2018年度のカテーテル&チューブ、IVR製品市場は、前年度比2.4%増の3,783億68百万円
~アブレーション治療関連や高付加価値の診断製品、比較的新しい手技の製品で市場が伸長~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内のカテーテル&チューブ、IVR製品市場の調査を実施し、市場規模推移、診療科目別製品導入動向、製造販売業/販売元シェア、参入各社の販売政策、今後の成長製品などを明らかにした。
カテーテル&チューブ、IVR製品市場推移・予測
1.市場概況
カテーテル&チューブ、IVR製品とは、病院やクリニック、検査センター等で使用される単回使用の医療機器(診断及び治療を目的として使用される医療用デバイス)である。カテーテル&チューブ、IVR製品を含む国内医療機器市場は、近年、診療報酬改定による影響を受けて減少する製品も多いものの、全体では横這いから微増推移を続けている。消費税率の引き上げに伴う2019年10月の診療報酬改定では、実勢価格を踏まえた価格見直しの上で、消費税分を上乗せした特定保険材料費の改定(+0.03%)がなされたが、一部の製品区分によっては大幅に下落した製品もあった。2020年4月に予定されている診療報酬改定でも、全体改定率が▲0.46%相当と決定される中、内訳については診療報酬本体が+0.55%となる一方で、薬価・材料は▲1.01%(薬価▲0.99%、材料▲0.02%)となる方向で審議が進んでいる。
2018年度のカテーテル&チューブ、IVR製品市場(メーカー出荷金額ベース)を、前年度比2.4%増の3,783億68百万円と推計した。高齢化による各疾患の対象患者数は増加する可能性がある中、人口比に対し年間の治療件数が一定水準に達している製品群は、保険償還価格下落の影響を受けることで市場の大きな伸びがない。一方で、新しい治療法やC1に区分される製品は症例数が増え、市場が拡大している。結果として、アブレーション治療関連製品や高付加価値の血管内診断製品、比較的新しい手技の製品の伸長が市場拡大の要因となっている。
2.注目トピック
末梢血管系のカテーテル製品
閉塞性動脈硬化症における治療では、動脈硬化の原因となる高血圧症、高脂血症、糖尿病の治療を行い、そこから薬物療法や運動療法、さらにはバルーン拡張やステント留置等のカテーテル治療、あるいは血管外科におけるバイパス手術による血行再建術が実施される。
近年ではカテーテル技術が発達し、循環器内科での治療施設も増加していることで、血管内手術用カテーテルとしてPTAバルーン拡張、もしくはステントによるインターベンション治療(PPI:Percutaneous Peripheral Intervention)が積極的に行われている。
一方で、症例数が増加してきた浅大腿動脈(SFA)の症例では、冠動脈と比べて再狭窄率が高いため、病変が長く、高頻度に高度石灰化を伴う下肢領域の病変に対しては、ステント留置しない方向性(Leaving nothing behind:血管内に異物[stent]を残さない)が示されたことで、同部位でステントを使用しない治療を選択する症例も増えている。さらに、大腿動脈(SFA、Fem-pop)領域においては、薬剤コーテッドバルーン(DCB:Drug-coated Balloon)が保険償還化されたことで症例数が増加したため、末梢血管用ステントの2018年度の症例数は減少に転じている。但し、2019年度については薬剤コーティングステントの新製品が投入されることで、末梢血管用ステント症例数の回復が見込まれている。
3.将来展望
消費税率引き上げに伴う特定保険材料費の改定や、新しい治療法の症例数の増加などにより、2019年度のカテーテル&チューブ、IVR製品市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比3.6%増の3,918億61百万円になると予測する。