中小企業経営者必見!ChatGPTで業務効率化を実現。プロンプトの具体例も。

目次

  1. ChatGPTとは
  2. ChatGPTの種類
  3. ChatGPTの基本的な利用方法
  4. ChatGPTでできること
  5. ChatGPTの利用で中小企業が得られるメリット
  6. ChatGPTのデメリットと注意点
  7. ChatGPTを使いこなすプロンプトのコツ
  8. ExcelやPowerPointなどOfficeアプリから利用できるAI「Copilot for Microsoft 365」
  9. まとめ

ChatGPTをはじめとした生成AIが普及し、企業内でも様々な場面で活用が進んでいます。しかし、中小企業経営者の中には「なんだか難しそう」「利用の効果がわからない」など、自社にとっては疎遠なものと感じている方も少なくないようです。
この記事では、ChatGPTが中小企業の経営にどのように役立つのか、その具体的な活用方法やメリット、そして利用時の注意点について詳しく解説します。
ChatGPTをうまく活用することで、業務の効率化やコスト削減、さらには新しいビジネスチャンスの発見も可能かもしれません。

ChatGPTとは

ChatGPTは、アメリカのOpenAIが開発した生成AI(Generative AI)の一種です。 生成AIとは、学習したデータをもとに、文章や翻訳文、画像、プログラムなどを創出できる人工知能です。
ChatGPTは、「チャット」という名前の通り、自然な対話形式でユーザーの質問やリクエストに答えて、様々なコンテンツを生成してくれます。
同種の生成AIには多くの製品がありますが、ChatGPTは、その高い生成精度や使いやすさによって、様々な業務や課題に対応できるツールとして注目されているのです。

なぜ中小企業でChatGPTが注目されるのか

ChatGPTは、無料もしくは低額で利用できます。基本的な利用方法も簡単であるため、利用に際して、特別な導入コストもかかりません。それでいて、誰でも高度なAIが活用できることから、中小企業でも業務効率化やコスト削減の手段として注目されているのです。

ChatGPTの種類

現在、ChatGPTは、複数のバーションが利用可能です。また、個人向けの無料と有料、法人向けなど、サービス種別も設けられています。

ChatGPTのバージョン

ChatGPTには、いくつかのバージョンが存在しますが、従来、主に使用されていたのは、「GPT-3.5」「GPT-4」「GPT-4o」でした。
先に公表されたのがGPT-3.5で、GPT-4はさらに改良され、より複雑なタスクに対応できるようになっています。さらに最近、「GPT-4o mini」という最新モデルが公表されました。これは、「GPT-4o」を小規模にした廉価版の位置づけです。
GPT-4o miniの登場により、GPT-3.5は廃止となりました。
「GPT-4o」の「o」は、Omnimodel(全方位モデル)の略で、テキスト以外の音声、画像、動画なども処理できます。

ChatGPTの利用料金プランの種類

OpenAIが提供しているChatGPTの利用プランは、「Free(無料)」「ChatGPT Plus(有料)」「ChatGPT Team(有料)」「Enterprise(企業向け有料)」の4種類にわかれます。

Free

OpenAIのWebサイトにアクセスすれば、無料でChatGPTを利用できます。ただし、画像が生成できない、最新情報をWebサイトから収集するWebブラウジングの機能が利用できない、過去の生成結果が記録されないなどの制限があります。

Plus

GPT-4、GPT-4o、GPT-4o miniが、利用できます。また最新情報をWebサイトから収集するWebブラウジング、「DALL·E」というツールによる画像の生成、過去の生成結果の保存なども利用できます。ただし、GPT-4の利用回数には制限があります。利用料金は月額20ドルです。なお、このプランは生成できる回数に制限があります。

Team

小規模な組織でChatGPTを利用するプランです。ChatGPT Plusの機能に加えて、利用回数制限なし、ワークスペースの共有や、AIが利用するトレーニングデータ管理などの機能を持ちます。利用料金は、月30ドル、または年300ドルです。

