目次
- 高性能の木造住宅を専門に手掛ける工務店 SDGsの取り組みを積極的に進める
- 地域の豊かな暮らしを育むために建設業の枠を超えて多彩な新規事業に取り組む
- 2022年3月、素材にこだわったベーカリー、「ラトリエ・ドゥ・アッシュ」を北九州市小倉北区に開業
- 地域の人が安心して集える場所として「子ども食堂」を本社内のショールームで開設
- NPO法人を設立して支え合う地域コミュニティーの輪を広げる
- 障がい者の就労支援事業にも取り組む 建築、IT、食品、農業の4分野で、利用者の可能性を広げる様々な仕事を紹介 デジタル関連の様々な技術の指導も
- クラウド型の受領請求書管理システムと証憑電子保存システムを導入し、従業員の負担軽減と障がい者の参加を可能にした
- 情報発信にホームページやSNSを積極的に活用 生成AIの活用にも関心を示す
福岡県北九州市を地盤に住宅事業を手掛けるハゼモト建設株式会社は、これまで培った地域とのネットワークを基に障がい者支援、地域コミュニティーの形成、ベーカリーの経営といった多彩な事業を展開している。新たな取り組みに挑戦する背景には、事業を通じて地域の人々の生活を豊かにしたいという思いがある。約60年にわたって取り組んできた建設業だけでなく、各事業でもデジタル技術を積極的に活用し、携わっている人たちの可能性を広げている。(TOP写真:NPO法人「未来への扉 アッシュ」で企画した親子農業体験に参加したメンバー)
ハゼモト建設の建築事業の取り組みについては、ハゼモト建設-1を参照ください。
高性能の木造住宅を専門に手掛ける工務店 SDGsの取り組みを積極的に進める
ハゼモト建設は、1965年の設立以来、住宅事業と公共工事で実績を積み、高性能の木造住宅を専門に手掛ける工務店に進化していった。国連の持続可能な開発目標、SDGsの取り組みを積極的に進め、子育て家族の応援、顧客との末永いつながり、環境への配慮を具体的な行動目標として掲げている。
地域の豊かな暮らしを育むために建設業の枠を超えて多彩な新規事業に取り組む
ハゼモト建設は数年前から、地域の豊かな暮らしを育むことをコンセプトに建設業の枠を超えた新しい事業に積極的に取り組んでいる。「家族の健康を守り、暮らしを豊かにする住宅をお客様に提供したいという思いを大事にしながら、事業に取り組んできました。これまで住宅事業で培ってきた知識、技術、ネットワークをほかの事業にも応用することで、未来を見据えた新しい動きを地域で生み出していきたいと考えています」と櫨本健一代表取締役は話した。
2022年3月、素材にこだわったベーカリー、「ラトリエ・ドゥ・アッシュ」を北九州市小倉北区に開業
2022年3月には、食に対する新しい提案を行いたいと考え、天然酵母や国産小麦粉などの使用にこだわったベーカリー、「ラトリエ・ドゥ・アッシュ」を北九州市小倉北区に開業した。「美味しいパンを作るだけでなく、お客様のニーズに合わせたパンを提供することを心掛けています。食物アレルギーを持つお客様にも対応できるよう、グルテンフリーや乳製品不使用のパンも提供しています」と櫨本社長。
地域の人が安心して集える場所として「子ども食堂」を本社内のショールームで開設
ハゼモト建設は、子育て世帯の支援にも力を入れている。2022年11月からの取り組みとして毎月第4火曜日、北九州市小倉北区内の本社にあるショールームを会場に、支援が必要な人に食事を提供する子ども食堂を開設している。地域の子どもの「孤食」を防止するだけでなく、子育て世帯同士がコミュニケーションを取りながら安心して過ごすことができる場所として活用してもらっている。
「人と人とのつながりの希薄化は現代社会が抱える大きな問題の一つです。地域に育てていただいた企業として誰一人取り残さない社会を作っていく上で、少しでもお役に立てればという思いで子ども食堂を運営しています」と櫨本社長は話した。子ども食堂では「ラトリエ・ドゥ・アッシュ」で作った無添加パンや栄養価の高い食事を提供している。運営には会社の従業員や地域の人たちが協力してくれているという。
NPO法人を設立して支え合う地域コミュニティーの輪を広げる
子ども食堂の運営をきっかけに、地域コミュニティーを育てる取り組みの輪が広がり、ハゼモト建設は2023年6月、NPO法人「未来への扉 アッシュ」を設立した。「未来への扉 アッシュ」では子ども食堂の運営をはじめ、子どもたちへの学習支援、自然体験や農業体験のイベントの企画、障がい者の就労支援、障がい者の生活環境整備など多彩な活動に取り組んでいる。子ども食堂を通じた栄養面でのサポートだけでなく、教育やメンタル面でもサポートすることで、利用者の将来の可能性を広げていきたいという。
