本記事はこんな方におすすめ
・ブロックチェーンとは何か知りたい ・ブロックチェーンを取り入れると何ができるのか知りたい ・ビジネスで実際に使用されている事例を知りたい |
ビジネスに取り組む上で、データ活用の難しさや業務プロセスの非効率性といった課題に直面している企業も多いのではないでしょうか。
そんなITにおける課題を解決する技術の1つとして注目を集めているのが、ブロックチェーンを使用した技術です。すでに金融やゲーム、アートなど、多数の業界でブロックチェーンの活用が進んでおり、新たなビジネスチャンスが生まれています。
本記事では、ブロックチェーンの活用事例を詳しく解説し、ビジネスにおけるメリットや将来性を紹介します。
また、株式会社アーリーワークスからは、ブロックチェーンのビジネス活用事例をまとめた資料が公開されています。興味のある方はぜひ資料も合わせてご覧ください。
目次
ブロックチェーンとは|ビジネスでの活用が増える新技術
ブロックチェーンとは、データをまとめた「ブロック」を「鎖(チェーン)」のように繋げていく仕組みです。特定のサーバーや中央管理者に依存せず、複数のコンピュータでデータを共有・管理して、高い透明性と改ざん耐性を実現します。
データは取引ごとに「ブロック」という単位でまとめられ、各ブロックには前のブロックに関する情報(ハッシュ値)も含まれます。このブロックが連続してつながることでチェーン状になり、過去のデータを常に参照できる形を担保しながら、改ざんが困難な仕組みを実現しているのです。
現在、ブロックチェーン技術をビジネスに活用する企業が続々と増えており、特に以下のような暗号資産の分野で活用されています。
・DeFi
・NFT
・DApps
ブロックチェーンの特性により、ビジネスプロセスの効率化やコスト削減、新たな価値創造が可能です。
ブロックチェーンのビジネス活用メリット
ブロックチェーンをビジネスで活用するメリットは、以下の3つです。
・取引の透明性の向上 ・今まで活用されずにいたデータの資産価値の創出 ・業務プロセスの効率化によるコスト削減 |
ブロックチェーンは上手く活用できると、大幅に業務改善できる可能性があります。上記のようなメリットを理解し、自社のビジネスに活用できるか検討してみましょう。
取引の透明性の向上
ブロックチェーンのメリットは、取引の透明性を大幅に向上させることです。一般的なブロックチェーンの特性として、一度記録されたデータは半永久的に保存され続ける上に、誰もが過去の取引記録を閲覧できます。
例として、サプライチェーン管理にて、原材料の調達から製品の配送までブロックチェーンに記録していれば、偽造品の流通防止や、食品安全性の確保などに役立ちます。
取引の透明性を向上させることは、企業間における信頼関係の構築にも貢献し、ビジネスプロセス全体の効率化につながるでしょう。
今まで活用されずにいたデータの資産価値の創出
ブロックチェーン技術を利用すると、活用されずにいたデータに新たな価値を生み出せます。
ブロックチェーンでは、一度記録されたデータの改ざんが非常に難しくなるため、データ自体の信頼性が飛躍的に向上します。データの信頼性を担保できると、データ自体を取引可能な資産として扱うことが可能となり、新たな価値が生まれるのです。
たとえば、デジタルアートや音楽ファイルは、ブロックチェーン上でNFTとして発行されることで、データに唯一性や希少性が付与され、個人間あるいは企業間で売買できるようになります。
活用されずにいたデータに資産価値が付けられることは、ビジネスにおいて大きなメリットになるでしょう。
業務プロセスの効率化によるコスト削減
業務プロセスの効率化によるコスト削減が期待できる点も、ブロックチェーンを活用するメリットです。
ブロックチェーンを利用すると、「スマートコントラクト」という契約を自動的に実行する仕組みを実装できます。契約内容と契約の実行条件をあらかじめ登録しておくことで、間に人が入ることなく契約を実行できるのです。
スマートコントラクトを活用することで、契約の自動執行や、複雑な取引プロセスの簡素化が実現し、人的ミスの減少や業務効率の向上につながります。
ブロックチェーンを活用するビジネス業界5選
ブロックチェーンを活用する主なビジネス業界として、以下の5つをご紹介します。
・金融 ・ゲーム ・不動産 ・教育 ・アート |
業界別にそれぞれ詳しく解説します。
金融
金融業界は、ブロックチェーン技術の活用が進んでいる分野の1つです。従来の金融システムが抱えていた多くの課題を解決するだけでなく、暗号資産になくてはならない技術となりました。
