コメビジネス・米飯市場に関する調査を実施(2019年)
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日本食ブームを追い風に、海外で日本米(短粒種)需要が拡大、国内の米飯市場はパックご飯(無菌包装米飯)が台頭、2018年度は前年度比 101.5%と堅調推移

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のコメビジネス・米飯市場(日配・加工米飯市場)を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

コメの品種開発・生産・加工・流通・販売(輸出及び現地生産)ビジネスの市場規模推移

コメビジネス・米飯市場に関する調査を実施(2019年)
(画像=矢野経済研究所)

米飯市場の市場規模推移

コメビジネス・米飯市場に関する調査を実施(2019年)
(画像=矢野経済研究所)

1.市場概況

無形文化遺産にもなった「和食」は、健康志向の高まりから世界的なブームとなっている。農林水産省の推計によると、世界各国の日本食レストランの数は2019年で約156,000店となり、2年間で約1.3倍に拡大した。人気メニューのひとつである寿司を始め、日本食には水分が多く粘り気のある日本米(短粒種)が不可欠であり、品質の高さや食味のよさから日本米の需要が高まっている。財務省「貿易統計」によると、2018年の輸出相手国(仕向地)は、数量・金額ともに香港がトップとなり、シンガポールが2位となっている。これら上位2ヶ国が高いシェアを占めるものの、アメリカが3位に躍進するなど、新たな市場開拓が進んでいる。こうした輸出事業を含む、2018年度のコメの品種開発・生産・加工・流通・販売(輸出及び現地生産)ビジネスは、前年度比119.8%の303億円となった。

一方、日配米飯(おにぎり、持ち帰り弁当、給食弁当等)と加工米飯(冷凍米飯、レトルト米飯、無菌包装米飯等)を合算した国内の米飯市場は、一時期は景気低迷の影響を受け減少傾向にあったが、近年は、単身・共働き世帯の増加等に伴う調理の代替需要を取込み、堅調に推移している。2018年度の米飯市場規模(小売金額ベース)は、前年度比101.5%の2兆4,848億円であった。

2.注目トピック

パックご飯(無菌包装米飯)が防災用備蓄食・業務用需要を開拓

パックご飯(無菌包装米飯)は、保存性・保管場所を選ばない利便性の高さから、家庭で日常的に消費するごはんの代わりとして、また内閣府が提唱するローリングストック(震災に備え、使用した分を買い足しながら一定量の食料を備蓄しておく方法)に適した商品として認知が広がっている。商品化においては「高品質・適量・健康」がトレンドとなっており、中でも玄米ご飯、発芽玄米等の機能米を加工した商品は、健康志向の高い女性を中心に支持を集めている。

近年は、家庭用のみならず、人手不足の課題を抱える外食や給食産業等、業務用としての利用もみられる。メーカー各社は生産能力を高めるべく設備投資を活発化しているが、供給が追い付いついておらず、2018年度の無菌包装米飯市場(小売金額ベース)は、前年度比106.0%の673億円に留まった。

3.将来展望

コメの品種開発・生産・加工・流通・販売(輸出及び現地生産)ビジネス市場は、増加する訪日外国人観光客による日本食への関心の高さや、2020年に開催予定であった東京オリンピック・パラリンピック等を仮定した場合、2023年度には601億円(2018年度比198.3%)に拡大すると予測する。
2019年10月の消費税率引上げ時に適用となった軽減税率によるテイクアウト需要ほか、単身・共働き世帯の増加による調理の代替需要の高まりを背景に、米飯市場規模(小売金額ベース)は、2023年度には2兆6,691億円(2018年度比107.4%)に拡大すると予測する。

※2020年1月時点の予測値のため、新型コロナウイルス感染症による影響は考慮していない。

調査要綱

1.調査期間: 2019年4月~2020年1月
2.調査対象: コメビジネス関連企業、米飯メーカー、関連業界団体・省庁等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
<コメビジネスとは>
本調査におけるコメビジネスとは、日本企業が主体となってコメの品種開発から生産、加工、流通、販売の一連のプロセスに広く関わるビジネス(国産米の輸出及び短粒種である日本(ジャポニカ)米などの海外現地生産関連ビジネスを含む)と、高機能米の開発・加工関連ビジネスを対象とする。

<米飯市場とは>
本調査における米飯市場とは、日本国内の日配米飯(弁当、おにぎり、持ち帰り弁当、持ち帰り寿司、持ち帰り丼、給食弁当他)と加工米飯(冷凍米飯、レトルト米飯、無菌包装米飯他)を対象とし、市場規模は小売金額ベースで算出した。なお、市場規模予測は2020年1月に行っていることから、新型コロナウイルス感染症による影響は考慮していない。
<市場に含まれる商品・サービス>
コメビジネス;コメの品種開発・生産・加工・流通・販売(輸出及び現地生産)ビジネス、機能米の開発・加工関連ビジネス、米飯市場;弁当、おにぎり、持ち帰り弁当、持ち帰り寿司、持ち帰り丼、給食弁当、冷凍米飯、レトルト米飯、無菌包装米飯

出典資料について

資料名2020年版 コメビジネス・米飯市場の実態と将来展望
発刊日2020年01月31日
体裁A4 281ページ
定価130,000円(税別)

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