組合員関連の重要データのバックアップ二重化とデータ保存手順の標準化 更にサポートサービス契約で、安心の運営体制へ 群馬県バス事業協同組合(群馬県)

目次

  1. 群馬県の輸送業界団体が入居した「群馬県総合交通会館」 明るくて開放された雰囲気作りで地域との共存を目指す
  2. 事務所の移転をちょうどいいタイミングととらえてシステムを刷新しバックアップ体制を強化
  3. データのバックアップを二重化しデータ保存の流れも確認してアクシデントに備える
  4. サポートサービスに入ってシステムのトラブルをいつでも相談して改善、パソコンも新しくして作業効率を高めた
  5. コロナ禍で影響を受けた群馬県のバス事業 インバウンド効果で持ち直し群馬県バス事業協同組合の役割も高まる
中小企業応援サイト 編集部
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群馬県内のバス事業者40社が加盟する群馬県バス事業協同組合では、燃料を共同購入したり、高速道路の通行料を後からまとめて収めたりして、中小規模が多いバス会社の経営をサポートしている。2024年4月に新しく建てられた「群馬県交通運輸会館」に事務所を移転。この際、業務で使っていたパソコンや記録用のHDD(ハードディスクドライブ)に保存されていたデータを再確認し、バックアップ体制も整えて組合員のバス会社をしっかりサポートできる体制を整えた。(トップ画像:2024年4月に移転した群馬県交通運輸会館の中にある事務所で業務に取り組む群馬県バス事業協同組合) 

群馬県の輸送業界団体が入居した「群馬県総合交通会館」 明るくて開放された雰囲気作りで地域との共存を目指す

組合員関連の重要データのバックアップ二重化とデータ保存手順の標準化 更にサポートサービス契約で、安心の運営体制へ 群馬県バス事業協同組合(群馬県)
群馬県交通運輸会館の模型と入居している団体名

2024年4月1日に開館した「群馬県交通運輸会館」には、一般社団法人群馬県トラック協会や一般社団法人群馬県バス協会、一般社団法人群馬県タクシー協会など群馬県の輸送業の業種別団体が入居し、それぞれの事業のサポートを行っている。会館の建設に当たって作られた「ビジョン庁舎建設委員会」で検討されたのが、①地域に開かれた施設にする、②社会に貢献する施設にする③環境負荷を与えない建物にする―といったコンセプト。こうしてオープンした会館は、ロビーやエントランスホールの床に木材が使われ、ぬくもりが感じられる施設となっている。

「絆」と名付けられた交流学習室では、社会科見学に訪れた子どもたちを対象にした講習などを開いて、業界への理解を深めてもらっている。広いホールや駐車場を利用して、トラックやバスを並べて子どもたちに楽しんでもらうイベントも計画している。群馬県バス事業協同組合で専務理事を務める高橋千明氏も、2023年3月まで群馬県トラック協会の専務理事として、「群馬県交通運輸会館」が地域に親しまれる施設になるように取り組んできた。

2024年4月から群馬県バス事業協同組合の勤務に移っても、「会館がどんどん利用されて、運輸業界のことをもっと知ってもらえるようになれば嬉しいですね」(高橋専務理事)と、ますますの活用に期待を示す。

事務所の移転をちょうどいいタイミングととらえてシステムを刷新しバックアップ体制を強化

組合員関連の重要データのバックアップ二重化とデータ保存手順の標準化 更にサポートサービス契約で、安心の運営体制へ 群馬県バス事業協同組合(群馬県)
2024年4月から群馬県バス事業協同組合の専務理事に着任した高橋千明氏は群馬県警で交通部長や刑事部長を歴任した経験の持ち主

着任した群馬県バス事業協同組合では、長く使ってきたシステムの見直しにさっそく着手し、組合員の業務に支障が出ないような体制作りに乗り出した。

同組合では、パソコンを使って事業に関わるさまざまなデータ管理を行っている。事業としては、大手燃料会社と契約して各地のスタンド給油のほか、組合に加盟するバス会社の給油タンクに運んで供給する共同購買事業、貸切バスや高速バスが高速道路を利用する際の料金が安くなるよう、ETCコーポレートカードの発行や精算といった業務を代行する高速道路通行料金後納事業などを行っている。

こうした事業で、組合員のバス会社に請求書を発行する場合、パソコン上のソフトを使って金額を計算している。「その計算式が複雑で、担当者は前任者から受け継いだものをそのまま使っていました」(高橋専務理事)。ここでパソコンの故障、誤った操作、ウイルスの侵入等でデータがすべて消えてしまったりすると、計算ができず業務に大きな支障が出る恐れがあった。

幸いにして現在まで、致命的となる故障は起こっていなかった。仮に起こったとしても、NAS(ネットワークハードディスク)が動いているためバックアップは取れていたが、「職員が入れ替わってしまい、このNASがいつ導入されたもので、どのような手順でどこにデータがバックアップされているかを、誰も把握できていませんでした」(高橋専務理事)。

データのバックアップを二重化しデータ保存の流れも確認してアクシデントに備える

そこで、引っ越しが一段落して大型連休も終わった6月ごろから取り組んだのが「バックアップの二重化」(高橋専務理事)だった。表面上はしっかりと動いているようでも、中でどのような不具合が積み重なっているのかがわからないのがデジタルの世界。重大なアクシデントが発生して、データの所在がわからなくなってしまう事態に備え、改めてどのような流れでどこにデータがバックアップされているかを、現在の職員が把握できるようにした。「“転ばぬ先の杖”という言葉があります。何かあってからでは遅いと考え、あらゆる事態に対応できるよう準備しておこうと考えました」(高橋専務理事)

