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(画像=岸産業株式会社)
岸 晃広(きし あきひろ)
岸産業株式会社 代表取締役社長
昭和53年1月20日生まれ、兵庫県宝塚市生まれ。岸産業の3代目。 大学卒業後、2000年に家業である岸産業株式会社へ入社。2013年に専務取締役に就任。2017年に東京営業所を立ち上げ。2022年に代表取締役社長に就任。
岸産業株式会社
当社は創業当時、冷凍冷蔵倉庫のメーカーとして事業を開始しました。大阪市中央卸売市場にてお客様の100のニーズに対して100の答えを導き、それを具現化する事をモットーに確かな技術と信頼を積み上げてきました。防熱扉を自社開発し、現事業に至っております。創業から66年を迎え、大阪から日本、そして世界へと皆様の生活の安心安全を支えていきます。

目次

  1. 創業からこれまでの事業変遷
  2. 代替わりの経緯・背景
  3. ぶつかった壁と乗り越え方
  4. 今後の経営・事業の展望
  5. 全国の経営者へ

創業からこれまでの事業変遷

—— 創業からこれまでの事業の変遷について教えてください。

岸産業株式会社 代表取締役社長・岸 晃広氏(以下、社名・氏名略) :当社は、私の祖父が立ち上げた会社で創業67期になります。創業当時は小型の冷蔵・冷凍倉庫を作るメーカーとして事業を展開していました。寿司屋さんの陳列ケースなどをフルオーダーで製品作りしていました。当時、冷凍機と外のケースを一手に請け負える業者は関西では当社のみで、販売、製造、施工、メンテナンスまで一貫して対応できることが強みでした。

1983年に私の父親が2代目社長として事業を引き継ぎ、防熱扉の事業を立ち上げました。

そして、2009年には国土交通大臣認定の防火防熱扉を自社開発し、全国から受注を受けることができるようになりました。

—— 創業当初の冷凍・冷蔵倉庫の事業はどうなったのでしょうか?

:現在は冷凍・冷蔵倉庫は自社で製造するのではなく、購入して施工を行っています。現在の事業の主体は防熱扉の製造となりました。

岸産業株式会社
(画像=岸産業株式会社)

代替わりの経緯・背景

—— 岸産業株式会社の代表取締役に就任された際の経緯や背景についてお聞かせください。

:最初に父から打診があったのは2013年、私が35歳の時でした。その時、父は68歳で、2年後には代表を退きたいと告げられました。当時の私は営業の第一線で活躍し、会社の売り上げの半分以上を担っていました。目の前の売り上げを上げることに必死で、すぐに経営者としての役割を引き受ける準備は整っていませんでした。

当時はスタッフも不足しており、私も社員たちもオーバーワークの状況でした。しかし、父の引き継ぎたいという意向を受け、少しずつ会社を変革し、私だけでなくスタッフにも売り上げを引き継ぐ体制を整えていきました。

そんな中、2018年に父から本社を移転したいという話がありましたので、移転が成功したら代表を引き継ごうと決心しました。不動産を探すところから始め、2020年9月に本社が無事移転し、業務が安定した2022年2月に社長に就任しました。

—— 2013年に後継指名を受け、約10年弱の間に、さまざまなことを学ばれたのですね。

:はい。多くのことを学びましたが、父との衝突も多かったです。私が会社の将来を見据えているのに対し、父は経営を引き継ぐことを決めていたので、考えの違いがありました。

—— お互い本気になると、意見の衝突は避けられないですよね。

:そうですね。考え方の違いがあることで、より良い方向性を見つけることができたのかもしれません。

ぶつかった壁と乗り越え方

—— 次に伺いたいのは、壁にぶつかった時の乗り越え方です。ぜひ、具体的なエピソードを教えていただければと思います。

:事業継承前の話ですが、我々の業界は非常にニッチで、全国でも競合が15社ほどしかなく、関西では2社だけです。そんな閉鎖的な環境の中、我々の仕事は少なく、経営が火の車状態でした。しかし、社員たちは危機感を持たずに働いていた状況もありました。私は父から会社の財務状況を聞いていたので、事業を継続することに必死でした。ただ、営業の仕方も殿様商売というか、昔ながらのやり方でしたので、私が営業を始めたときは、なかなかお客様に相手にされませんでした。必死に頑張って受注が増えても社内から「息子だから取れた仕事だ」と言われ、悔しい思いをしましたね。時間をかけてちょっとずつ結果を出すことで業績は改善し、協力してくれるスタッフも増えていきました。

—— 先ほどおっしゃっていた「殿様商売」というのは、製品へのこだわりが強すぎて、ユーザー目線やマーケティング目線が欠けているということですか?

:そうですね。製品に対するこだわりは強く、安売りはしたくないという考えがありました。しかし、それが時代のスピード感と合わない状況がありました。私が社長に就任してからは、お客様に寄り添い、商品を新たに開発することにも注力しました。オーダーメイドの防熱扉の製作や、そこから派生して潜水艦の内部の扉を作る機会をいただいたりもして、徐々にお客様の信頼を得ることで次の仕事に繋がっていきました。

今後の経営・事業の展望

岸産業株式会社
(画像=岸産業株式会社)

—— 事業拡大に向けた戦略や、今後の経営や事業の展望についてお聞かせください。

:直近ですと、2025年に新しい倉庫を建設する予定です。その際に生産ラインを見直し、作業効率を向上させることを計画しています。また、設備投資を行い、製造範囲を広げていきたいと思っています。採用面でも、今年4人を採用しました。現在、会社の従業員は34名ですが、将来的には45名ほどに増やしていきたいと考えています。直近の目標としては、2028年の決算時に売上15億円を突破し、業界のリーディングカンパニーを目指したいと思っています。

—— 社員の定着についてですが、最近は離職率が高いとよく耳にします。御社ではどのような状況でしょうか。

:本社を移転する以前は20人ほどの会社でしたが、この4年で14名増え、採用は順調で、定着率も良好です。20年以上働いてくれているスタッフもいれば、新しいスタッフもいます。新旧のスタッフがうまく噛み合っている状況です。

—— そうなんですね。定着のために特別な努力をされていることはありますか。

:定着に関しては、楽しい職場環境を作ることを重視しています。社員同士が何でも言い合える関係性を築くことで、風通しの良い会社作りを心がけています。

全国の経営者へ

—— では、最後に経営者をはじめとする読者の皆様へ、メッセージをお願いします。

:経営者というのは、会社の目標ややりたい未来を創造する存在だと思っています。目標やなりたい未来を導くのも経営者の役割です。全ては経営者が源として物事を考えることで、何事も実現可能になると信じています。さらに言うと、私たち経営者が素晴らしい日本を作っていくのだと思います。

お客様のニーズにチャレンジし続け、ワクワクと感動を引き起こし、素晴らしい未来を築いていきたいと考えています。経営者として、自分が源となって良い日本を作っていくことを目指し、それを皆さんと一緒に実現していきたいと思っています。

—— 本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

氏名
岸 晃広(きし あきひろ)
会社名
岸産業株式会社
役職
代表取締役社長