(本記事は、梅澤伸嘉氏・西野博道氏の著書「2年で10億円を突破! 5年で100億円を超える 『100億マニュアル』」日本経営合理化協会出版局の中から一部を抜粋・編集しています)
広告の質的仮説を立てるツール
最速で広告投資を回収し、再投資をするには、「当たる広告」を最速で見つけだす必要があります。
「広告表現検討表」は、「当たる広告(クリエイティブ)」と「媒体」を素早く見つけるツールで、主に広告担当者に使っていただきます。
この「広告表現検討表」には、主に経営者や販売責任者に使っていただく「広告投資検討表」と同じ項目が入っているので、広告担当者が広告のことで経営者と打ち合わせするときに、このツールを使えば、経営者と同じ用語を使って報告・相談できます。
さらに、広告担当者が広告代理店に仕事を依頼するときも、「広告表現検討表」をもとに説明すれば、やりたいことが明確に伝わるでしょう。
つまり、経営者や販売責任者に主に使っていただく「広告投資検討表」と、主に広告担当者に使っていただく「広告表現検討表」の2つのツールを使って、全社で広告投資のPDCAを回します。
なお「広告表現検討表」も、「広告投資検討表」のシミュレーションと同じように、商品ごとにエクセル(Excel)でつくっていただきます。
広告表現検討表の構成
下図は、「広告表現検討表の一例」の項目部分を抜き出した図です。
ご覧いただくとわかりますが、「広告表現検討表」は、「仮説」と「結果検証」の、大きく左右2つの部分に分かれています。
「仮説」と「結果検証」部分に入っている項目は、前章でお話した「広告投資検討表」の項目とまったく同じ項目が入っています。
「広告投資検討表」にはない項目は、一番左端の、
- 項番
- 広告番号
の2つです。
「項番」と「広告番号」を説明しましょう。
「項番」と「広告番号」
まず、「項番」とは、広告に使う「クリエイティブ」ごとに振られた番号のことです。
EC広告に使う、「にんにく卵黄」というサプリメントのランディングページ(LP)が9つ並んでいます。
一番左端のランディングページ(LP)が「項番1」で、左から右へ順番に「項番」がふられ、一番右端のランディングページ(LP)が「項番9」となっています。
次に、「項番」の下に「広告番号」が明記されています。
「広告番号」とは、「広告の要素」と「媒体」を組み合わせてつくる番号のことです。
たとえば、「項番1」の下に「広告番号A1 B1 C1」が明記されています。
「A1 B1 C1 」の「A」とは、お客様が一番はじめに目にする画面の「ファーストビュー(FV)」を意味します。
そして、「B」とは「嬉しいお便り」というコンテンツのこと、「C」は「媒体」を意味しています。
さらに「A1」の「1」とは、「ファーストビュー(FV)」の「候補1の国産原料」を意味します。
上図にあるとおり、ファーストビュー(FV)」には、「国産原料」と「原料のこだわり」の2つの候補があり、「嬉しいお便り」には「あり」と「なし」の2つの候補が、そして「媒体」には「ヤフーインフィールド広告」「フェースブック」「ヤフー」「ユーチューブ」の4つの候補があります。
このようにアルファベットと数字で表わした「クリエイティブ候補」と「媒体候補」を組み合わせて「広告番号」をつくります。
そしてこの「広告番号」ごとにテスト広告をおこなって、
どの広告番号がもっともCPOが低いか
を特定していきます。
次に、「広告番号」が示すランディングページ(LP)を見てみましょう。
「項番1」の「広告番号A1 B1 C1」のランディングページ(LP)を見てください。
広告番号の「A1 B1 C1」が示す内容は次のとおりです。
- 「A1」は「ファーストビュー/国産原料を記したもの」 「B1」は「嬉しいお便り/あり」 「C1」は「媒体/ヤフーインフィード広告」
「項番1」の「ファーストビュー(FV)」には「国産原料」が表示され、ランディングページの下のほうに「嬉しいお便り」が表示されています。
つまり、「広告番号A1 B1 C1」とは、「項番1」のランディングページ(LP)を使って「ヤフーインフィード広告」をおこなうことを表わします。
ところで、「広告表現検討表」に似たツールで、ABテストがありますが、「広告表現検討表」は、ABテストと違って、「クリエイティブ」と「媒体」の想定するパターンを同時にテストします。それによって「広告時期」や「文言の組み合わせ」また「媒体」の差によって生じるテストの誤差をなくすことができます。
つまりABテストよりも正確に、成果の出る「クリエイティブ」と「媒体」の組み合わせを見つけることができるのです。
また「広告表現検討表」は、アルファベットと数字の組み合わせの数を増やせば、さらに複雑な組み合わせの「クリエイティブ」と「媒体」の反応を調べられる点が、ABテストと大きく違っています。
「広告表現検討表」で仮説を立てる
次に、「広告表現検討表」の仮説部分を説明しましょう。
上図は、「広告表現検討表の一例」の「仮説」部分をクローズアップしたものです。
この「広告表現検討表」の「仮説」部分は、主に広告担当者が広告をする前に、広告番号ごとに、集客できる新規顧客数を予想して入力してください。
他の入力項目である「購買単価」と「粗利益率」と「顧客回転数」には、「広告投資検討表」と同じ数字を入れてください。
「広告表現検討表」で広告の結果を検証する
次に、広告の結果を「広告表現検討表」で検証します。
上図は、「広告表現検討表の一例」の「結果検証」部分をクローズアップしたものです。
「広告番号」ごとに広告を実施したあと、集客できた新規客の数がわかります。
その数字を、「広告表現検討表」の「結果検証」部分の項目、「新規顧客数」のところに入力してください。
その他の入力項目である「購買単価」や「粗利益率」「顧客回転数」は、「仮説」で入力した数字と同じ数字を入れましょう。
入力項目に数字を入れると、「CPO」と「年間採算性」の数字が自動計算で表示されます。
次に表示された「年間採算性」の数字を、大きい順にエクセル(Excel)の並び替え機能を使って全列並び替えます。
この並び替えの作業をおこなったものが、次の図となります。
図の中で文字が朱色になっている部分が年間採算性が高い、つまりCPOが低い上位4つの広告番号の結果です。
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