送金の分野では、Stellarブロックチェーンという個人間の送金や国際送金における問題の解決を目的としたブロックチェーンも開発されています。処理が速く手数料も安く設定されているため、送金に適したブロックチェーンといえるでしょう。
さらに、証券取引の分野でもブロックチェーンを用いた取引ができないか検討が進められるなど、積極的にブロックチェーンの活用が進められています。
ゲーム
ゲーム業界では、ブロックチェーン技術を活用した新しいビジネスモデルが生まれています。特に注目されているのが、NFTゲームと呼ばれる新しいジャンルです。
ゲーム内のアイテムやキャラクターがNFT(非代替性トークン)として発行され、マーケットプレイスを通じて世界中の人と売買できることが大きな特徴です。
さらに、Play to Earnと呼ばれるゲームをプレイするだけで暗号資産を稼げるゲームも登場しました。ゲーム内経済との連携により、新たな収益モデルが生まれています。
不動産
不動産業界でも、ブロックチェーン技術の活用が進んでいます。
スマートコントラクトを活用することで、契約書の作成や登記手続きなどの煩雑な作業を自動化できると注目されています。
さらに、不動産における所有権の一部をトークン化する「不動産セキュリティトークン」も登場しており、少額から不動産投資に参加できるようになりました。
ブロックチェーンを通じた取り組みにより、不動産取引の敷居が下がり、市場の活性化につながることが期待されています。
教育
教育分野においては、学歴や資格の証明書のデジタル化と管理などでブロックチェーンが活用されています。
ブロックチェーンを用いることで、改ざんが困難な形で学位や資格の情報を記録し、簡単に第三者への証明が可能です。
実際に、ビジネスブレークスルー社が運営する大前経営塾の卒業生に、卒業証書をブロックチェーン上で発行している事例も公開されています。
さらに、生涯学習開発財団もブロックチェーン利用した電子認定証の発行を開始しました。
上記の取り組みにより、教育のグローバル化や学歴・経歴詐称のトラブル防止、個人の学習意欲の向上などといった効果を期待できるでしょう。
アート
アート業界では、ブロックチェーン技術を活用したNFTが注目を集めています。
NFTを用いることで、デジタルアート作品に唯一無二の価値を付与し、所有アドレスや取引履歴を明確にできます。
有名アーティストのデジタルアート作品がNFTとして高額で取引されるなど、新たな市場が形成されました。さらに、音楽業界でも楽曲や音源の権利をNFTとして発行する取り組みが始まっており、アーティストが直接ファンに作品を提供する形態も生まれています。
クリエイターやアーティストの新たな収益源の創出として、ブロックチェーンに期待が寄せられています。
ブロックチェーンのビジネス活用事例集
ここでは、ブロックチェーンのビジネス活用における具体的な事例をご紹介します。
・リユースブランド品の真贋チェック ・分散型IDを活用した履歴書サービス ・退職しても継続して使うことができる福利厚生サービス ・ブロックチェーンを活用した中古車CtoCマーケットプレイス ・インバウンド需要を取り込むファストパスNFT |
ブロックチェーンの特性を活かした新たな仕組みとして注目を集めています。今回ご紹介する事例を元に、自社サービスの参考にしてみてはいかがでしょうか。
リユースブランド品の真贋チェック
ブロックチェーン技術を活用した、リユースブランド品の真贋チェックシステムを構築した事例を紹介します。
背景として、ブランド品の偽造被害の増加を受け、真贋チェックシステムのセキュリティ強化に伴うコストが増えていました。
これに対して、NFCタグを埋め込み、ブロックチェーン上に改ざんされないデータとして登録・管理することで、商品を追跡できるようになりました。開封検知機能を持つケースと合わせることで、商品の真贋情報と流通情報を管理できる仕組みを実現しています。
リユース市場における取引の透明性が向上し、中古品の価値評価がより正確になることが期待されています。
分散型IDを活用した履歴書サービス
ブロックチェーンの特性を活かした分散型IDを用いた新しい履歴書サービスも登場しています。
複数の転職支援サービスを持つ企業にて、ユーザーの情報が重複しており、データの整合性がないという課題がありました。しかし、自身のデータを「DID」と呼ばれるブロックチェーンを使用した、個人情報を必要な範囲で共有できるIDの仕組みを利用すると、サービス間でユーザーの情報共有が可能になります。