データがすべて消えてしまうことはなくても、ふだんから使っていたアイコンが消えてしまうような小さなトラブルは実際に起こっていた。パソコンを使う業務が増えていく中で、誰もがパソコンやソフトに関する知識をしっかりと備え、アップデートすることは難しい。そこで頼ったのが、システム会社によるサポートサービスだ。「導入してから何度か問い合わせを行いましたが、いつも親切で丁寧な対応をしてもらって、データの復元も電源に関する問題も、すぐに解決できました」(高橋専務理事)。料金も定額となったため、相談のたびに費用がかかるといった不安を抱かず、何度でも相談でできるようになって安心感が高まった。

サポートサービスに入ってシステムのトラブルをいつでも相談して改善、パソコンも新しくして作業効率を高めた

組合員関連の重要データのバックアップ二重化とデータ保存手順の標準化 更にサポートサービス契約で、安心の運営体制へ 群馬県バス事業協同組合(群馬県)
パソコンに向かって作業する高橋千明専務理事

パソコンそのものも新しいものに入れ替えた。「利用し始めた当時は最新型でも、何年か経つうちに動作速度が遅くなって、使っている職員がストレスを感じるようになります。入れ替えたことで目に見えて動作速度が速くなって、気持ちよく作業できるようになりました」(高橋専務理事)。事務所を移転するタイミングで、複合機も新しいものに入れ替えた。事務所に届くFAXをパソコンから確認し、必要なものだけプリントするようになったことで、無駄な紙の使用も減らせた。

今後の課題としては、セキュリティ面をどのように強化していくかを挙げる。「NASに事務所の外からアクセスしてデータを見るような使い方はしていませんが、ファイアウォールを構築して、外部からの侵入を防ぐような対応が必要かもしれません」(高橋専務理事)。バックアップ体制の二重化とサポート体制の強化も、万が一ウイルスが発生してしまった場合のデータ保全を考えてのこと。その上で何ができるかを検討していく。

物理的な対策も課題となっている。厳重に警備はされているが、外部からの侵入によってデータを持ち去られるような事態が起こらないよう気を配る。一方で、火災や自然災害が発生した際に、データをどのように守るかも考えておく。この点、高橋専務理事は長く群馬県警に警察官として奉職し、県警本部の交通部長や刑事部長を歴任した、事件や事故に関するプロ中のプロだ。そうした経験を踏まえて、安心して仕事を続けていける体制の構築に取り組んでいく。

コロナ禍で影響を受けた群馬県のバス事業 インバウンド効果で持ち直し群馬県バス事業協同組合の役割も高まる

組合員関連の重要データのバックアップ二重化とデータ保存手順の標準化 更にサポートサービス契約で、安心の運営体制へ 群馬県バス事業協同組合(群馬県)
群馬県バス事業協同組合の事務所

バス事業は新型コロナウイルス感染症の流行時、観光需要が大きく減って全国的にダメージを受けた。群馬県のバス会社も同様で、2020年度には群馬県バス事業協同組合の収入や高速料金後収納、燃料の共同購入も激減した。「燃料の方は、円安による値上がりもあってコロナ前の金額を超えましたが、高速料金の方はまだコロナ前に戻っていません」(高橋専務理事)。そうした状況ながら、インバウンド需要が徐々に増え始めていて、高速バスや貸切バスの利用拡大への期待が持てる。

一方で、ドライバー不足の問題が浮上して、車両はあっても運転する人がいない状況が全国的に取り沙汰されている。バス会社も個々に規模を調整していく状況にあって、伸びが期待できるバス需要をカバーできないケースも想定される。こうしたことから群馬県バス事業協同組合では、群馬県や各自治体が主催するイベントの輸送を窓口となって引き受け、加盟各社にバスを出してもらうような業務も行って、バス会社の経営を支えている。

「2024年1月1日に発生した能登半島地震では、県内から被災地に援助隊を乗せていく仕事を受注しました」(高橋専務理事)。大小様々なバス会社のハブとなってそれぞれの事業を支え、群馬県におけるバス輸送をサポートしている組合の役割には大きなものがある。群馬県バス協会の方では8月9日、群馬県と協力して、マスコットキャラクターの「ぐんまちゃん」が描かれたナンバープレートを付けた路線バスを高崎市内などに走らせる取り組みを発表し、群馬のバスに興味を持ってもらおうとしている。そうした業界全体の取り組みによって増えていくバス需要を支え、さらに伸ばしていくための安全で安心できる体制を維持・発展させていく。

組合員関連の重要データのバックアップ二重化とデータ保存手順の標準化 更にサポートサービス契約で、安心の運営体制へ 群馬県バス事業協同組合(群馬県)
群馬県バス事業協同組合が入居する群馬県交通運輸会館

企業概要

会社名群馬県バス事業協同組合
住所群馬県前橋市野中町322番地1 群馬県交通運輸会館内
電話027-289-8162
設立1997年8月26日
従業員数3人
事業内容  バス事業に関連する共同購買事業、高速道路通行料金後納事業、旅客輸送共同受注事業、各種講習会の開催