(本記事は、梅澤伸嘉氏・西野博道氏の著書「2年で10億円を突破! 5年で100億円を超える 『100億マニュアル』」日本経営合理化協会出版局の中から一部を抜粋・編集しています)
経営者が必ずチェックしなければならない大事な項目
次に、経営者や販売責任者が、とくに注意して見てほしい広告投資シミュレーション表の中の項目についてお話します。
ここで見ていただきたいのは、次の2つです。
- 年間LTV(ライフタイムバリュー)(万円)
- 年間稼働顧客数(人)
この2つの項目が、広告投資シミュレーション表の中で、経営者または販売責任者にとくに注意してほしい大事な項目です。
「年間LTV(ライフタイムバリュー)」とは、1年のあいだに1人のお客様が買ってくれた平均金額
「年間稼働顧客数」は、1年のあいだに商品を1回以上買ってくれたお客様の数のことでした。
そして、下図のとおり、「年間LTV(ライフタイムバリュー)」と「年間稼働顧客数」を掛け合わせると、「年商」になりました。
つまり、「年間LTV(ライフタイムバリュー)」と「年間稼働顧客数」の2つが重要なのは、ダイレクトマーケティングモデルで年商を決める要因であり、「年間LTV(ライフタイムバリュー)」と「年間稼働顧客数」を増やしていけば、年商が増えていくのです。
ですから、経営者や販売責任者は、
年商=年間LTV(ライフタイムバリュー)×年間稼働顧客数
の計算式をしっかり頭に入れましょう。
そして、実際に広告投資をスタートさせたら、この2つの数字が増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのかを、自社で立てた5年間の広告投資シミュレーション表の数字と照らし合わせて必ずチェックするようにしましょう。
ここで、5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーションで、5年目の年商を確認してみましょう。
どこの数字を見ればいいかは、シミュレーション表の一番上の項目の「経過月数(カ月)」「60」のところの「年間稼働顧客数(人)」と「売上高(年計・万円)」の数字です。
下図が、シミュレーション表上で数字を探すときの見方です。
ご覧のとおり、見つけてほしい数字のところには、わかりやすいようにピンク色の四角で囲んでいます。
「経過月数(カ月)」「60」の「年間稼働顧客数(人)」の数字は、上図にあるとおり、①のところにありますので、その数字を探してください。
「経過月数(カ月)」「60」の「売上高(年計・万円)」の数字は、上図とおり、②のところにありますので、その数字を探してください。
シミュレーション表上で、①と②の部分の数字を見つけましたら、その数字に鉛筆かボールペンで〇印をつけてください。
次に、同じく「経過月数(カ月)」が「49」のところの「年間LTV(ライフタイムバリュー)(万円)」の数字を見つけて、〇印をつけてください。
「経過月数(カ月)」が「49」の「年間LTV(ライフタイムバリュー)(万円)」の数字は、上図のとおり、③のところにありますので、その数字を探してください。
シミュレーション表上で、3つの数字に〇印をつけましたら、下図の数字と同じであることを確認してください。
数字が一致しましたらOKです。
年間LTV(ライフタイムバリュー)については、前述したとおり、毎月大きく変化するものではないので、この表では、1年ごとに入力するようになっています。
したがって、49カ月のところに入っている「年間LTV(ライフタイムバリュー)」の2.5万円は、60カ月のところも同じで2.5万円となります。
つまり、「5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表」では、60カ月後、つまり5年後の、
年間LTV(ライフタイムバリュー)は、2.5万円年間稼働顧客数は、約42万人
で、2.5万円と42万人を掛け算して、
5年目の年商が、約105億円
という計画になっているのです。
この年商105億円というのは、5年目の1年間の売上のことで、5年間の累計売上ではないので、注意してください。
稼働顧客数が月次売上の先行指標
さらに重要なので「年間LTV(ライフタイムバリュー)」と「年間稼働顧客数」についてお話します。
上図は、5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表の「年間LTV(ライフタイムバリュー)」と「年間稼働顧客数」の伸びを折れ線グラフで表わしたものです。
ご覧のとおり、「年間稼働顧客数」はスタート時の1千人から5年後には約42万人にまで増え、数が420倍になり、右肩上がりの曲線で伸びています。
5年で売上100億円を超える広告投資シミュレーション表では、1年目はEC広告のみでスタートし、2年目からは新聞折込チラシ広告もスタートさせ、4年目からはテレビ広告もおこなう計画になっています。
年間稼働顧客数が4年目から急激に伸びている理由は、テレビ広告による効果です。テレビ広告を始める4年目の初めは、売上が35億円を超えているので、テレビ広告に投資することは可能です。
一方、「年間LTV(ライフタイムバリュー)」のほうは、1万2千円からスタートして、5年後は2万5千円になっています。折れ線グラフで伸びを見ると、低い位置で低迷しているように見えますが、「年間LTV(ライフタイムバリュー)」は、1年のあいだにお客様1人が平均して買ってくれる金額ですから、このぐらいの金額が一般的な金額のラインです。
ですから、100億円を達成するために、
何百倍も数を伸ばすべきものは、「年間稼働顧客数」
なのです。さらに経営にとって大事なことは、
年間稼働顧客数が月次売上の先行指標である
という事実です。
上図は、「年間稼働顧客数」と「月次売上金額」の推移を示したものです。
ご覧のとおり、先に「年間稼働顧客数」が減りだして、そのあと「売上」の減少が始まっています。
経営者や販売責任者が注意しなければならないのは、「年間稼働顧客数」の減少が始まったときです。なぜなら、月次売上は「年間稼働顧客数」が減少し始めても、数カ月は伸び続けるので、その減少に気がつかないことが多いからです。
なぜ売上の減少が遅れるかといえば、売上の8割をもたらしてくれる優良顧客よりも、おつきあいの浅い、売上金額の少ない顧客のほうから減り始めるからです。なので数カ月は売上に影響が出ず、逆に売上が伸びることがあるのです。実は、「やずや」が1997年、売上30億円を目前にして、売上が20億円へと急降下したのは、「年間稼働顧客数」の減少に気づくのが遅れたことが一つの要因でした。このように「年間稼働顧客数」は経営者にとって、常に注意しておくべき指標なのです。
広告投資計画を成功させる重要ポイント
ここまでお読みいただいて、とにかく「年間稼働顧客数」の推移に注目して、「年間稼働顧客数」を継続的に増やしていけばいい、ということをご理解いただけたと思います。
では、どうやって「年間稼働顧客数」を継続的に増やしていくかについて説明しましょう。
まず、「年間稼働顧客」とは、1年間に1回以上買ってくれたお客様のことですが、そもそもひと口に「顧客」といっても、「新規客」と「既存客」と「離脱客」の3つがあります。
結論を先にいえば、稼働顧客数を継続して増やしていくには、
- ①新規客を継続して増やす②既存客にリピートしてもらう③離脱客を戻す
の3つのことを同時におこなう必要があります。
この3つについて、それぞれ経営者や販売責任者に知っておいてほしいポイントを説明しましょう。
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