多面的な活動家・西村修さんの紹介
こんにちは。パラレル活動家の岡田慶子(おかだけいこ)です。かれこれ10年近いお付き合いのある西村修さんは、上場する総合製紙メーカーの会社員として働きながら、ソーシャルグッド(社会にポジティブな変化をもたらす)活動を幅広く展開する多彩な方です。

西村さんは、”仕事”として環境問題を始めとした社会問題に向き合うだけでなく、自らの手で社会に働きかけ、新たな仲間を生み出しながら活動の輪を広げています。

竹紙を通じた社会活動、ドキュメンタリー映画の市民上映会を通して社会課題への関心を醸成する『銀座ソーシャル映画祭』、持続可能な生産への関心を高める自家焙煎コーヒー『so good coffee』、そしてプロギング(ランニング+ゴミ拾い)活動『ブロギング部ラン&ピース』といった実践的な取り組みがあります。

竹紙プロジェクト:放置竹林から価値ある紙へ

多面的な活動家・西村修さんの紹介

日本全国で問題視されている放置竹林。伐採された大量の竹の処分に困っている地域の問題を目の当たりにし、「製紙原料として活用できないか」と試行錯誤を重ねたある社員の取り組みの結果として素材は誕生しました。

年間約80万トンの紙パルプを製造販売する企業間取引がベースの企業において、この取り組みは会社の命令でも、正式なプロジェクトでもありませんでした。

この紙に「竹紙」と名付けたのは、その取り組みを知った西村修さんでした。エシカルという言葉もまだ広がりを見せるより以前、竹紙という素材を通した企業のブランディングに可能性を感じ、世に知らしめるための努力を開始しました。

これもまた会社の指示でも命令でもなく、西村さん自身のアイデアと行動力によるものです。素材メーカーにあって誰も経験のない商品の企画、製造、さらに販売を40歳半ばにひとりで始めて今も継続しているのは尊敬するほかありません。

竹紙は単なる紙ではなく、地域課題の解決と持続可能な社会の実現を目指す象徴的な存在へと成長し、「選ぶことで環境に貢献できる」という消費者にとっての付加価値も生み出しています。

さらに竹紙を使ったカレンダーは、その美しいデザインと環境への配慮が評価され、10数年にわたって国内外の賞を毎年受賞。ノートや折り紙などさまざまな商品へと展開されています。

17年連続国内外のカレンダー展で受賞を続ける竹紙カレンダー
『日本の彩2025』

https://forms.gle/DQABVC9sEc1anHYN7

多面的な活動家・西村修さんの紹介

西村さんは言います。

「竹紙は、社会課題に触れた一市民がジブンゴトとして自分でできることを試行錯誤して解決を図った事例です。僕自身、社命でもないのに余計な仕事を作って名前もなかった紙に”竹紙”と名付けました」

さらにこの活動について発信することへの意味について続けます。

「個人起点で社会を良くする好事例」を伝えることで、ソーシャルグッドを起こす人が増えることに期待してるんだよね」

竹紙商品MEETS TAKEGAMI ONLINE STORE

銀座ソーシャル映画祭:考える場を創出

多面的な活動家・西村修さんの紹介

そんな西村さんのもうひとつの顔は、『銀座ソーシャル映画祭』の主宰者です。社会課題をテーマとするドキュメンタリー映画を上映し、参加者が知り、考え、行動するきっかけを提供する場。2013年の設立以来、開催回数は200回を超え、全国各地にもその活動が広がっています。

『銀座ソーシャル映画祭』では、西村さんのセンスと交渉力による映画のテーマに関連したゲストスピーカーを招くこともあります。参加者同士、対話を通して理解を深める仕組みが特徴的です。

「良い人たちが集まる場を提供するだけでも社会に役立つ」という西村さんの言葉どおり、映画祭はただの上映イベントではなく、参加者が他者との対話や気づきを通じて行動への一歩を踏み出すきっかけとなるコミュニティとなっています。

「自ら考えて行動する人が増えれば、社会は良くなるのではないか。人を変えることは難しいが、考えるキッカケくらいは与えることができる」

私も二子玉川で同じ思いで映画上映会を数年開催していました。継続は本当に大変で、私は数年たって以降停止してしまっていますが、西村さんが開催する『銀座ソーシャル映画祭』には今も時々参加させていただいています。

多面的な活動家・西村修さんの紹介

銀座ソーシャル映画祭

so good coffee:サステナブルなつながりを広げる

多面的な活動家・西村修さんの紹介

コーヒーを通じた環境と人のつながりを広げる活動として、西村さんは『so good coffee』を始めました。フェアトレードや有機栽培など、しっかりトレースされた生豆を厳選し、僅かな販売量でもサスティナブルな社会に寄り添おうとしています。

定期的な作業は、地道で根気を要するもの。焙煎前に欠陥豆(特にカビ豆)を取り除いて湯洗いし、綺麗にした豆からさらに欠陥豆を取り除き、水蒸気を含む焙煎で中まで熱を通しながらも外は焦がさないという、人の目と手がしっかり関わったコーヒーは、雑味のないすっきりした後が特徴です。

“安全で、美味しくて、誰も悲しませることのない、みんなを笑顔にするコーヒー豆”という『so good coffee』。西村さんが展開する他の活動と同様、このプロジェクトもまた、小さな行動が大きな変化を生む可能性を示しています。

so good coffee

プロギング:カラダも街も美しく

西村さんが、屋外での活動としてして取り組まれているプロギング(ランニングしながらゴミ拾い)は、環境意識を高めるきっかけをつくると同時に、運動不足を解消するアクティビティとして注目されています。

街を綺麗にするだけではなく、参加者が自分の住む地域の環境状況に目を向けるきっかけをつくると同時に、活動を通した交流をも育みます。

多面的な活動家・西村修さんの紹介

コロナ禍の運動不足解消からランニングを始めたという西村さん。50代半ばから始めた、自称”かなりの遅咲き”ですが、トレラン大会、ハーフマラソンへの出場を経て、いずれフルマラソンに出ると決意を語ります。面倒くさがりだと口にすることが多い西村さんですが、実はコツコツ積み重ねることができる才能をお持ちだと改めて思います。

プロギングを始めたきっかけは、「どうせ走るならついでにゴミ拾いも」と、一挙両得を狙う発想だとか。「本当はみんなで一緒に何かをするのは苦手」と言いながら、ついつい率先垂範しちゃうところが西村さんらしいユニークなところです。

「無理せずできるソーシャルグッドは言い訳せずに必ず実践」が西村さんのモットー。映画上映会後の「ついでに開催」する西村さんと、「ついでに参加」される方とで楽しんでいます。

結び:行動が生むつながりと未来

竹紙商品、銀座ソーシャル映画祭、so good coffee、プロギング――
西村さんは、どれも「まず自らが行動する」ことから始めています。

日常の中の気づきに反応して考え、まずは自分から小さくても行動を起こし、地道に継続しながらつながりを育んでいく西村さんの体現。多面的な人生を楽しみながら、人々とのつながりをデザインし、新たな価値を創造し続けている、まさにパラレル活動家です。

西村さんは言いました。

「転職を重ねた結果、パラレル活動家」 ←私のこと
「転職したことがなくても、パラレル活動家」 ←西村さんのこと

肩書きやこれまでの経歴にとらわれず、どんな立場でも新たな挑戦を始められる。これがパラレル活動の醍醐味です。西村さんの生き方は、日常に「もうひとつ」の世界を加えることで、新たな可能性の扉を開いていくステキな例です。