Enterprise

大規模な企業向けのプランです。ChatGPT Teamの全機能に加えて、長文入力、組織の管理者による制御、優先的にサポートを受けられるといった特徴があります。利用料金は公表されておらず、要問い合わせとなっています。

ChatGPTの技術を用いて、他のITベンダーが提供するサービス

ChatGPTには、OpenAI以外のITベンダーなどから提供されている無料・有料のサービスもあります。
これは、OpenAIが提供しているAPI連携などを利用して、各ベンダーが自社のシステムにChatGPTを組み込んで提供しているものです。
ベンダーによって、独自の機能やインターフェイスを追加して使い勝手を良くしていたり、セキュリティを強化していたり、サポートを充実させているなどの特徴があります。

ChatGPTの基本的な利用方法

ChatGPTのFree版は、公式ウェブサイトにアクセスすれば、誰でもFree版を利用できます。文章が入力できるフィールドに、プロンプト(質問文)を書くだけです。 以前はアカウントを作成してログインする必要がありましたが、現在では、Free版の利用だけなら、ログインは不要になっています。

ChatGPT 公式ウェブサイト

ChatGPTでできること

ChatGPTは、中小企業の業務を多方面でサポートできます。
それでは、アイデア出しからプログラミング、文章校正、データ整理、翻訳まで、具体的な事例を交えて活用方法を紹介します。

文章の要約

ChatGPTは、長い文章を短時間で要約する能力も備えています。
報告書や研究資料、学術論文など、大量の情報を効率よく整理できます。
エビデンスとなる資料を簡潔に要約して、プレゼン資料を作成する際などに、ChatGPTが役立ちます。

文章の校正やブラッシュアップ

ChatGPTは、文章の校正もおこなえます。誤字脱字や文法の誤りがないかをチェックし、さらに、スタイルの改善提案を受けることもでき、より正しくわかりやすい文章作成のサポートになります。
また、単に間違いをチェックする校正だけではなく、文章の使用意図に応じたブラッシュアップをしてもらうことも可能です。
例えば、「若者向けの親しみやすい表現に」とか「固い感じの文章で」といった指示を与えることで、より希望に添った表現を提案してくれます。広告宣伝の説明文などを作成する際にも参考になるでしょう。

データの集計、整理、作表

ChatGPTは、ExcelやGoogleスプレッドシートのデータを整理したり、グラフや表にまとめたりする作業も支援します。
複雑なデータを視覚的に分かりやすく整理できるのです。
サービス業の中小企業では、顧客データの分析や売上データの集計をChatGPTに依頼することで、効率的にレポートを作成し、ビジネスの意思決定に役立つでしょう。
ただし、Free版だけでは、直接グラフの作成はできません。(外部ツールなどと連携させると可能になります)。

翻訳

多言語対応のChatGPTは、外国語の契約書や記事の翻訳もおこなえます。簡単な翻訳であれば、外部の翻訳者に依頼する必要がありません。
貿易業の中小企業では、海外のパートナーとの契約書の翻訳や、海外市場のリサーチにChatGPTを活用することで、業務効率が向上します。また、越境ECなどをおこなう小売業では、Webサイトに掲載する商品説明や顧客へのメールなどを外国語で作成することもできます。

アイデアの創出、深掘り

ChatGPTでは、対話による、いわゆる「壁打ち」のような形でアイデアの着想を得ることや深掘りができます。
例えば、新規事業やプロモーションプランから、社内活性化、人材活用など、あるいは朝礼で話すネタなど、思いついたら何でも聞くことができます。
中小企業の経営者の場合、わからなくても社員に聞くことは憚られるような疑問もあるでしょう。そういった内容でもChatGPTには遠慮なく質問できるのです。

プログラミング

ChatGPTは、プログラミングのサポートも可能です。プログラミングの知識を持たない人が、ChatGPTと対話しながらゲームなどのアプリを開発した事例も出ています。
コードの書き方やバグの修正方法を質問することで、すばやく解決策を得られます。
IT関連の中小企業では、新しいウェブアプリケーションの開発中に、ChatGPTを利用してコードの最適化やエラー解決をおこなうことで、開発スピードが向上します。