改ざんできないデータとして信頼性も高まるため、転職や就職活動で簡単に自身のキャリア情報を提示できるようになります。企業側も応募者の経歴を効率的に確認できるため、採用プロセスの効率化にもつながりました。
退職しても継続して使える福利厚生サービス
ブロックチェーンを活用することで、退職後も継続して利用できる新しい形の福利厚生サービスが生まれています。
従来の福利厚生は、多くの場合、転職・退職と同時に利用できなくなることがほとんどでした。しかし、NFTを発行して福利厚生の権利を付与することで、転職・退職しても福利厚生で受け取ったクーポンNFTを保持し続けられます。
そのため、従業員の長期的なロイヤリティ向上や、企業グループ全体での人材流動性の促進が期待されています。
ブロックチェーンを活用した中古車CtoCマーケットプレイス
ブロックチェーン技術を用いた、車の査定及び売買認証システムも登場しています。
ネット上の掲示板経由で取引をするCtoC中古車販売市場において、買い取りした車が販売されるまでに多くの仲介業者を経由する必要があります。そのため、価格の妥当性や安全性を担保できないという課題があり、透明性と妥当性の高い仕組みの構築が課題となっていました。
課題に対して、ブロックチェーンを用いたシステムが構築されたことで、以下の仕組みが実現しました。
・改ざんされない中古車情報を登録できる ・売り手はシステムに車を登録し、自由に売却希望額を提示できる ・買い手は透明性の高い台帳を閲覧し、車の購入を検討できる ・スマートコントラクトにより、取引にかかるコストを削減できる |
個人間(CtoC)取引においても透明性が担保されるため、従来の中古車市場の課題であった情報の非対称性が解消されつつあります。
インバウンド需要を取り込むファストパスNFT
インバウンド需要を取り込むため、一部の飲食店ではブロックチェーンを活用したNFT型のファストパスサービスが導入されています。
近年、観光ビザの緩和や円安の影響などによるインバウンド需要が増えているものの、待ち時間の長さと予約システムの不足が課題となっていました。
しかし、ファストパスNFTを発行して即座に入店できる権利を付与したことにより、以下の効果を生み出すことに成功しています。
・事業者はNFT発行料金で収益を得られる ・観光客は行列のある店舗でも即座に入店できる ・NFTには販売・譲渡できる価値を付けられる ・NFT利用者にクーポンNFTを送付するなど、マーケティングに利用できる |
事業者は新たな収益源を確保でき、観光客側も柔軟なチケット利用が可能になるなど、双方にメリットがある仕組みとして注目されています。
ブロックチェーンの市場規模と将来性
ブロックチェーン技術の市場規模は急速に拡大しており、ブロックチェーン市場は今後も急成長を続けると見込まれています。
経済産業省が公表している「平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査)」によると、ブロックチェーン活用が見込まれる分野の市場規模の合計は67兆円になると試算されていました。
さらに、株式会社GlobalInfomationの「ブロックチェーンの世界市場レポート 2024」によると、ブロックチェーンの市場規模は、2028年には53.1%の年間複合成長率(CAGR)で1,611億4,000万米ドルに成長すると予想されています。
各調査データから、ブロックチェーン技術は今後も成長が見込まれる有望な分野であり、多くの企業が積極的に投資を行っています。ビジネスにおける活用事例も着実に増えており、今後も新たなサービスやビジネスモデルが生まれるでしょう。
ブロックチェーンのビジネス活用事例まとめ
本記事では、ブロックチェーン技術のビジネス活用事例について、幅広い観点から解説しました。
ブロックチェーンは、取引の透明性向上やデータの価値創出、業務効率化といった多くのメリットを生み出しています。リユースブランド品の真贋チェックなど、従来のビジネスモデルから変化した新しいサービスも生まれました。
ブロックチェーン技術は、ビジネスに新たな可能性をもたらす重要な要素となっており、今後のさらなる発展が期待されます。自社のビジネスに適した活用方法を検討し、積極的にブロックチェーンの導入を検討していきましょう。
なお、株式会社アーリーワークスからは、ブロックチェーンビジネスの事例をまとめた資料が公開されています。ここで紹介していない事例もたくさん掲載されておりますので、興味のある方は下記フォームよりぜひご覧になってみてください。