
2030年の超音波センサー世界市場規模は1兆1,562億円に成長を予測
~今後は自動運転車やドローン、配送ロボットなどの普及とともに拡大する見通し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、産業用センサーの世界市場を調査し、品目別や需要分野別の動向、参入企業の動向、将来展望などを明らかにした。ここでは、超音波センサー世界市場規模推移・予測について、公表する。
超音波センサー世界市場規模推移・予測

1.市場概況
超音波は空中(気体)以外の水中(液体)や固体中では高い音圧と強いパワー密度を効率的に取り出せるため、それを利用する超音波加熱・溶着装置や超音波ワイヤボンダー、超音波洗浄機、その他様々な関連製品が実用化されており、家電製品への利用も拡がった。そのため超音波応用製品は多彩で多岐にわたるが、超音波センシングのように超音波の情報信号を利用する機器・システムを「超音波の通信的応用」、超音波のパワーやエネルギーを利用する製品群を「超音波の動力的応用」と呼んで大別することが多い。
現状は「通信的応用」が主体で、最も利用されているのは測距機能で各種水中ソナーや魚群探知機などの水中超音波関連製品をはじめとして、医療機器の超音波画像診断装置や、超音波探傷器、FA用センサー、車載用センサー、その他様々な分野で超音波センサーによる距離情報が応用されている。
本調査では、超音波を使用して距離を測定する超音波センサーを対象として、市場規模を算出した。2023年の超音波センサー世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年比108.6%の8,127億円と推計した。
2.注目トピック
車載用超音波センサーの歴史と現状
空中超音波センサーのうち、車載用超音波センサーはトヨタ自動車が1982年に搭載してから、長い間バックソナー用センサーが中心であった。搭載車は未搭載車に比べて事故発生率が低減したという報告もある。そのため、トヨタ自動車のように前部のバンパーにもソナーを搭載したり、自動ブレーキシステムと連動させる車種が増えてきた。また、超音波センサーにバックカメラなどを連動させて高精度で障害物を検知し、駐車運転時のステアリング操作を支援する「駐車アシストシステム」搭載車も増加してきた。2010年頃までの車載用超音波センサーの歴史はそのようなものであった。
2010年代に入り、それに加えてADAS(先進運転システム)や自動運転システムでも超音波センサーの搭載が増えてきた。ADASや自動運転システムでは、単眼/複眼カメラ(CMOS センサー)や近距離/長距離ミリ波ㇾ―ダー、赤外線ナイトビジョンカメラ、レーザーレーダー(LiDAR)、超音波センサー等を用いるが、超音波センサーを使わない方式もある。超音波センサーは、短距離での高精度検知が可能で逆光や対象物体の汚れ・色彩などの影響を受けにくいため、他方式のセンサーの弱点を補完できることが指摘されている。そのため、自動運転システムでは超音波センサー併用方式が主流になる可能性があり、測定距離のロングレンジ化(~8m以上)などの開発も進められている。
3.将来展望
現在、空中でも超音波エネルギーを効率的に強化する技術や、空中超音波センサーにおいてもアレイ型を活用できる技術の開発・改良などが進められている。2030年までには、車載用センサー以外の分野でも空中超音波センサーの新規需要が拡がる可能性が高い。
2030年の超音波センサー世界市場規模は、1兆1,560億円に拡大すると予測する。分野別に2030年の市場をみると、空中超音波センサーが3,803億円(構成比32.9%)、超音波診断関連製品は3,695億円(同32.0%)で続き、非破壊検査関連製品(超音波活用製品のみ)が、2,956億円(同25.6%)、水中超音波関連製品は1,108億円(同9.6%)になると予測する。さらに、2023年から2035年までのCAGR(年平均成長率)は4.7%と全ての分野の製品が成長し、2035年の超音波センサー世界市場規模は1兆4,179億円になると予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2024年4月~2025年2月 2.調査対象: 対象品目関連の生産・販売・取り扱い企業、及び技術研究機関 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用 |
<超音波センサー市場とは> 本調査における超音波センサーは、超音波を使用して距離を測定するセンサーを指す。主にセンサーヘッドから超音波を発信し、対象物から反射してくる超音波を再度センサーヘッドで受信する。その発信から受信までの「時間」を計測することで対象物までの距離を測定するセンサーである。 本調査における超音波センサー市場はメーカー出荷金額ベースで算出し、空中超音波センサー、超音波診断関連製品、水中超音波関連製品、非破壊検査関連製品(超音波活用製品のみ)の4つの分野に分類して、その動向を調査した。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 距離計、レベル計、流量計、水位差計、水深計、厚み計、濃度計、粘度計、速度計、風速計、軸力計、各種水中ソナー、魚群探知機、海洋観測機器、超音波画像診断装置、超音波内視鏡、超音波カテーテル、超音波活用非破壊検査装置、障害物検知用、車両検知用、対人検知用、移動物品検知用など |
出典資料について
資料名 | 2025年版 産業用センサー市場の現状と展望 |
発刊日 | 2025年03月26日 |
体裁 | A4 220ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
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