副業,人生100年時代,隙間時間
(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)
當舎 緑
當舎 緑(とうしゃ・みどり)
社会保険労務士・行政書士・CFP®。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。

世の中、副業容認の流れが促進されてきている。これまでの終身雇用では考えられなかった流れだ。人材サービス「エン・ジャパン」の調査でも41%の人が「副業をしたい」という。中小企業の経営者としても、社員の副業について真剣に考えてみる必要があるだろう。

副業が禁止されているワケは?本業がおろそかになるから?

副業容認の方向へ世の中が動いてきたとはいえ、社員のためにわざわざ会社の就業規則を変更している会社は、大会社ならともかく中小企業ではあまりみかけられない。それには相当の理由がある。例えば通常の労働時間後に異なる職場で副業をしていたとしよう。通常より多くの時間働くと本業がおろそかになったり、疲れて集中力がおろそかになったりする。労災が起きることもあるだろう。

大きな労災事故が起き、労働基準監督署から実地調査が入ると「社員の健康管理をしっかりやっていたのか」という確認がされる。労働基準法違反や安全衛生法関連の違反まで指摘され、是正勧告につながることも珍しくない。この是正勧告は、改善を実施したうえで「○○年○○月○○日に是正をしました」と報告が必要だ。

それ以外に残業の問題も発生する。副業をしていると「労働時間は各自の会社で別途管理する」と思っている人は多いが、実はそうではない。時間外労働に対する残業代が発生する可能性があるのだ。以下の図1を見ていただきたい。ある社員が甲事業所で月曜日から金曜日まで40時間働いているとする。この場合、通常の法定労働時間なので残業代は発生しない。