矢野経済研究所
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2027年のRFIDソリューション世界市場規模は2兆3,000億円規模まで成長を予測

~中長期的にはバーコードやQRコードの進化系ではなく、RFIDで取得したデータの活用により次世代マネジメントツールに発展する見込み~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2025年の世界および国内のRFIDソリューション市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここでは、世界市場予測について、公表する。

RFIDソリューションの世界市場規模予測

RFIDソリューションの世界市場規模予測
(画像=矢野経済研究所)

1.市場概況

RFID(Radio Frequency Identification)は、近距離無線通信で専用の情報媒体(RFID ICタグや非接触ICカードなど)とリーダー・ライターが非接触で情報媒体内のメモリーに記録されている情報の読み出しと書き換えを行い、ユーザー企業の製造や物流、販売、サービス、物品管理などの業務の効率化を実現する。
RFID ICタグとハードウェア、関連ソフトウェアを合計した、2024年のRFIDソリューション世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は前年比110.8%の1兆6,431億円であった。
市場は、グローバル全体でアパレルを中心とした流通・小売分野への出荷が堅調に増加しているほか、製造業、医療関連、運輸・物流業など幅広い業界において拡大傾向を示した。

2.注目トピック

コスト削減効果の検証には、「+α」まで踏み込んだ提案を行うことが重要

RFIDソリューションの導入において、費用対効果を検証することは当然であるが、定量的に検証可能なコスト削減効果に加えて、数値などで可視化することが難しい「+α」まで踏み込んだ提案を行うことが理想である。

例えば、人手不足が深刻化する中で、 RFID導入によって従業員を追加で確保することが不要になる場合には、RFIDを導入しない場合に必要になる追加人数分の人件費を単純に除外することでその効果を検証することが出来る。
しかし、RFIDを導入して業務の効率化を実現することで求職者から選ばれる事業者になれる、さらには従業員の離職状況を改善することが出来るといった効果が期待される。こうした効果については単純な人件費削減効果と比較して、その検証は難しい。
加えて人手不足を改善することが出来れば、新規出店や営業時間の延長が人手不足により実現出来ない事業者にとって、その実現可能性が高まるなど連鎖的に好影響がもたらされる可能性がある。

また、取得データをマーケティングに活用し、新商品の開発や販促手段の効率化につなげる可能性があることも、数値などで可視化することが難しい「+α」の効果として挙げられる。

3.将来展望

近年、世界市場で労働供給が需要の増加に追いつかないことから、幅広い業界で業務効率化を目的として、RFIDソリューションの活用が拡大している。また、欧州市場を中心に、製品のトレーサビリティをデジタルで情報記録する「DPP(デジタルプロダクトパスポート)」と呼ばれる需要が拡大する見込みである。
日本市場においても慢性的な人手不足が継続し、さらに「2024年問題」と呼ばれる労働時間規制が物流、医療、建設の各業界で施行されたことで業務効率化が必須になっている。これまで需要の中心であったアパレル業に限らず、幅広い業界でのRFIDの活用拡大が中長期的に期待されている。

以上のような状況から市場は年々拡大し、2027年におけるRFIDソリューション世界市場規模は2兆3,379億円に達すると予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2025年1月~3月
2.調査対象: RFID関連メーカー、ソリューションサービス事業者、業界団体
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
<RFIDソリューション市場とは>
RFID(Radio Frequency Identification)は、近距離無線通信で専用の情報媒体(RFID ICタグや非接触ICカードなど)とリーダー・ライターが非接触で情報媒体内のメモリーに記録されている情報の読み出しと書き換えを行う。RFIDメーカーやソリューションサービス事業者は、RFID ICタグと関連機器、関連ソフトウェアを一括して供給するソリューションビジネスを展開している。

本調査におけるRFIDソリューション市場とは、RFID ICタグ、ハードウェア(リーダー・ライター、デスクトップ型・モバイル型RFIDプリンター)、関連ソフトウェア(ミドルウェア、クラウドサービスを含む)を対象として、メーカー出荷金額ベース(1US$=150円換算)で算出した。
なお、非接触のICカード、アクティブのICタグと関連機器、関連ソフトウェアは含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
RFIDソリューション、ICタグ、関連機器(リーダー・ライター、デスクトップ型・モバイル型RFIDプリンター)、関連ソフトウェア(ミドルウェア、クラウドサービスを含む)

出典資料について

資料名2025年版 RFID市場の現状と将来展望
発刊日2025年03月27日
体裁A4 199ページ
価格(税込)220,000円 (本体価格 200,000円)

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