障がい者の就労支援事業にも取り組む 建築、IT、食品、農業の4分野で、利用者の可能性を広げる様々な仕事を紹介 デジタル関連の様々な技術の指導も
NPO法人の取り組みと連動して2024年1月には、本社ビル1階で、障がいや持病を抱えた人が自らの障がいや症状にあわせて就労訓練に取り組むことができる就労継続支援B型事業所「未来のとびら」を開設した。これまでの事業で培ってきた経営資源やネットワークを活用し、建築、IT、食品、農業の四つの分野で、利用者に、軽作業、建築現場での作業、パンの製造やパッケージング、地域の農産物を販売するイベントの運営、農作業、チラシのポスティングといった多種多様な仕事を紹介している。
利用者に、デジタル関連の様々な技術の指導を行っているのも「未来のとびら」の大きな特色だ。その内容はパソコンの基本的な操作から、ビジネスチャットをはじめとする様々なツールの活用方法、Webデザイン、オンライン販売のノウハウ、SNS運用まで幅広い。利用者はハゼモト建設の従業員らのサポートを受けながら、将来、幅広い業務に従事する上で役に立つ様々な技能を学んでいる。
CADシステムを使った簡単な設計や図面化の仕事にも携わってもらっている。CADを使った設計や図面化の技術を習得してもらうことで、地元の建設業界を支える人材を増やすことにもつなげていきたいという。「未来のとびらでは、自然と会話が弾むような居心地の良さを大事に、利用者の皆さんが個性を活かして能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。デジタル社会でニーズが高い仕事に携わることができる能力を身につけてもらうことで、利用者の皆さんの可能性を広げていきたい」と櫨本社長は話した。
クラウド型の受領請求書管理システムと証憑電子保存システムを導入し、従業員の負担軽減と障がい者の参加を可能にした
ハゼモト建設は業務をアナログからデジタルに転換することで従業員が働きやすい環境を作ることを重視している。従業員の負担を増やすことなくインボイス制度の導入や電子帳簿保存法の改正といった新しい動きに対応するために、クラウド型の受領請求書管理システムと証憑電子保存システムを2023年12月に導入した。
受領請求書管理システムは、証憑電子保存システムと連携することで、取引先から送られてきた紙の請求書を複合機のスキャン機能などを通じて簡単に文字データ化し、クラウドストレージで一元保存する機能を備えている。改正電子帳簿保存法に則って保存したデータには、オンラインでいつでもどこからでもアクセスすることが可能だ。
データ化した情報は、CSVファイルで出力することによって会計システムで活用できるので会計作業の大幅な効率化につながっている。会計システムへの入力作業が必要なくなり、以前ほど手間がかからなくなったことから、現在は「未来のとびら」に紙の請求書をデータ化する作業を委託しているという。業務を簡略化するクラウド型の受領請求書管理システムと証憑電子保存システムは、障がい者が従事する仕事の種類を増やすことにも貢献している。
情報発信にホームページやSNSを積極的に活用 生成AIの活用にも関心を示す
ハゼモト建設は、情報発信にホームページやSNSを積極的に活用している。ホームページの評価を上げるためのSEO(検索エンジン最適化)対策に力を入れ、家づくりについてのコラムやブログなどの情報更新を頻繁に行っている。文章や画像などを自動で作り出す生成AIの活用にも関心を持っており、「未来のとびら」で請け負う業務に導入することを検討している。「デジタル技術が人間のポテンシャルを拡大することを実感しています。デジタル技術を活用することで障がい者と健常者の壁をなくし、一人ひとりの個性に合わせて取り組むことができる仕事の種類を増やしていきたい」と櫨本社長は明るい口調で話した。
人々の生活と密接につながった住宅や食、障がい者支援、地域コミュニティーの形成といった幅広い事業に取り組み、相乗効果を生み出しているハゼモト建設。デジタル技術の進化に併せて未来を見据えた取り組みは着実に実を結んでいくはずだ。
企業概要
会社名 | ハゼモト建設株式会社 |
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本社 | 福岡県北九州市小倉北区片野4-12-10 |
HP | https://hazemoto-k.co.jp |
電話 | 093-931-0521 |
設立 | 1965年12月 |
従業員数 | 22人 |
事業内容 | 木造住宅事業、木造非住宅事業、子ども食堂運営、ベーカリーショップ運営、就労支援事業 |