
2025年の半導体パッケージ基板材料の世界出荷金額は前年比108.7%の4,327億5,000万円と見込む
~足元のニーズへの対応ではない「現在の最先端」の二歩先、三歩先を見据えた材料開発やタイムリーな提案が、次世代パッケージ基板材料での競争力を確保する~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、半導体パッケージ基板材料世界市場の動向を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
半導体パッケージ基板材料世界市場規模推移・予測

1.市場概況
2024年の半導体パッケージ基板材料世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は前年比108.7%の3,982億2,900万円であった。製品セグメント別に内訳を見ると、銅張積層板(CCL:Copper Clad Laminate、以下CCL)は2,224億2,300万円、ビルドアップフィルムは542億5000万円、液状ソルダーレジストは36億500万円、ソルダーレジストフィルムは216億5,000万円、バッファコート材料は288億5,100万円、再配線材料は674億5,000万円となった。
2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降、在宅勤務(テレワーク)やオンライン授業によるスマートフォン、PCなどのIT関連機器の需要増加に加え、テレワークの推進等によるデータ通信量の飛躍的な増大を背景にデータセンターなどへの大型投資が相次いだことで半導体需要は急速に拡大した。
しかし、2022年以降、コロナ禍で制限されていた経済活動が徐々に再開され、外食や旅行、娯楽などのサービス産業が復活した。加えて、オンライン会議等の環境が整備され、IT関連機器の需要が一巡したことでデジタル関連機器の製品需要は急速に冷え込み、半導体需要の低迷につながった。
半導体パッケージ基板材料市場はこのような半導体市場の動きに概ね連動しており、2023年の半導体パッケージ基板材料世界市場規模は前年比95.6%の3,665億1,800万円と前年を下回る結果となった。
2024年はメモリ向けや車載向け半導体など一部で回復が遅れているものの、パッケージ基板の大型化に伴う反り抑制を目的としたFC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)基板のコア厚膜化によるCCLの販売単価上昇や、GPUやASICなどのAIアクセラレータ需要の増加に伴うFC-BGA基板向け材料の拡大、多層形成等を必要とする最先端パッケージにおける再配線材料の採用拡大などで2024年の市場はプラスに転じた。2025年以降も半導体パッケージ基板材料世界市場は年率108~110%程度の成長が見込まれる。
2.注目トピック
パッケージデザインの変化を見据えた材料開発が活発化
次世代パッケージ基板として期待を寄せられるのが、ガラスコア基板や光電融合パッケージ(CPO:Co-Packaged Optics)である。
近年、半導体デバイスの高性能化・高密度化の進展に伴い、パッケージ基板に求められる性能や品質も飛躍的に向上している。これに対し、従来の有機材料コア基板においては大型化に伴う寸法安定性や、熱膨張係数、剛性、放熱性能などの観点から要求スペックを満たすことが難しいと見る向きもあり、これに代わる材料としてガラスコア基板の適用が期待されている。なお、ガラスコア基板は、加工の難しさや、有機コア基板に比べて高価であることなどから、AI向け半導体パッケージ基板など一部用途において採用が進むものと想定される。ガラスコア基板は寸法安定性や、低熱膨張性、剛性、高弾性率、基板表面の平滑性などに優れ、パッケージ基板のさらなる高性能化・高密度化を実現できる。
一方で、有機コア基板とは異なる材料特性を有するため、ダイシングや孔開け加工、ハンドリング時に生じるセワレ現象が課題となる。パッケージ基板材料に対しても有機コア基板とは異なるニーズや要求スペックが生じることで、材料メーカーとしては新たな材料開発と市場参入のチャンスとなる。
3.将来展望
現時点では、加工の難しさや高コストで普及が難しいとされるガラスコア基板も技術革新を経ていずれ普及するであろう。実際に、かつて不可能とされてきた液晶パネルの大型化も今や当たり前のように普及している。材料メーカーは、技術が注目されてから準備を始めるのでは遅い。将来起こりうる変化を見据えた技術開発の継続こそが、今の日本メーカーの競争力の源泉となっている。
現状、半導体パッケージ基板材料は日本メーカーが市場の大部分を抑えている。次世代のパッケージ基板材料でもこの立場を維持し、変化の激しい半導体業界において主要なサプライヤーであり続けるためには、マーケットの変化、それに伴う顧客ニーズの変化を捉え、先を見据えた開発につなげることが求められる。
しかし、現状の先端サプライチェーンが不変という保証はない。これからも、サプライチェーンにおける自社のポジションを確保し続けるためには、半導体メーカーやエンドユーザーである電子機器メーカーが最先端の新たな機能、新たな製品開発に向けて何を求めているのか、ニーズにどのような変化が起きているのかを敏感に察知し、その実現に向けた材料の提案を確実に行うための技術開発を続けて行かなければならない。
また、現時点ではサプライチェーンに入っておらず、一定のシェア確保には至っていない材料メーカーであっても、足元のニーズへの対応ではない「現在の最先端」の二歩先、三歩先を見据えた材料を開発し、半導体メーカーにタイムリーに提案することが出来れば、次の世代での競争力を確保することが出来ると考える。
調査要綱
1.調査期間: 2025年1月~3月 2.調査対象: 銅張積層板(CCL)メーカー、ビルドアップフィルムメーカー、ソルダーレジストメーカー、バッファコート材料メーカー、再配線材料メーカー 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用 |
<半導体パッケージ基板材料世界市場とは> 本調査における半導体パッケージ基板材料世界市場は、銅張積層板(CCL)、ビルドアップフィルム、液状ソルダーレジスト、ソルダーレジストフィルム、バッファコート材料、再配線材料を対象として、メーカー出荷金額ベースで算出した。 |
<市場に含まれる商品・サービス> CCL、ビルドアップフィルム、液状ソルダーレジスト、ソルダーレジストフィルム、バッファコート材料、再配線材料 |
出典資料について
資料名 | 2025年版 半導体パッケージ基板材料市場の展望と戦略 |
発刊日 | 2025年03月27日 |
体裁 | A4 95ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
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