2019年度のシェアリングエコノミー(共有経済)サービス市場規模は2桁増の成長で拡大の見込
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、シェアリングエコノミー(共有経済)サービス市場を調査し、分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
シェアリングエコノミー(共有経済)サービス市場規模推移・予測
1.市場概況
2018年度の国内シェアリングエコノミーサービス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比132.2%の1,012億8,700万円であった。乗り物・スペース・モノ・ヒト・カネのサービス分野別に見た場合、最も市場規模が大きいのは、乗り物のシェアリングエコノミーサービス分野である。また、乗り物のシェアリングエコノミーサービスのうち、カーシェアリングが当該分野の大半を占める。
2.注目トピック
モバイルバッテリーシェアリングサービスの出現
新たなモノのシェアリングエコノミーサービスとしては、スマートフォン充電器をシェアする、モバイルバッテリーシェアリングサービスがある。なかでも「ChargeSPOT」は、2018年4月には参入を発表、同年9月からサービス提供をスタートし、商業施設や飲食店、コンビニエンスストア、公共施設などを中心に設置場所を拡大させ、2019年5月には全国47都道府県への設置を完了させるなど、その規模を拡大させている。サービス単価は低いものの、ユーザー需要を取り込むことで、今後、モノのシェアリングエコノミーサービス分野全体を押し上げるものと期待される。
3.将来展望
国内シェアリングエコノミーサービス市場規模(事業者売上高ベース)の2017年度から2023年度の年平均成長率(CAGR)は14.1%で推移し、2023年度に1,691億4,000万円に達すると予測する。
乗り物のシェアリングエコノミーサービスであるカーシェアリングにおいては、カーシェアリング事業者が駐車場事業者と提携するなど、ステーション数を拡大させていることから、サービスの利便性が増している。こうしたなか、会員数が益々増加するものとみられ、今後もカーシェアリング分野は拡大していくと予測する。
スペースのシェアリングエコノミーサービスである民泊サービスでは、2018年6月から「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行され、民泊仲介サイト事業者が無届け施設の削除を進めたことから、市場は一時的に縮小した。しかし、その後の登録物件数は回復するとともに、民泊サービスの利用の多い訪日外国人客は長期的には増加傾向とみられることから、民泊サービスの拡大が期待される。
ファッションシェアリングをはじめとするモノのシェアリングエコノミーサービス分野は、既存のファッションシェアリングサービスが順調に会員数を増やしているほか、国内大手婦人服飾ブランド企業が同サービスに進出していることから、今後も拡大していくと予測する。
ヒトのシェアリングエコノミーサービスであるクラウドソーシングでは、各産業界における人材不足を背景に、業務内容により必要な人材をクラウドソーシングで補おうとする動きがあることから、今後も堅調に推移するものとみる。
また、スキルシェアでは、大手企業を中心に副業を認める企業が増えていることから、自身のスキル(知見や技術等)を提供するビジネスパーソンが増えており、堅調に成長していくとみる。