トムソン・ロイター、法務特化型生成AI搭載の新製品「CoCounsel」を日本で初公開、リーガル業務の効率化をアシスト
左から:トムソン・ロイター AI&リーガルテック・リード アジア&新興市場担当のトーマス・チャン氏、同社 プレセールス統括マネージャーの森下馨氏

世界的にコンテンツ及びテクノロジーを提供する企業であるトムソン・ロイターは、日本初開催となる「リーガルサミット 2024」を7月23日に開催した。イベントでは、法律×テクノロジー、メディアやコンプライアンス管理業務に携わり、専門知識を提供するトムソン・ロイターから、日本企業が今知っておくべき「生成AI」「リーガルテック」に関する最新情報を幅広く提供した。また、今回のサミットに合わせてメディア向けラウンドテーブルも開催。今年4月にローンチし、今後日本市場にも導入予定の法務特化型生成AIを搭載した新製品「CoCounsel」について概要を紹介した。

トムソン・ロイター、法務特化型生成AI搭載の新製品「CoCounsel」を日本で初公開、リーガル業務の効率化をアシスト
トムソン・ロイター プレセールス統括マネージャーの森下馨氏

「トムソン・ロイターは、数十年にわたり、独自のコンテンツとテクノロジーを活用し、専門的な情報コンテンツや製品にAIとML(機械学習)を活用してきた」と、トムソン・ロイター プレセールス統括マネージャーの森下馨氏が挨拶。「当社が行う最大の投資は、『信頼への投資』である。AIの領域においても、データやAIの倫理に関する厳格な原則に基づき、AIの設計・開発・導入およびデータの利用における信頼性を促進、確保し、ユーザーが期待する正確性と安全性の基準を提供している」と、AIソリューションについても信頼性を重視していると強調する。

「1991年に主任科学者のHoward Turtle氏が当社初の研究開発グループの一つを設立し、応用AIへの取り組みがスタートした。そこから今に至るまで30年以上、リーガルテックの分野において、AI/MLを取り入れた様々な製品やコンテンツを提供してきた」と、同社の応用AIに対する取り組みの歴史を紹介。「現在は、大規模言語モデル(LLM)やチャット形式インターフェイス等の生成AIに年間1億ドル以上を投資している。そして、150年以上にわたり正確な法務・税務コンテンツを提供してきた実績と、応用AIに関する30年以上のイノベーション、さらにはデータサイエンスやAIソフトウェアエンジニアリング、生成AI専門家など4500名のエキスパートをベースに、生成AIの力でリーガル業務を再定義していく」と、生成AIに全力を注いでいく考えを示した。

トムソン・ロイター、法務特化型生成AI搭載の新製品「CoCounsel」を日本で初公開、リーガル業務の効率化をアシスト
トムソン・ロイター AI&リーガルテック・リード アジア&新興市場担当のトーマス・チャン氏

続いて、トムソン・ロイター AI&リーガルテック・リード アジア&新興市場担当のトーマス・チャン氏が、日本初公開となる法務特化型AI搭載プラットフォーム新製品「CoCounsel」の特長や機能について説明した。「当社は、生成AIの戦略として『Build』『Partner』『Buy』の3つを重要な柱としている。『Build』では、自社製品に積極的に生成AI機能を組み込みリリースしている。『Partner』では、マイクロソフトと協力し、Microsoft 365 Copilotの生成AI機能との統合を実現した。『Buy』では、市場にある優れた生成AIツールを調査し、買収を進めている。その一つとして今回、法律AIスタートアップのCasetextを買収し、開発した製品が『CoCounsel』になる」と、「CoCounsel」の開発背景を語る。「『CoCounsel』は、さまざまなリーガル業務を効率的に処理する法務家向けのAI搭載プラットフォームとなっている。革新的なテクノロジーで、企業法務や弁護士の業務を多岐にわたってサポートする。使いやすいインターフェイスで、パラリーガルや準弁護士にタスクを依頼するのと同じような感覚で生成AIを活用できる」と、チャット形式で人間のスタッフと対話をするように生成AIがリーガル業務をアシストしてくれるという。

トムソン・ロイター、法務特化型生成AI搭載の新製品「CoCounsel」を日本で初公開、リーガル業務の効率化をアシスト
「CoCounse」のデモ画面

「リーガル業務のために開発・トレーニングされたGPT-4を搭載しており、ユーザーにアウトプットを提供する際には、参照元となる文書も明示する。これによって、事実に基づかない誤った情報を出力する『hallucinations』を最小限に抑え、正確性と信頼性を担保している。また、法務関係者のプライバシーとセキュリティも重視しており、専用サーバーを通じてGPT-4にアクセスするため、ユーザーデータがAIモデルのトレーニングに使用されることはない」とのこと。「『CoCounsel』では、8つの基本的な法的スキルを備えており、時間のかかる作業をスピーディーに完了し、業務効率化を支援する。また、人為的ミスや漏れを軽減し、作業品質の向上にもつながる」と、「CoCounse」のメリットをアピールした。

トムソン・ロイター、法務特化型生成AI搭載の新製品「CoCounsel」を日本で初公開、リーガル業務の効率化をアシスト
「CoCounse」のデモ画面

ここで、「CoCounse」が提供する法的スキルの機能についてデモを交えて紹介した。「Extract Contract Data」は、特定の質問に答えるため、契約書一式を一字一句レビューする。「Contract Policy Compliance」は、一連の契約が特定のポリシーやガイドラインに準拠しているかどうかを判断する。「Review Documents」は、一連の質問に答えるために、小規模な文書群を一語一語徹底的にレビューする。「Search a Database」は、データベースから、特定のトピックを扱った、または特定の質問に答えた特定の文書を検索する。「Draft Correspondance」は、法的文書やメールの初稿作成をサポートする。「Witness examination」は、証人尋問で使用するトピックと質問の予備的アウトラインを素早く作成する。「Timeline」は、一連の文書に基づいて、出来事のタイムラインを作成する。手書き文書にも対応している。「Summarize」は、長くて複雑な文書・文書群を要約し、関連情報を浮かび上がらせることができる。

日本市場での展開については、「今年4月にグローバルでリリースし、現在は米国、カナダ、オーストラリア、中東、東南アジアで提供している。日本市場での展開は準備中だが、今年秋にはリリースを予定している」との計画を明らかにした。

トムソン・ロイター=https://www.thomsonreuters.co.jp/ja.html