矢野経済研究所
(画像=PIXTA)

エイジングケアや美白など機能を付加した化粧品の増加と、ドラッグストアやバラエティストア、セミセルフ型ショップなどへの展開で消費者の認知が高まる

~2019年度の国内自然派・オーガニック化粧品市場は前年度比105.8%の1,497億円と予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は国内自然派・オーガニック化粧品市場を調査し、製品カテゴリー別や流通経路別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

自然派・オーガニック化粧品の国内市場規模推移と予測

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1.市場概況

本調査における「自然派」化粧品とは、天然植物原料を主成分とする、かつ、化学合成成分の配合を抑制しているブランドを、「オーガニック」化粧品はオーガニック認証を取得、あるいは、使用原料の大部分に自社及び提携農園のオーガニック素材を使用や、ブランドラインアップの大部分にオーガニック素材を使用しているブランドを対象としている。
環境の変化に伴う敏感肌女性の増加や、安全・安心志向の高まり、エコやロハスなど環境を重視したライフスタイルを意識する消費者の増加、倫理的消費(エシカル消費)の高まりを背景に、国内の自然派・オーガニック化粧品市場には、国産ブランドや海外ブランドの導入が進んでいる。加えて、これまで一般化粧品に求められていた、エイジングケアや美白などの機能をナチュラル・オーガニック化粧品に付加することや、ドラッグストアやバラエティストアなどでの取り扱いが増えて消費者の認知があがっていることなどから、2018年度の国内自然派・オーガニック化粧品市場はブランドメーカー出荷金額ベースで、前年度比104.9%の1,415億円となった。なお、今回の調査にあたり、2017年度の市場規模を見直している。

2.注目トピック

日本における業界ガイドライン制定

日本にはオーガニックに関する認証制度がなく、そもそもオーガニック製品への馴染みが薄いため、消費者においてもオーガニックがなにを指すのか認識していない人は多いと考えられる。
こうしたなか、自然・オーガニックを訴求した化粧品について消費者にわかりやすく情報提供する観点から、日本化粧品工業連合会は2018年に「化粧品の自然・オーガニック指数表示に関する業界ガイドライン」を制定した。同ガイドラインは「ISO 16128」に基づく化粧品の自然及びオーガニックに関する表示基準を示したものである。今後、ガイドラインに基づく表示を見て商品を選択することが出来るようになるという点で前進したものと捉えられる。
ガイドラインの制定について、有力企業各社では、自社が安心安全で優良な製品を供給していくことを前提に、当面は状況をみながら今後の対応を検討していくという見解が現状では大勢である。今後は、これが市場攻略の鍵となるかが注目される。

3.将来展望

2019年度の国内自然派・オーガニック化粧品市場規模はブランドメーカー出荷金額ベースで、前年度比105.8%の1,497億円と予測する。
エイジングケアや敏感肌向けなど製品の高機能化を訴求するブランドが増えており、一般化粧品から自然派・オーガニック化粧品への切り替え需要が引き続き伸長する見込みである。また、ドラッグストアやバラエティストアに加え、セミセルフ型ショップなどで新たなユーザーを取り込んでいくとみられることから、今後も市場規模は拡大し、2023年度までは前年度比3%~4%台の成長を維持する見通しである。