2019年度の飲料市場は猛暑の前年度の反動減もあり、5年振りの縮小
~2020年度は新型コロナウイルス感染拡大で販売低迷も、アフターコロナを見据えた動きが始まる見込~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の飲料市場を調査し、飲料カテゴリー別の動向、流通ルート別の動向、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
飲料市場規模推移・予測
1.市場概況
2019年度の国内飲料市場規模(牛乳・乳飲料を含む)は、メーカー出荷金額ベースで前年度比98.5%の5兆1,000億円と5年振りに前年度実績を下回った。
2018年度が記録的な猛暑の恩恵を受けての市場拡大であったことから、その反動減が当初から懸念されており、それが現実となった形である。2018年は最盛期である7月が記録的な猛暑で飲用需要が急増したが、2019年は天候不順で真逆の結果となり、7月の減少分を2019年度通期で取り戻すことが出来なかった。また、春先から夏前にかけて、物流費や包材値上げの影響などから飲料メーカー各社が大型PET容器製品の価格改定を行ったことも販売減に繋がった。
2.注目トピック
飲料市場縮小の中で、炭酸水やエナジードリンクの炭酸系飲料は好調を持続
炭酸水やエナジードリンクといった炭酸系飲料の市場が拡大傾向にある。炭酸水についてはさまざまな飲用方法や健康志向による無糖ニーズに支えられ、成長が続いている。一方で、ブランド別では明暗が分かれており、トップブランドであるアサヒ飲料「ウイルキンソン」への寡占化が進んでいる。
エナジードリンクについては、「モンスターエナジー」、「レッドブル」を中心に展開され、これまで他のブランドが定着できずにいたが、2019年度はコカ・コーラシステムが意欲的な商品を発売し、さらに、大塚食品やサントリー食品インターナショナルが従来とは異なるeスポーツに焦点を当てた商品を発売するなど新しい試みも見られた。
3.将来展望
2020年度の飲料市場規模(牛乳・乳飲料を含む、メーカー出荷金額ベース)は、前年度比97.5%の4兆9,700億円と2年連続での縮小を予測する。本来であれば前年度の反動で再拡大してもおかしくないが、新型コロナウイルスの影響で4月、5月の販売が大幅に落ち込んでおり、今後も暫くは影響が残る見込みで、2020年度中の本格回復は難しいと考える。
こうした状況下においても、無糖茶や炭酸飲料などこれまで伸長してきた飲料カテゴリーに注力する姿勢に変わりはないが、一方で、“止渇” よりも “機能” を重視する飲料カテゴリーが伸長していることから、飲料メーカー各社とも例年以上に “機能性” や “健康” を訴求する展開が増えてくると考える。
調査要綱
1.調査期間: 2020年4~6月 2.調査対象: 飲料メーカー、販売企業等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話取材、アンケート調査ならびに文献調査併用 |
<飲料市場とは> 飲料とは、アルコール度数1%未満の飲料で、PETボトルや缶、紙容器などに入り、そのまま飲用できるものをさす。 本調査における飲料市場とは、炭酸飲料やコーヒー飲料、ミネラルウォーター、果汁入り飲料、各種茶系(日本茶、紅茶、ウーロン茶等)飲料、スポーツ・機能性飲料、栄養飲料(エナジードリンク含む)、飲用牛乳類、色物乳飲料、乳酸菌飲料、ドリンクヨーグルト、豆乳などを対象とする。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 炭酸飲料、果汁・野菜飲料、コーヒー飲料、茶系飲料、ミネラルウォーター、健康系飲料、乳系飲料 ※飲料市場対象外カテゴリー;レギュラーコーヒー、インスタントコーヒー、手入れ紅茶 |
出典資料について
資料名 | 2020年版 飲料市場の現状と展望 |
発刊日 | 2020年06月25日 |
体裁 | A4 564ページ |
定価 | 130,000円(税別) |
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