その他の活用方法

顧客対応の自動化やマーケティング分析にもChatGPTは役立ちます。
ChatGPTを使ってチャットボットを作成することで、顧客からの問い合わせに迅速に対応することが可能です。また、ソーシャルメディアの投稿や顧客のフィードバックを分析し、マーケティング戦略を改善するための洞察を得ることもできます。
このように、ChatGPTは多岐にわたる業務で活用でき、中小企業の経営課題解決に大いに役立つツールです。
なお、ChatGPTを使用したチャットボットの作成には、有料のAPIキー取得が必要となります。

ChatGPTの利用で中小企業が得られるメリット

ChatGPTは中小企業にとって、経営資源の有効活用と競争力強化のための有力なツールとなり得ます。メリットを具体的に見てみましょう。

コスト削減

すでに述べたように、ChatGPTは、無料または低額で利用できます。
中小企業では、ITツール利用のための予算が限られているため、低コストで高性能なAIツールを活用できることは大きなメリットです。
また、ChatGPTの導入により、外部の専門家やコンサルタントに依頼する業務やその頻度を減らせます。
例えば、簡単なマーケティング戦略の立案や、基本的な法務文書の作成支援、文章の翻訳など、内部で解決できる範囲が広がるのです。いままでは外部の専門家の手を借りていた業務を内部化することで、外注コストの削減が期待できます。

業務の効率化

ChatGPTは、日常のルーチン作業を自動化し、従業員の作業負担を軽減します。例えば、メールの返信文章作成、報告書の作成支援、データ入力の補助などが可能です。こうした負担を軽減することにより、従業員はよりクリエイティブな業務や重要な意思決定に集中できるようになります。

迅速な問題解決

ChatGPTは、リアルタイムで質問に答える能力を持つため、業務中に生じる疑問や問題を迅速に解決することができます。
例えば、法務に関する簡単な質問や、技術的なトラブルシューティングなどに対して即座に回答を得ることができるのです。
小回りのきいた対応やスピードが求められる中小企業においてこそ、業務の停滞を防ぎ、生産性を向上させるために有用な場面は多いでしょう。

専門人材、IT人材不足への対応

ChatGPTにより、書籍を読んで勉強したりしなくても、ある程度専門的な知見を得ることができます。
例えば、法律やマーケティング、技術的な問題についての質問に対して、即座に回答が得られるため、外部の専門家に頼ることなく問題を解決できるケースも増えます。先にも述べましたが、簡単なプログラムなどもChatGPTで作成できます。
専門人材やIT人材が不足していることが多い中小企業にとってこそ、ChatGPTは有用なツールとなります。

ChatGPTのデメリットと注意点

ChatGPTは非常に便利なツールですが、いくつかのデメリットや注意点も存在します。利便性とリスクのバランスを考慮し、適切な管理と運用を心掛けることが求められます。

誤った情報が生成(ハルシネーション)されることがある

ChatGPTは時折「ハルシネーション」と呼ばれる誤った情報を生成することがあります。これは、AIが間違った回答を提供する現象です。
そのため、重要な意思決定をおこなう際には、ChatGPTを活用するとしても、生成された情報は必ず人間が別の方法で確認し、精査することが必要となります。

古い情報が出力されることがある

ChatGPTのデータベースは定期的に更新されますが、最新の情報が常に反映されているわけではありません。
ChatGPTには「Web Browsing」という機能があり、これを使用するとWeb検索で最新の情報を取得することも可能ですが、正しく反映されているとは限りません。
そのため、最新の業界情報やニュースを求める場合には、他の情報源を併用することが推奨されます。

データセキュリティに不安がある

ChatGPTを利用する際に、業務上の機密情報を入力すると、そのデータが外部に漏洩するリスクがあります。
特に、顧客情報や企業の戦略情報など、機密性の高いデータを扱う際には、適切な情報管理とセキュリティ対策を講じることが重要です。

