を発掘し、それを管理しながら徐々に購入意欲を高めていく。見込み顧客の購入意欲が十分に高まったところで、セールス部門に引き継ぐ。セールス部門とマーケティング部門において、ペルソナとカスタマージャーニーが共有されることによって、両者の連携がスムーズに行われることが期待できる。

マーケティング部門が作成したペルソナとカスタマージャーニーを、セールス部門にただ伝えるだけでは連携はなかなかうまくいかない。これらの作成をセールス部門・マーケティング部門が共同で行うことが望ましい。

KPIを統一する

セールス部門とマーケティング部門でKPIを統一することも、両者の連携をスムーズに行うためには有効だ。KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績指標」と訳される。目標を達成するために必要な、具体的な指標のことである。

セールス部門では受注数や受注額、マーケティング部門では見込み顧客の数や得点などがKPIとして設定されるケースが多い。しかし、それぞれが異なったKPIで動いていると連携は難しい。

すべてのKPIを統一することは難しいとしても、そのうちいくつかをセールス部門とマーケティング部門で統一することで、両者が共通のゴールを目指して協調して動くことができるようになる。

セールスとマーケティングの相乗効果を狙おう

セールスとマーケティングでは、そもそもの考え方がまったく異なる。セールスが「商品やサービス」を出発点とするのに対し、マーケティングは「顧客」を出発点とする。気質の違いも大きいため、両者の連携は難しいとされている。

しかし、セールスとマーケティングは「会社の両輪」とも言えるものだ。両者が連携し、協調しながら動くことで、業績が大きく向上する可能性がある。ペルソナとカスタマージャーニー、KPIに留意しながら、セールスとマーケティングの相乗効果を狙っていきたい。

文・高野俊一(ダリコーポレーション ライター)

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