東京都は、「チルドレンファースト」の社会の実現に向けて、子どもを大切にする気運を一層高めるため、企業・NPO・学校・区市町村など幅広い主体と連携しながら、官民が一体となって、子どもの笑顔につながるさまざまなアクションを展開する「こどもスマイルムーブメント」を推進している。この取り組みの一環として、同ムーブメントのアンバサダーを務めるポップスピアニストのハラミちゃん、宇宙飛行士の野口聡一氏、こどもアンバサダーの村山輝星さんが登壇するステージイベント「こどもスマイルムーブメント スペシャルトークセッション」を9月16日に開催した。
東京都では、今年7月に「こどもスマイルムーブメント」アンバサダーのハラミちゃんが講師の「みんなで音を楽しもう♪スマイル演奏会」、野口氏が講師の「ペーパークラフトで学ぶ!宇宙へのはじめの一歩」の体験型ワークショップを開催した。今回のステージイベントでは、このワークショップに参加した子どもたちが、特別な体験で得た学びや気づきを基に、各界の第一線で活躍するアンバサダーと対話する姿を通じて、「子どもを大切にする」というメッセージを社会に発信した。
イベントの開催にあたり、東京都知事の小池百合子氏がビデオメッセージで挨拶。「東京都は、『チルドレンファースト』の実現に向けてさまざまな政策に取り組んでいる。その一つが『こどもスマイルムーブメント』で、社会全体で子どもを大切にすることをコンセプトにして、今年で3年目を迎えた。現在では、立ち上げ当初の2倍以上、1830を超える企業、団体が参画しており、ムーブメントが着実に広がっていると感じている。今回のイベントでは、『こどもスマイルムーブメント』のアンバサダーと子どもたちが発信するメッセージにぜひ注目してほしい。そして、みんなが一緒になって子どもを大切にする東京を育てていってほしい」と述べていた。
第1部では、まず、ワークショップ「みんなで音を楽しもう♪スマイル演奏会」に参加した子どもたちが、ワークショップで学んだことを活かしながら、ハラミちゃんのピアノに合わせた演奏を披露した。無事に演奏を終えた子どもたちは、「普段はギターをやっているが、今日はハンドベルで1番最初の音だったのでとても緊張したけど楽しかった」、「前回のワークショップで笑顔で演奏するといいと教えてもらったので、普段から口角を上げるように意識している。演奏会はすごく緊張したが、いつもと違う環境に挑戦する大切さやワクワクを感じることができてよかった」と感想を話していた。
ハラミちゃんは、「前回のワークショップから、子どもたちがすごく成長しているのを感じた。たくさんの観客がいる中でもみんな目がキラキラしていて、落ち着いて演奏しているのが印象的だった。私としてもすごく頼もしかった」と、子どもたちの演奏を大絶賛。「今の私が同じように成長するのは難しいと思うので、子どもの頃に新しいことに取り組んだり、いろいろなものを吸収するのは本当に重要なことだと教えてもらった。これからの子どもたちの未来が楽しみになった」と、さらなる成長に期待を寄せていた。
次に、ワークショップ「ペーパークラフトで学ぶ!宇宙へのはじめの一歩」に参加した子どもたちと野口氏が登壇。ワークショップの内容について野口氏は、「前回のワークショップでは、子どもたちと一緒にH3ロケットの最新型モデルのペーパークラフトを作った。このペーパークラフトは、細かいパーツに分かれていて組み立てるのが結構大変なので、子どもたちにはいい勉強になったと思う」と、ロケットについて学びながらペーパークラフトを作ったという。ワークショップに参加した感想を子どもたちに聞くと、「グループで話し合い、協力しながらロケットを作ることができた。ワークショップを通じて、もっと宇宙に興味を持つようになった」、「周りの人と話すのが苦手で緊張していたが、ワークショップでは話す機会が多くて、みんなで助け合いながら楽しく作ることができた」と笑顔を見せていた。
子どもから野口氏への質問コーナーでは、「宇宙から帰ってきた後、体が慣れるまでどのくらい時間がかかるのか」という質問に野口氏は、「宇宙に長くいると、体が無重力に慣れてしまう。例えば、筋肉が弱くなったり、骨がもろくなったりする。そのため、地球に戻ってきたら、リハビリの時間をしっかりとるようにしている。最初はまっすぐ歩くのも大変だが、3日間ぐらいでバランス感覚が戻ってくる。筋肉は1ヵ月ぐらいで回復するが、最近では宇宙にいる時でも運動をして、栄養のあるものを食べるようにして、筋肉や骨が弱くならないように工夫している」と教えてくれた。
第2部では、「こどもスマイルムーブメント」アンバサダーのハラミちゃん、野口氏、こどもアンバサダーの村山さんによるトークセッションが行われた。これまでのアンバサダーの活動についてハラミちゃんは、「前回のワークショップでは、初めて演奏する子どももたくさんいたのだが、みんな弱音も吐かずに、真摯に楽譜と向き合ってひたすら練習をしている姿に胸を打たれた。大人になると言い訳をしてしまいがちだが、こうした姿勢は見習わなければいけないと思った」とのこと。
野口氏は、「『こどもスマイルムーブント』に参加して2年目に入るが、継続的にこの活動が続いていくことに期待している。特にワークショップや今回のようなステージイベントは、子どもを中心に家族3世代が集まるきっかけにもなるので、世代を超えて子どもたちをスマイルにするという目的が果たされていると感じた」と、「チルドレンファースト」の実現に向けて着実に成果を上げていると胸を張っていた。
村山さんは、子ども世代の視点から、「大きくなったら医者になりたい、パン屋になりたいなど、小さい頃からの夢を育てつつ、これからの自分にどんなことができるのかという可能性を探ることができる、本当にいい取り組みだと感じている。子どもたちの将来のために、『こどもスマイルムーブメント』の活動をもっと広げていきたい」と目を輝かせていた。
最後に子どもたちに向けてハラミちゃんは、「子どもの頃は、種をまく時期だと思っている。いろいろなことを経験すると、それが将来大きな花を咲かすことにつながる。子どもたちには、種を蒔くことを意識して1日1日を過ごしてほしい」とコメント。野口氏は、「子ども時代は、自分がやってみたいことに躊躇なく挑戦できるとても幸せな時期。大人たちがちゃんと見守っているので、自由に行きたい方向に突き進んでいってほしい」とメッセージを送ってくれた。村山さんは、子どもをとりまく大人世代に向けて、「最近は子どもの貧困に関するニュースをよく目にする。子どもが安心して暮らせる社会の上にこそ、スマイルが生まれると思うので、子どもたちの意見にしっかり耳を傾けてほしい」と訴えた。
東京都=https://www.metro.tokyo.lg.jp/
こどもスマイルムーブメント公式サイト=https://kodomo-smile.metro.tokyo.lg.jp/