ChatGPTを使いこなすプロンプトのコツ

AIに対して人間が質問や指示をする文章のことを「プロンプト」といいます。
プロンプトの書き方によって、生成される回答結果が大きく変わるため、ChatGPTを効果的に利用するためには、適切なプロンプトを作成することが重要です。

1 具体的に書く

ChatGPTに求める結果を明確に伝えることで、期待する回答を得やすくなります。

【例】

文章の要約を求める場合、「この500文字の文章を200文字に要約してください」と具体的に指示します。具体的な数字や範囲を示すことで、AIはより正確に応答できるのです。

あるいは、「顧客満足度を向上させる方法を教えてください」と尋ねるよりも、「小売業において顧客満足度を向上させる具体的な方法を3つ教えてください」と質問する方が、具体的で実用的な回答が得られます。

2 背景情報を提供する

1と少し似ていますが、質問に関連する背景情報を提供することも効果的です。これにより、ChatGPTはより文脈に沿った回答を生成できます。

【例】

「新製品のマーケティング戦略を立案する際に考慮すべき点を教えてください。新製品が対象とする顧客対象は20代の女性です」といった具合です。
顧客対象が20代の女性ということを前提にした回答が得られます。

3 段階的に質問をおこなう

複雑な問題に関して、一度にすべてを尋ねるのではなく、段階的に質問を進めることで、より詳細で解像度が高い回答が得られます。

【例】

「20代向けのマーケティング戦略の基本を教えてください。」と質問します。それに対して得られた回答に対し、「具体的な広告キャンペーンの例を教えてください」と尋ねるといった具合です。

4 期待する回答を明確に指示する

最後に、明確な期待を示すことも重要です。回答の形式や順序についても指示を出すことで、より望ましい結果を得られます。

【例】

「結論を先に述べ、その後に詳細を説明してください」といった指示を出すことで、回答の構成が明確になり、理解しやすくなるのです。明確な期待を示すことで、回答の精度と有用性が向上します。

ExcelやPowerPointなどOfficeアプリから利用できるAI「Copilot for Microsoft 365」

Microsoftが提供しているCopilot(コパイロット)は、ChatGPTの技術を利用したAIアシスタントです。このCopilotを、「Microsoft 365」と統合した法人向けサービスが、「Copilot for Microsoft 365」です。
多くの中小企業では、WordやExcelなどのMicrosoft オフィスのアプリケーションを利用しているでしょう。現在では、パッケージ版でオフィスを購入するのではなく、クラウドのサブスクリプションで利用できる「Microsoft 365」が主流になっています。 使いなれたOfficeアプリからChatGPTが利用できれば、文書の作成、データ分析、プレゼンテーションの作成など、様々な業務が効率化されます。
なお、Copilot for Microsoft 365を利用するにはサブスクリプション契約が必要です。契約には、Microsoftライセンスが必要になります。

まとめ

今回は、中小企業においてChatGPTを活用するヒントについてご紹介しました。
ChatGPTは、具体的な業務の効率化から新しいアイデアの創出まで、多岐にわたる成果をもたらしてくれます。
無料または低額で利用できる点や、専門知識がなくても高度な知見を得られる点は、中小企業にとって非常に大きなメリットです。
しかし、情報の正確性に留保がつくこと、機密情報を入力すると漏洩の可能性があることなど、利用に際して注意すべき点もあることを覚えておいてください。

(本記事は2024年7月20日時点での情報に基づいて作成しています。)

中小企業経営者必見!ChatGPTで業務効率化を実現。プロンプトの具体例も。
記事執筆
中小企業応援サイト 編集部 (リコージャパン株式会社運営
全国の経営者の方々に向けて、経営のお役立ち情報を発信するメディアサイト。ICT導入事例やコラム、お役立ち資料など「明日から実践できる経営に役立つヒント」をお届けします。新着情報はFacebookにてお知らせいたします。