2018年度の国内ユニフォーム市場規模は前年度比101.7%の5,254億円と拡大
~ワーキングユニフォームが市場全体を底上げ~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のユニフォーム市場を調査し、セグメント別の市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
国内ユニフォーム市場規模推移と予測
2018年度需要分野別ユニフォーム市場構成比
1.市場概況
2018年度の国内ユニフォーム市場規模はメーカー出荷金額ベースで、前年度比101.7%の5,254億円であった。なかでもワーキングユニフォームは東京オリンピック・パラリンピック開催にともなう建設・インフラの整備により需要が好調であることから、全体市場を押し上げている。
一方で、オフィスユニフォームとスクールユニフォームはマイナス推移となった。オフィスユニフォームについてはオフィス内での制服着用を必ずしも求めない脱ユニフォーム化や、業務自動化による生産性向上を背景とした少人数化の流れなどから減少傾向にある。また少子化の影響を受け、スクールユニフォームは縮小傾向にある。
2.注目トピック
電動ファン付ウェア(空調服)好調
電動ファン付ウェア(空調服)とは、腰付近に装着された2つの小型ファンで衣服内に外気を取り入れ、体の表面に風を送り込むことで汗を気化させ、衣服内を涼しく快適に保つという作業服であり、主に建設現場などで着用されている。
東京オリンピック・パラリンピック関連施設やインフラの整備が進むなか、猛暑対策として注目を集めており、地域によっては店頭での在庫切れが発生するなど需要は好調である。
電動ファン付ウェア(空調服)は中期的には需要が見込まれるものの、オリンピック以降の建設需要等により、マイナスの影響を受けるものと考える。
3.将来展望
2021年度の国内ユニフォーム市場規模はメーカー出荷金額ベースで5,396億円を予測する。
東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う建設需要や、インバウンド(訪日外国人客)によるホテルやレストラン等のサービス需要が今後も期待されることから、ワーキングユニフォームとサービスユニフォームはプラス成長を見込むが、2020年以降の建設需要の不透明感や長期的な就労人口の減少、またインバウンド需要の先行きを踏まえると、いずれは減少局面になるものとみる。
また、オフィスユニフォームは脱ユニフォーム化や、業務自動化による生産性向上を背景とした少人数化の動きは今後も継続するものとみられる一方、スクールユニフォームは少子化傾向や羊毛高騰などの影響を受けることから、いずれも縮小傾向を予測する。